
こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

令和8年度の改定が終わったばかりなのに、もう令和9年度も改定があるのですか?
令和8年度の処遇改善を中心とした改定に続いて、令和9年度にも介護報酬改定が予定されています。
「また改定?」「今度は何が変わるの?」と、気になっている方も多いのではないでしょうか。
現時点(2026年7月)では、社会保障審議会介護給付費分科会で論点の議論が始まったばかりで、基本報酬や加算の具体的な内容が決まった段階ではありません。
そこでこの記事では、社会保障審議会介護給付費分科会の資料をもとに、改定の概要・スケジュール・横断的テーマ・サービス種類別の論点を整理してお伝えします。

分科会で新しい資料が出るたびに、この記事も随時更新していきます。ブックマークしてご活用ください。
当サイトで紹介している各種テンプレートは、以下の記事にてセット販売しています。
- 1. 令和9年度 介護報酬改定の概要
- 2. 令和9年度 介護報酬改定のスケジュール
- 3. 横断的テーマ
- 2026年7月23日|人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
- 2026年8月5日|高齢者住まいに対するサービス提供の在り方
- 2026年8月5日|地域区分
- 2026年8月28日|介護人材確保に向けた処遇改善等
- 2026年8月28日|介護現場の生産性向上等の推進
- 2026年8月28日|高齢者虐待の防止
- 2026年8月28日|介護現場における安全性の確保・リスクマネジメント
- 2026年8月28日|災害時等における業務継続の取組の強化等
- 2026年8月28日|介護現場におけるハラスメント対策
- 2026年9月3日|認知症への対応力強化
- 2026年9月3日|医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護
- 2026年9月3日|科学的介護情報システム(LIFE)
- 2026年9月3日|口腔・栄養
- 2026年9月3日|リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組
- 2026年9月3日|多床室の室料負担
- 4. サービス種類別の論点
- 5. 参考資料(出典)
1. 令和9年度 介護報酬改定の概要
介護報酬改定は、原則として3年に1度行われます。
令和6年度に定期改定が行われ、令和8年度には処遇改善などを目的とした例外的な「期中改定」が実施されました。
そして令和9年度改定は、令和6年度に続く通常の定期改定という位置づけになります。
(3年に1度)
(処遇改善・食費)
令和9年度改定は、65歳以上の高齢者数がピークを迎え、介護と医療の複合的なニーズを抱える85歳以上人口も増える2040年を見据えた改定とされています。
介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図りながら、地域の実情に応じたサービス提供体制をどう築くかが問われます。
厚生労働省の資料では、各サービスの論点とあわせて、次の4つの分野横断的なテーマを念頭に議論を進めるとされています。
参照:令和9年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)(第256回介護給付費分科会 資料4)
2. 令和9年度 介護報酬改定のスケジュール

具体的な内容は、いつ頃決まるのですか?
厚生労働省が示したスケジュール案では、令和8年から令和9年にかけて、次のような流れで議論が進められる予定です。
4月〜夏頃
10〜12月頃
12月中
1月頃
令和9年1月頃に改定案の諮問・答申が行われ、その後、令和9年度(2027年度)中の施行に向けて準備が進む見込みです。
なお、地方自治体の条例改正に必要な期間を踏まえ、運営基準に関する事項は先行してとりまとめられる予定です。
参照:令和9年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)(第256回介護給付費分科会 資料4)
3. 横断的テーマ
- 2026年7月23日|人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
- 2026年8月5日|高齢者住まいに対するサービス提供の在り方
- 2026年8月5日|地域区分
- 2026年8月28日|介護人材確保に向けた処遇改善等
- 2026年8月28日|介護現場の生産性向上等の推進
- 2026年8月28日|高齢者虐待の防止
- 2026年8月28日|介護現場における安全性の確保・リスクマネジメント
- 2026年8月28日|災害時等における業務継続の取組の強化等
- 2026年8月28日|介護現場におけるハラスメント対策
- 2026年9月3日|認知症への対応力強化
- 2026年9月3日|医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護
- 2026年9月3日|科学的介護情報システム(LIFE)
- 2026年9月3日|口腔・栄養
- 2026年9月3日|リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組
- 2026年9月3日|多床室の室料負担
中山間・人口減少地域では、他の地域に比べて人口減少のスピードが速く、市区町村別にみると558市町村(全市区町村の約3割)が2050年までに人口が半数未満になり、そのうち21市町村は25%未満になると見込まれています。高齢者人口の減少に伴うサービス需要の縮小や、季節による繁閑の激しさなどから、年間を通じた安定的な経営が難しいことが課題となっています。
(558/全市区町村)
こうした状況を踏まえ、令和8年に成立した「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、特例介護サービスの新たな類型として「特定地域サービス」が創設されました。対象は居宅サービス、居宅介護支援(それぞれ予防を含む)、施設サービスです。
配置基準の弾力化
サービス事業所間の連携やICT機器の活用等を前提に、管理者・専門職の常勤専従要件や夜勤要件を緩和することが検討されています。対象として、訪問介護・訪問入浴介護・通所介護・短期入所生活介護・福祉用具貸与・居宅介護支援や、施設サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)、特定施設が念頭に置かれています。あわせて、自治体による随時の状況確認や地域の関係者との連携など、サービスの質を確保する仕組みも検討課題とされています。
包括的な評価の仕組み
中山間・人口減少地域での安定的な経営を後押しするため、訪問介護等について、現行のサービス提供回数に応じた出来高報酬に加えて、月単位の定額報酬を選択できる仕組みが検討されています。事業所の経営安定や予見性の向上が期待される一方、利用者間の公平性の確保や、利用回数・時間を必要以上に抑制するモラルハザードの防止にも配慮が必要とされています。
中山間地域等に対する加算
現行の中山間関係加算(特別地域加算、中山間地域等における小規模事業所加算、中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算)について、利用者数・移動距離・移動手段・収支の状況等の実態を踏まえた見直しが、令和6年度改定の審議報告を踏まえて引き続き検討されています。
住宅型有料老人ホームは、近年、中重度以上の要介護者や医療処置を必要とする入居者の割合が増加し、「終の住処」としての役割も増すなど、介護付き有料老人ホームに機能的に近接してきています。こうした状況を踏まえ、介護付き有料老人ホーム等との制度上の均衡を図るため、令和8年の法改正で住宅型有料老人ホームに登録制を導入することとされました。
登録施設介護支援・登録施設介護予防支援の創設
要介護者の集住が想定される登録制対象ホームでは、住宅型有料老人ホームに係るいわゆる「囲い込み」への対応と、相談支援機能の強化が課題とされています。
このため、ケアマネジメントと地域生活相談を一体的に提供する「登録施設介護支援・登録施設介護予防支援」が、居宅介護支援(介護予防支援)とは別の新しいサービスとして創設されることになりました。ホームと対等な立場で入居者本位のケアプランを作成し、入居者自身が希望と必要性を踏まえてサービスを選択できるようになることが期待されています。
登録施設介護(予防)支援の指定を受けた場合は居宅介護支援(介護予防支援)の指定を受けたものとみなされ、既に居宅介護支援(介護予防支援)の指定を受けている事業所は、当面の間、経過措置として登録施設介護(予防)支援の事業所とみなされます。
入居者への居宅サービス等の報酬の在り方
同一建物等居住者へのサービス提供割合が多くなるほど訪問件数は増加し、移動時間・移動距離は短くなる実態を踏まえ、訪問系・通所系の在宅サービスや居宅介護支援では、一定割合以上が同一建物等居住者への提供である場合等に同一建物減算が設けられています(令和6年度改定でも見直しを実施)。
住宅型ホームでは、要介護1・2の比較的軽度な入居者でも週5日以上訪問介護を利用している方が33.5%みられるなど、サービス利用の実態にも留意が必要とされています。
今後、中山間地域等のように人材確保やサービス確保が困難な地域が増加していくことも見込まれる中、まちづくりと連動した形で、有料老人ホーム等の高齢者住まいの健全な発展を図っていくことが重要とされています。
論点
- ホームと対等な立場で、入居者の自立支援や重度化防止に資する利用者本位のケアプランの作成を促進するため、どのような方策が考えられるか。また、地域に開かれたケアマネジメントを担保する観点から、地域生活相談として求める業務内容や、ケアマネジャーとの兼務の在り方についてどう考えるか。
- 今般の有料老人ホームに係る制度改正の状況も踏まえ、高齢者住まいの入居者に対するサービス提供を行う事業所の経営実態・サービス提供実態を丁寧に把握した上で、その実態に合わせた必要な見直しをどう考えるか。
地域区分は、人件費の地域差を反映する仕組みで、公平性・客観性を担保する観点から、原則として地域の民間賃金水準を反映して設定されている公務員(国家公務員・地方公務員)の地域手当に準拠して設定されています。公務員の地域手当は10年ごとに見直されており、前回は平成26年人事院勧告を踏まえ、平成27年度介護報酬改定で見直しが行われました。
令和6年人事院勧告では、級地区分を設定する地域の単位を市町村単位から都道府県単位を基本とする形に広域化するとともに、区分数を7区分から5区分に再編する内容が示され、令和7年度から段階的に支給割合の引き上げ・引き下げが実施されています。地方公務員の地域手当についても同様の見直しが行われ、総務省の方針を踏まえて各市町村が設定を行うことになります。
7区分
5区分
こうした国家公務員・地方公務員の地域手当の見直しを踏まえ、介護報酬の地域区分の設定についても検討する必要があるとされています。
論点
地域区分についてはこれまでの見直しにおいても、地域の民間賃金水準を反映して設定されている公務員の地域手当に準拠することを原則として設定してきていることを踏まえ、令和9年度介護報酬改定における対応についてどう考えるか。
介護分野の処遇改善は、令和8年度介護報酬改定を待たずに期中改定が実施され、介護職員のみならず介護従事者を対象に、幅広く月1.0万円(3.3%)の賃上げを実現する措置に加え、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員を対象に月0.7万円(2.4%)の上乗せ措置が実施されました。あわせて、これまで対象外だった訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅介護支援・介護予防支援にも、新たに処遇改善加算が創設されています。
(3.3%)
(2.4%)
(6.3%)
令和7年時点の介護職員の賃金は、累次の取組により改善しているものの、依然として全産業平均との差があります。2026年春季労使交渉でも全産業の賃上げ率が5.01%となり3年連続で5%超を記録するなど、他産業の賃上げも続いており、令和9年度改定では「他職種と遜色のない処遇改善」の実現に向けた検討が求められています。また、加算の種類の増加・取得要件の複雑化を踏まえた報酬体系の簡素化も引き続き課題とされています。
論点
- 他職種と遜色のない処遇改善の実現に向けて、介護分野の職員の処遇改善や離職防止に向けた取組について、どのような方策が考えられるか。
- 累次の取組による処遇改善加算(加算Ⅰ・Ⅱ)の取得の進展を踏まえた、持続的な賃上げに向けた環境整備や事業所・施設の事務負担軽減の必要性についてどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、介護職員等処遇改善加算やサービス提供体制強化加算についてどのように考えるか。
介護現場の生産性向上とは、介護テクノロジーの活用やタスクシフト/シェアを進めることで、職員の業務負担を軽減しつつ、直接的な介護業務に充てる時間を増やし、介護サービスの質の向上につなげる取組です。令和6年度改定では、施設系サービスへの生産性向上推進体制加算の新設や、見守り機器導入時の人員配置基準の緩和などが行われました。
調査研究事業では、夜間の見守り機器の活用により介護老人福祉施設で「直接介護」と「巡回・移動」の合計時間が約100分減少したことが確認されています。ケアプランデータ連携システムについても、活用により居宅介護支援事業所の実績確認・予定実績入力業務が削減される効果が確認されました。
一方、テクノロジーの普及状況は、施設系サービス(介護老人福祉施設で約90%、介護老人保健施設で約85%が導入)に比べ、訪問系・通所系サービスでは十分に進んでいない状況です。今後は、地域の実情等を踏まえた経営の協働化・大規模化を通じた人材・資源の効果的な活用も課題とされています。
論点
- 利用者のQOLや安全等の確保を図りつつ、介護職員の業務負担軽減や介護サービスの質の向上を図るため、介護テクノロジー等の活用をどのように推進していくか。特に、夜間の見守り機器を活用した場合の方策についてどう考えるか。
- 令和6年度に新設した施設系サービスの生産性向上推進体制加算のあり方や、訪問系・通所系サービスの生産性向上の取組の評価について、どのようなものが考えられるか。
- 地域の実情等を踏まえた経営の協働化・大規模化の推進について、どのような方策が考えられるか。
令和6年度改定では、一部のサービスを除く全ての介護サービスで、高齢者虐待防止措置の義務化や身体的拘束等の原則禁止といった運営基準の見直し、一定の場合の基本報酬の減算などが行われました(居宅療養管理指導・特定福祉用具販売・福祉用具貸与は経過措置または対象外)。
こうした措置により施設等の取組状況は進んでいる一方で、養介護施設従事者等による高齢者虐待の相談・通報および虐待判断件数は増加傾向にあり、適正な手続を経ていない身体的拘束等の発生状況も例年2〜3割で横ばいが続いています。また、虐待が認められた施設・事業所に占める有料老人ホームの割合は高めで推移していますが、有料老人ホームにおける虐待防止措置等は局長通知(指導指針)にとどまり、法令上の義務にはなっていません。
論点
高齢者虐待をめぐる状況を踏まえ、実効性のある高齢者虐待防止対策を促進するため、どのような方策が考えられるか。特に、経過措置が設けられているサービスや、高齢者虐待防止措置の義務等の対象外となっているサービスの取扱いについてどう考えるか。
各サービスの運営基準では、事故が発生した場合に速やかに市町村や利用者家族等へ連絡し、必要な措置を講じることが定められています。介護保険施設(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院)は、事故防止のための指針整備や委員会・研修の実施なども義務付けられていますが、居宅・通所サービス事業所には、現行の運営基準に安全管理措置の規定がありません。
居宅・通所サービス事業所における取組状況(事業所単独での実施率)を見ると、事故防止のための指針・安全管理担当者・安全対策委員会・職員研修のいずれも、単独実施は5〜6割程度にとどまっています。
※居宅・通所サービス事業所が単独で実施していると回答した割合
また、事故が発生した場合、事業所は市区町村に報告する仕組みはあるものの、都道府県や国への報告は任意であり、事故情報を全国レベルで一元的に収集・分析・活用する仕組みがありません。このため、事故情報を収集するデータベースの整備や、報告様式の統一化などが検討されています。
論点
介護現場の安全性の確保に関して、介護保険施設のほか、現行運営基準に安全管理措置の規定がない居宅サービス事業所等における実効性のある事故発生予防・再発防止を推進する観点から、どのような方策が考えられるか。
業務継続計画(BCP)は、令和3年度改定で3年間の経過措置を経て策定が義務化され、令和6年度改定では、BCP策定の徹底を図るため業務継続計画未策定減算が導入されました。令和7年度時点で、ほぼすべての介護事業所等でBCPが策定されており、策定率そのものは8割を超えています。
一方で、BCPの実効性を高めるために重要な行政や他の介護施設等との平時からの連携体制の構築は、施設系サービスでも約6割が「不十分・できていない」と回答しており、市区町村側でも介護事業所等への助言等を約6割が行っていない状況です。
また、災害発生時に施設等の被害状況を国・自治体が把握するための「災害時情報共有システム」についても、システムを知らない施設等が2割、運用に関する取組を行っていない施設等が3割あるなど、十分な活用が進んでいません。近年の災害の激甚化・頻発化や大規模災害の発生が懸念される中、平時からの連携体制の整備や、発災後のタイムリーな情報共有の仕組みづくりが課題とされています。
論点
- 災害や感染症が発生した場合でも実効性のある対応や機能向上を図るため、災害発生時に備えた平時からの行政や他の介護施設等との連携体制の整備を促進する方策について、どのように考えるか。
- 介護施設等の被災状況を速やかに把握し、行政の支援検討・実施につなげるため、介護施設等と行政とのタイムリーな情報共有の方策についてどのように考えるか。
- 業務継続計画の策定等の措置について、現在の取組状況等を踏まえ、報酬上の措置のあり方や経過措置が設けられているサービスの取扱いについてどう考えるか。
介護現場では、これまでもセクシュアルハラスメント・パワーハラスメントへの対策が運営基準(省令)で義務化されているほか、訪問介護・訪問看護では、利用者・家族の同意を得たうえで複数名によるサービス提供を行った場合の加算措置が設けられています。改正労働施策総合推進法の施行により、カスタマーハラスメント対策も介護事業者を含むすべての事業主に義務化されることになりました。
資料では、2026年6月に埼玉県でケアマネジャーが利用者宅で危害を加えられ死亡する事案が発生したことに触れられています。ケアマネジャーが利用者宅に複数名で訪問する場合の介護報酬上の加算措置は現時点でなく、必要な経費は地域介護総合確保基金の事業(令和7年度補正予算)でまかなわれていますが、継続的な予算措置には課題があるとされています。訪問介護・訪問看護の複数名訪問加算についても、利用者・家族の自己負担増につながることから算定率は低いのが実情です。
論点
- 改正法によるカスタマーハラスメント対策の義務化も踏まえ、介護人材の確保・定着とサービス提供体制の維持の両面に配慮しながら、実効性のある対策をどう進めていくか。
- ケアマネジャーも含め、介護従事者のカスタマーハラスメントへの対応や安全確保のための方策について、どのように考えるか。
- ハラスメントの未然防止・事案発生時の対応について、自治体・地域包括支援センター・警察等の地域の関係機関との連携を推進するための方策をどう考えるか。
認知症高齢者数は令和4年で約443万人、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約559万人と推計され、その合計は1,000万人を超える状況にあります。令和22年にはこの合計が約1,200万人(認知症約584万人、MCI約613万人)となり、高齢者の約3.3人に1人が認知症またはMCIになると見込まれています。
+MCI 約559万人
=1,000万人超
+MCI 約613万人
=約1,200万人
独居の認知症高齢者と独居のMCI高齢者を合算した「独居認知機能低下高齢者」は、2025年の段階で250万人、2050年には349万人になると推計されています。また、若年性認知症の人の数は令和2年調査で約3.6万人、18〜64歳人口10万人当たり約50.9人と推計されています。
令和6年1月には共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立し、同年12月には認知症施策推進基本計画が閣議決定されました。介護報酬でも認知症専門ケア加算等で専門的なケアを評価してきており、令和6年度改定では、(看護)小規模多機能型居宅介護の認知症加算に専門的研修修了者の配置等を評価する新区分を創設したほか、認知症の行動・心理症状(BPSD)の発現を未然に防ぎ、出現時に早期対応するための認知症チームケア推進加算(Ⅰ 150単位/月、Ⅱ 120単位/月)が新設されています。
資料では、社会参加活動を実施している事業所で、利用者の「ADLの改善」「生きがい・やりたいことの増加」「機能訓練に対するモチベーションの維持・向上」「身体的な状態の維持・改善」といった効果が見受けられたことも報告されています。
論点
- 基本法及び基本計画の内容を踏まえて、認知症の人の意向を尊重した生活を目標とした、各サービスにおける日常生活動作や社会参加の向上につなげるためどのような方策が考えられるか。
- 加算の要件となっている認知症対応力向上のための介護研修についてどのように考えるか。
- 若年性認知症の人への支援についてどのように考えるか。
- 令和6年度改定における審議報告も踏まえ、利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算についてどのように考えるか。
高齢者施設と医療機関の連携強化
令和6年度改定では、高齢者施設等が要件を満たす協力医療機関を定めることが義務化(一部は努力義務化)されました。この経過措置は3年間で、令和9年3月31日までとされています。要件を満たす体制の整備割合は次のとおりで、養護老人ホームや介護老人福祉施設で低くなっています。
※協力医療機関の要件を満たす体制の整備割合
医療機関側が協力医療機関となることを断った理由としては、「常時診療を行う体制の確保が困難」「常時相談対応を行う体制の確保が困難」が挙げられています。一方、要件を満たす協力医療機関を定めた効果としては、施設系・居住系ともに「利用者の健康管理が的確・迅速に行えるようになった」「協力医療機関に気軽に相談できるようになった」が挙げられ、入所者が急変等で入院する際に入院先の医療機関と事前調整を行っている割合も高いという結果でした。
感染対応力の向上
令和6年度改定では、第二種協定指定医療機関等との連携を評価する高齢者施設等感染対策向上加算が新設されました。しかし、介護老人保健施設・介護医療院では約半数、その他のサービスでは7割以上が算定していない状況です。算定しない理由は「研修や実地指導を行う医療機関との連携が困難」「研修や実地指導を行う時間を確保することが困難」の割合が相対的に高くなっています。
ACP・看取り
死亡者数は2040年まで増加傾向にあり、死亡場所は病院のほか、自宅や老人ホーム等が増加傾向にあります。高齢者施設等で「疼痛管理」「ターミナルケア」に対応できる施設の割合も、サービスによって大きく異なります。
厚生労働省の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインには、ACP(アドバンス・ケア・プランニング/愛称「人生会議」)の考え方が盛り込まれており、人生の最終段階の医療・ケアについて話し合いを繰り返し行うことの重要性が示されています。しかし、施設基準として原則入所者全員を対象にこのガイドラインに基づく対応を求めているのは介護医療院サービスのみです。看取り関連加算についても、算定率・算定要件・報酬点数がサービスごとに大きく異なっています。
論点
- 協力医療機関の設定義務について、令和9年3月31日までの経過措置を設けている。協力医療機関の確保状況や制度の意義を踏まえ、今後の在り方についてどのように考えるか。
- 高齢者施設等と医療機関の更なる連携強化に向けて、実効性のある連携体制の構築を推進するためには、どのような方策が考えられるか。
- 高齢者施設における感染症対応力の更なる向上に向けて、医療機関との連携をはじめ、どのような方策が考えられるか。
- 各サービスにおけるACP(アドバンス・ケア・プランニング)の位置づけについてどのように考えるか。
- 本人が望む場所でより質の高い看取りを実施できるようにするためには、どのような方策が考えられるか。
- 看取りに係る評価について、サービス類型ごとに加算の有無や評価の要件が異なること等を踏まえ、各サービスに期待される機能・役割に応じた評価の在り方をどのように考えるか。
LIFE(科学的介護情報システム)は、介護サービス利用者の状態やケアの内容等のデータを事業所から提出し、そのフィードバックを受けてケアの質の向上につなげる仕組みです。LIFEを利用している事業所は令和7年4月時点で、施設系サービスが約7割、通所・居住系サービスが約5割となっています。
LIFE関連加算は17種類あり、それぞれ算定要件を満たせば算定できますが、加算間で重複した提出項目があることが課題とされています。令和6年度改定では、ADL維持等加算、排せつ支援加算、褥瘡マネジメント加算・褥瘡対策指導管理について見直しが行われました。
令和7年度には国立長寿医療研究センターで「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会が開催され、そのとりまとめに基づいて提出項目に係る作業部会が開催されています。秋頃にはその検討結果が分科会に報告される予定です。
論点
LIFEについて、「科学的介護情報システム(LIFE)のあり方」検討会も踏まえ、LIFE関連加算のデータ提出、アウトカム評価についてどのように考えるか。
口腔
令和6年度改定で新設された口腔連携強化加算について、算定したことがある事業所の39.3%が、新たに歯科受診につながったケースがあったと回答しています。
一方、加算を算定していない理由は「時間や手間がかかる」が33.4%で最も多く、次いで「口腔の健康状態の評価が難しい」26.3%、「算定要件がわからないから」18.3%、「単位数が少ないから」18.2%でした。介護保険施設では、入所時および入所後月1回程度の口腔の健康状態の評価によって「施設職員の口腔の状態評価について理解が深くなった」59.7%、「利用者の口腔の状態が改善した」45.9%といった変化が挙げられています。
特定施設における口腔衛生の管理は、令和9年3月までに開始予定という施設が40.8%を占めており、これから取り組む施設が多い状況です。実施できていない理由としては、歯科専門職との連携が困難という回答が多く見られます。
- 令和6年3月以前から実施 31.9%
- 令和6年4月以降に開始 13.9%
- 令和9年3月までに開始予定 40.8%
- 未定 11.8%
※特定施設における口腔衛生の管理の取組状況(資料の数値をそのまま記載しているため、合計は100%になりません)
栄養
低栄養リスクが中・高リスクの人の割合は、介護老人福祉施設69.0%、介護老人保健施設65.5%、介護医療院89.0%となっています。低栄養状態のリスクの判断は平成17年に制度へ導入されて以来、大きな見直しがされていません。国際的にはGLIM基準が用いられ、診療報酬でも既に導入されている一方、介護保険制度でこれまで用いられてきた血清アルブミン値は炎症等の影響も受けるため、国際的な低栄養の判断には用いられなくなっています。
フードマネジメントに関する困りごとは「食材費の高騰」が最も多く、次いで「嚥下調整食・食形態への対応」でした。嚥下調整食の必要性がある人の割合は介護老人福祉施設57.5%、介護老人保健施設48.8%、介護医療院75.3%で、嚥下調整食の提供には総コスト・栄養食事ケアの時間・ミールラウンドの時間が常食より相対的に増えると回答した施設が大半でした。通所サービスで低栄養の評価を行っていない事業所は通所介護23.9%、通所リハビリテーション19.5%、看護小規模多機能型居宅介護8.4%で、栄養アセスメント加算・栄養改善加算を算定していない理由は「人手が足りない等により、時間を割けない」が約6割でした。
論点
- 介護事業所の職員と歯科専門職との連携をより促すために、どのような方策が考えられるか。
- 施設の入所者のさらなる口腔機能向上や口腔衛生の管理促進のために、どのような方策が考えられるか。
- 高齢者の栄養管理の充実を図る観点から、利用者の適切な栄養状態の評価や取組を推進するためには、どのような方策が考えられるか。
- 入所者の嚥下機能に応じた食事の提供を含め、施設で提供される食事を適切に評価するためには、どのような方策が考えられるか。
- 令和6年度改定における審議報告も踏まえ、利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算や算定率の高い加算についてどのように考えるか。
一体的取組とは、リハビリテーション・機能訓練の計画等、栄養状態、口腔の健康状態に関する情報を関係職種間で相互に共有する取組で、令和6年度改定ではリハビリテーション・機能訓練の上位加算として評価されています。
機能訓練
リハビリテーション・機能訓練の上位加算として評価されている
調査研究事業によると、一体的取組の対象者を選定する際は「口腔機能の低下がある」という基準が多く、取組の現状としては関係職種が必要時に相談しあう体制作りが最も多い結果でした。一方、加算を算定していない理由としては専門職の確保が困難という意見が多く挙げられています。
また、介護報酬は累次の改定により加算の種類が増加し、取得要件も複雑化しています。令和6年度改定における審議報告でも「利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、報酬体系の簡素化について、引き続き検討していくべき」とされており、この点はほかのテーマでも繰り返し取り上げられています。
論点
- リハビリテーション・機能訓練、栄養、口腔の一体的取組の推進について、どのように考えるか。
- 令和6年度改定における審議報告も踏まえ、利用者のわかりやすさという観点や介護サービス事業者の事務負担軽減の観点から、加算についてどのように考えるか。
多床室の室料負担は、在宅でサービスを受ける人との負担の均衡を図る観点から、令和7年8月より「その他型」および「療養型」の介護老人保健施設と「Ⅱ型」の介護医療院の多床室(いずれも8㎡/人以上)に導入されました。基本報酬から室料相当額を控除し、その分の利用者負担(月額8千円相当)を求める仕組みです。
この取扱いについて、令和7年12月の社会保障審議会介護保険部会の意見では、「介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担については、在宅との負担の公平性、各施設の機能や利用実態等を踏まえつつ、介護給付費分科会において検討を行う必要がある」とされました。
部会の議論では、「老健施設は住まいではなく在宅復帰支援、在宅療養支援施設と位置付けられており、住まいではないところから室料負担を求めるのは適切ではないのではないか」「令和7年8月から新たな見直しが始まったばかりであり、財源が厳しいから自己負担を取るというだけでは説得力に欠ける」といった慎重な指摘がある一方、改革工程(令和5年12月閣議決定)や財政制度等審議会(令和8年6月)では、室料負担の導入が見送られた類型についても更なる見直しを検討すべきと指摘されており、意見が分かれている状況です。
論点
4. サービス種類別の論点
現状と課題
高齢者が抱える課題は複雑化・複合化しており、ケアマネジャーに求められる役割はますます大きくなっています。
その一方で、ケアマネジャーの従事者数は横ばい傾向にあり、居宅介護支援事業所数も平成30年度をピークに減少傾向にあります。担い手の確保が、大きな課題となっています。
介護予防支援については、令和6年度から居宅介護支援事業所が指定を受けて直接実施できるようになりました。
ただし、指定をしている市町村は47.9%、指定を受けている居宅介護支援事業所は2割程度にとどまっており、効率的な実施に向けた検討が必要とされています。
また、居宅介護支援事業所の管理者要件(主任ケアマネジャーであること)について、令和3年3月31日時点で主任ケアマネジャーでない管理者への経過措置は、令和9年3月31日まで猶予されています。この管理者要件は、引き続き分科会で検討していくこととされています。
研修については、受講は求めつつ更新の仕組みは廃止することとされ、事業者には研修を受けられるよう必要な配慮が求められます。
ケアプランデータ連携システムの導入率は、令和8年度介護報酬改定で処遇改善加算の算定要件とされたこともあり、急速に上昇しています。
全サービスの導入率は、令和7年12月時点の10.2%から、令和8年5月末時点で45.1%まで伸びました。今後、本システムの活用を通じた業務効率化において、居宅介護支援事業所の主体的な役割が期待されています。
10.2%
45.1%
また、ケアマネジャーの安全性が脅かされる重大な事件を踏まえたハラスメント対策の強化や、加算の種類の増加・取得要件の複雑化を背景とした報酬体系の簡素化も検討課題です。算定率が低い加算として、緊急時等居宅カンファレンス加算、特定事業所加算、退院・退所加算、ターミナルケアマネジメント加算などが例示されています
論点
- 担い手不足が見込まれる中、生産性向上を図りつつ、ケアマネジャーが専門性を発揮し、地域の実情に応じたケアマネジメントの提供体制を確保していくための方策をどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算についてどのように考えるか。
現状と課題
訪問介護事業所は、立地・規模・事業形態によって経営状況がさまざまです。
今後も人口減少・高齢化が進む一方で、訪問介護員(ヘルパー)の不足が大きな課題となっています。
論点
- 収支状況を全国平均の多寡だけで見るのではなく、訪問介護の特性を踏まえて検討し、利用者の状態に応じたサービスを地域で安定的に提供するための方策をどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
なお、中山間・人口減少地域のサービス提供体制や高齢者住まいへのサービス提供の在り方は、横断的テーマで議論されています。
現状と課題
訪問入浴介護は、請求事業所数が減少しており、直近では1,862事業所となっています。
利用者は約66,200人で、約90%が要介護3以上の中重度者です。医療との複合的なニーズを抱える方も多く、サービス提供に時間を要するほか、急な体調変化によるキャンセルなど、経営に与える影響が大きいことが指摘されています。
論点
- 重度者や医療・介護の複合的ニーズを持つ高齢者への対応が求められる中、どの地域でも安定的にサービスを提供する方策をどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
訪問看護は、事業所数・受給者数ともに増加している一方で、廃止・休止するステーションも増えています。
その主な理由は、従業員の確保難・管理者の退職・利用者の減少など、人材の確保にあります。医療ニーズの高い在宅療養者の増加を背景に、ターミナルケア加算や24時間対応体制加算、緊急時訪問看護加算の届出も増えています。

医療ニーズの高い利用者を支えるうえで、私たちケアマネと訪問看護との連携はますます重要になりそうです。
論点
- 医療ニーズの高い在宅療養者が増える中、緊急時対応体制や関係機関との連携を一層充実させ、質の高い訪問看護を効果的・効率的に提供する事業所を適切に評価するための方策をどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算についてどう考えるか。
現状と課題
訪問リハビリテーションは、請求事業所数が増加傾向で、令和7年の受給者数は約15万人(要支援者 約3.0万人、要介護者 約12万人)となっています。
利用状況を見ると週2回以内・1回40分の利用が多く、リハビリテーション会議には本人・担当ケアマネジャー・理学療法士が参加していることが多いとされています。
一方で、認知症短期集中リハビリテーション実施加算の算定率は0.75%と低く、「対象者がいない」「他の加算が優先される」といった理由が挙げられています。
論点
- リハビリテーションの実施内容やリハビリテーションマネジメントの実施状況を踏まえ、訪問リハビリテーションのサービス提供内容についてどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
居宅療養管理指導は、通院が困難な利用者に対して、医師・歯科医師・薬剤師・歯科衛生士・管理栄養士などが、居宅を訪問して療養上の管理・指導を行うサービスです。
資料では、多職種によるACP(人生会議)への協働や、看取りへの対応の状況などが示されています。
論点
利用者の療養の場に応じて、多職種が連携しながら専門性を発揮する観点から、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
通所介護は、中重度者や認知症高齢者を含む幅広い利用者の生活機能を維持し、在宅生活の継続を支える役割を担っています。
一方で、送迎は事業所の職員が行うことが多く、職員の確保やシフト調整、利用時間の多様化に伴う送迎の負担が課題として挙げられています。
論点
- 利用者の状態に応じて、日常生活上の機能向上や自立支援につながる質の高いサービスを提供する観点から、どのような方策が考えられるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
認知症対応型通所介護は、請求事業所数の減少傾向が続いています。
認知症の方の生活機能を維持し、在宅生活を支える役割を担っています。
論点
通所介護・地域密着型通所介護とあわせて、幅広いニーズに対応できる質の高いサービスの提供という観点から、どのような方策が考えられるか(詳細は前項「通所介護・地域密着型通所介護」を参照)。
現状と課題
療養通所介護は、医療と介護の両方のニーズをもつ難病等の中重度者や、がん末期の方の通所ニーズに対応するサービスです。
利用者の要介護3以上が88.8%(平均要介護度4.2)と中重度者が中心で、在宅療養の継続を支える地域の拠点となっています。一方で、請求事業所数・利用者数はいずれも近年減少傾向にあります。
(平均要介護度4.2)
論点
医療と介護の両方のニーズをもつ要介護者の生活を支える通所サービスを安定的に提供するために、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
通所リハビリテーションでは、リハビリの実施内容やリハビリテーションマネジメントの在り方が問われています。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(算定率 Ⅰ:3.0%、Ⅱ:0.38%)や生活行為向上リハビリテーション実施加算(1.6%)など、算定率の低い加算があることも指摘されています。
論点
リハビリの実施内容やリハビリテーションマネジメントの実施状況を踏まえ、通所リハビリテーションのサービス提供体制についてどう考えるか。
現状と課題
短期入所生活介護(ショートステイ)は、請求事業所数が平成31年度まで増加した後は横ばいで推移しています。
利用者は要介護3の方が最も多く、収支差率は令和6年度決算で2.7%(前年度比 △1.4%)となっています。
論点
短期入所生活介護の機能・役割を踏まえつつ、利用者の多様なニーズに応じたサービスを提供する観点から、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)は、介護老人保健施設などで提供され、利用目的は「介護者の不在・レスパイト」「リハビリテーション」「医療ケア」「在宅復帰」の順に多くなっています。
医療ニーズへの対応に関する総合医学管理加算は、令和3年度に新設され、令和6年度の要件見直し以降、算定回数が増加しています。
論点
在宅復帰・在宅療養支援機能の促進や、医療ニーズを有する方の受入れ対応の強化、総合医学管理加算の在り方などの観点から、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
小規模多機能型居宅介護(小多機)は、「通い」「泊まり」「訪問」を柔軟に組み合わせて在宅生活を支えるサービスです。
「介護離職ゼロ」に向けた基盤整備の対象で利用者数の増加が見込まれる一方、請求事業所数は直近で3年連続の減少となっており、人材確保・利用者確保が課題です。利用者の世帯構成は独居が約46%を占めています。

独居や中重度の方が住み慣れた地域で暮らし続けるための、大切な受け皿ですね。
論点
人材・利用者確保の困難を踏まえたサービス提供体制の確保の方策や、中重度になっても在宅生活を継続するための受け皿としての役割と、その評価の在り方をどう考えるか。
現状と課題
看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、「通い」「泊まり」「訪問(介護・看護)」を柔軟に組み合わせるサービスです。
要介護3以上の利用者が約64%(平均要介護度3.2)と、小多機や他の居住系サービスより要介護度が高く、医療ニーズのある中重度者の在宅療養を支える地域の拠点となっています。看取りへの対応も、自宅(平均0.8人)より看多機(1.2人)で多い傾向です。
※看取りへの対応(平均人数)の比較
論点
医療ニーズを有する中重度者を支える看多機の更なる普及と、期待されるサービスを安定的に提供するために、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)は、事業所数・受給者数・費用額がいずれも年々増加しています。
令和6年度改定で努力義務化された協力医療機関の2要件は概ね確保が進んでいますが、未確保の約2割の事業所では、その半数以上が対応に未着手という状況です。
論点
- 重度の要介護者や独居・認知症高齢者の増加と担い手不足を背景に、医療ニーズへの対応強化や介護人材の有効活用の観点から、どのような方策が考えられるか。
- 認知症基本法・認知症施策推進基本計画を踏まえた「地域に開かれた拠点」としての役割発揮の観点から、どのような方策が考えられるか。
現状と課題
福祉用具・住宅改修では、令和6年度改定で導入された貸与と販売の選択制や、貸与価格の上限価格の運用が引き続き注目されています。
令和6年度改定では、上限価格が引き下げられた商品が全体の88.7%を占め、価格の見直しに伴って、ケアマネジャーや利用者への説明・文書作成・契約変更などの事務作業が発生していることが指摘されています。

選択制になってから、利用者さんへの説明に迷うことが増えました。
論点
選択制の運用のあり方や上限価格の仕組みの検討に加え、福祉用具を利用者に適時・適切に提供する観点から、どのような方策が考えられるか。専門職の関与と適切なアセスメント・マネジメントの推進も、これまでの検討における論点として挙げられている。
現状と課題
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、要介護高齢者のための生活施設で、入浴・排泄・食事等の介護や機能訓練、療養上の世話を行います。入所者のうち、低所得者(市町村民税非課税世帯)が6割を占めている状況です。
感染症対策向上加算を算定していない特養は約7割にのぼり、第二種協定指定医療機関との体制確保割合も28.5%にとどまっています。背景として医療機関の不足や把握困難が挙げられています。
また、平成17年度以前に開設された定員30名の「経過的小規模介護老人福祉施設」は、通常の特養より高い報酬が設定されており、令和6年度改定の審議報告では、離島・過疎地域の経営の安定性に配慮しつつ統合に向けて検討していくとされています。
加えて、報酬体系の簡素化も引き続きの検討課題です。算定率が低い加算として、退所時等相談援助加算・在宅復帰支援加算、在宅・入所相互利用加算、小規模拠点集合型施設加算などが例示されています。
論点
- 介護老人福祉施設について、今後も中重度の高齢者が増加することが見込まれる中、入所者のニーズにこたえ、安定的にサービスを提供するための方策をどう考えるか。
- 令和6年度改定の審議報告も踏まえ、特別な基本報酬を設定しているサービス類型の報酬についてどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算についてどのように考えるか。
現状と課題
介護老人保健施設(老健)は、看護・医学的管理のもとで介護や機能訓練、必要な医療、日常生活上の世話を行い、居宅復帰を目指す施設です。収支差率は令和4年▲1.1%→令和5年▲0.6%→令和6年0.6%と、改善傾向で推移しています。
▲1.1%
▲0.6%
0.6%
入所者の55.3%が病院から、35.1%が自宅等から入所する一方、退所先は36.3%が病院、32.2%が自宅等となっており、在宅復帰・在宅療養支援の機能が期待されています。
感染症対策向上加算は未算定が多く、第二種協定指定医療機関との体制確保割合も37.7%にとどまっています。また、ポリファーマシー(多剤服用)対策として、状態変化時の処方見直し・減薬を行っている施設が44.8%で最多でした。
報酬体系の簡素化も引き続き検討課題であり、算定率が低い加算(若年性認知症入所者受入加算など)が多数ある一方、算定率が高い加算(夜勤職員配置加算など)も例示されています。
論点
- 介護老人保健施設について、医療・介護の複合ニーズ等をかかえる高齢者の増加が見込まれる中、安定的にサービスを提供するための方策をどう考えるか。
- 在宅復帰・在宅療養支援機能の促進に向け、医療ニーズへの対応力強化、看取りへの対応、リハビリテーションの充実、適切な薬剤調整等の観点からどのような方策が考えられるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
介護医療院は、長期療養が必要な方に対し、療養上の管理や看護、医学的管理のもとでの介護・機能訓練、日常生活上の世話を行う施設です。平成30年4月の創設以来、請求事業所数は年々増加し、令和7年時点で918施設となっています。収支差率は令和4年0.4%→令和5年4.2%→令和6年3.5%と推移しています。
0.4%
4.2%
3.5%
入所者の82.7%が病院から入所する一方、退所先は55.6%が死亡、27.1%が病院となっており、看取りを含む機能を担っています。医療処置に対応可能な項目の割合も、介護保険施設の中では比較的高い水準です。
感染症対策向上加算は未算定が多く、第二種協定指定医療機関との体制確保割合も50.4%にとどまっています。報酬体系の簡素化も引き続き検討課題です。
論点
- 介護医療院について、医療・介護の複合ニーズ等をかかえる高齢者の増加が見込まれる中、安定的にサービスを提供するための方策をどう考えるか。
- 医療提供機能と生活施設としての機能をあわせ持つ介護医療院について、医療ニーズへの対応、看取りへの対応、医療と介護の切れ目ない連携の観点から、どのような方策が考えられるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
特定施設入居者生活介護は、有料老人ホームや軽費老人ホーム、養護老人ホームに入居する要介護者に対し、日常生活上の世話・機能訓練・療養上の世話を行うサービスです。利用者に占める要介護3〜5の割合は45%で、3年前と比べ横ばい傾向にあります。
第9期介護保険事業計画のサービス見込量は、令和5年度実績28万人から令和8年度には31万人(12%増)へ拡大が見込まれています。収支差率は令和4年2.9%→令和5年4.5%→令和6年5.3%と推移しています。
約28万人
約31万人
看取りは5割を超える事業所で行われ、夜間の看護体制もオンコール対応を含めると8割程度の事業所で確保されています。一方、住宅型有料老人ホームから特定施設への移行は、自治体の総量規制などが一因となり進みにくい状況も指摘されています。
論点
- 医療ニーズが高い高齢者等のさらなる増加が見込まれる中、協力医療機関との連携のあり方も含め、医療ニーズへの対応の強化についてどう考えるか。
- 利用者に占める中重度者の割合が高い状況を踏まえ、入居者の尊厳を保持し、より自立支援に資するケアを推進するための方策をどう考えるか。
- 住宅型有料老人ホームについて、いわゆる「囲い込み」対策も含めたサービスの質及び運営の透明性確保の観点から、特定施設入居者生活介護への移行促進のためにどのような方策が考えられるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率が低い加算・高い加算についてどう考えるか。
現状と課題
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、①日中・夜間を通じて、②訪問介護と訪問看護の両方を提供し、③定期巡回と随時の対応を行うサービスです(平成24年度創設)。請求事業所数(1,397事業所)、受給者数(約47,100人)、費用額(約995億円)はいずれも年々増加していますが、都道府県ごとにばらつきがみられます。
「介護離職ゼロ」に向けた基盤整備の対象サービスであり、第9期介護保険事業計画では、令和5年度実績3.9万人から令和8年度にかけて4.9万人(24%増)の見込み量とされています。要介護3〜5の利用者は51.4%、平均要介護度は2.7です。
今後増加する都市部の居宅要介護者ニーズへの対応が期待される一方、高齢者人口10万人あたりの請求事業所数には最大6.5倍の地域格差が存在しています。
夜間対応型訪問介護は、夜間の定期巡回訪問または随時通報を受け、訪問介護員等が利用者宅を訪問して入浴・排せつ・食事等の介護を行うサービスです(平成18年度創設)。請求事業所数は184事業所、受給者数は約7,100人、費用額は約39億円で、事業所数は平成27年以降ほぼ横ばい、受給者数は令和4年以降微減の一方、費用額は増加傾向にあります。要介護3〜5の利用者は64.3%で、76.5%の利用者が基本分(オペレーションサービス)のみの算定にとどまり、月に一度も訪問サービスを利用していない方も多くみられます。
※令和6年度決算の収支差率の比較
両サービスとも職員・利用者がそれぞれ不足しており、特に定期巡回・随時対応型訪問介護看護では「中山間地域等」よりも「都市部」の方が職員の不足感が顕著となっています。
先般成立した社会福祉法等の一部を改正する法律では、両サービスを統合することとし、夜間対応型訪問介護については令和8年度末(第9期計画期間末)をもって廃止、令和11年度末(第10期計画期間中)までを経過措置として従前どおりの実施を可能とすることとされています。
論点
- 両サービスの統合により、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が夜間訪問利用者の受け皿となっていくことが想定される中、利用者・事業者双方への影響に配慮しつつ、令和6年度改定で新設した「夜間対応型区分」の在り方を含め、円滑な移行のための対応をどう考えるか。
- 今後さらに高齢化が加速する都市部や、少ない利用者を広域でカバーする必要がある中山間地域等において、テクノロジーの活用も含め、夜間を含む随時対応が可能なサービス提供体制をどう考えるか。
- 利用者のわかりやすさや事業者の事務負担軽減の観点から、算定率の低い加算・高い加算についてどう考えるか。
5. 参考資料(出典)
この記事は、社会保障審議会介護給付費分科会(厚生労働省)の以下の資料をもとに作成しています。分科会での議論の進行にあわせて、随時更新します。
第264回(令和8年9月3日)
- 資料1|認知症への対応力強化
- 資料2|医療・介護連携、人生の最終段階の医療・介護
- 資料3|科学的介護情報システム(LIFE)
- 資料4|口腔・栄養、一体的取組
- 資料5|多床室の室料負担
第263回(令和8年8月28日)
- 資料1|介護人材確保に向けた処遇改善等
- 資料2|介護現場の生産性向上等の推進
- 資料3|高齢者虐待の防止/介護現場における安全性の確保、リスクマネジメント
- 資料4|災害時等における業務継続の取組の強化等
- 資料5|介護現場におけるハラスメント対策
第262回(令和8年8月5日)
- 資料1|定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護
- 資料2|高齢者住まいに対するサービス提供の在り方
- 資料3|地域区分
第261回(令和8年7月23日)
第260回(令和8年7月9日)
- 資料1|介護老人福祉施設
- 資料2|介護老人保健施設
- 資料3|介護医療院
- 資料4|特定施設入居者生活介護
第259回(令和8年6月29日)
- 資料1|訪問介護
- 資料2|訪問入浴介護
- 資料3|訪問看護
- 資料4|訪問リハビリテーション
- 資料5|居宅療養管理指導
- 資料6|居宅介護支援・介護予防支援
- 資料7|福祉用具・住宅改修
第258回(令和8年6月15日)
- 資料1|通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
- 資料2|療養通所介護
- 資料3|通所リハビリテーション
- 資料4|短期入所生活介護
- 資料5|短期入所療養介護
第257回(令和8年5月25日)
- 資料1|小規模多機能型居宅介護
- 資料2|看護小規模多機能型居宅介護
- 資料3|認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)
第256回(令和8年4月27日)
分科会の資料一覧(開催回ごと)は、厚生労働省|社会保障審議会(介護給付費分科会)から確認できます。














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