「カスタマーハラスメントへの対応」を追加しました。

こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

ハラスメント防止のための指針や対策マニュアルをどのように作成すれば良いのか、わかりません。
令和 3 年度介護報酬改定では、介護職員の処遇改善や職場環境の改善に向けた取組の 1 つとして、全ての介護事業者にハラスメント防止のための必要な措置の実施が義務づけられました。
また、令和8年10月1日からは、改正労働施策総合推進法に基づく新たな指針により、カスタマーハラスメント対策が全ての事業主の義務となります。
そこで今回は、運営基準の解釈通知及び介護現場におけるハラスメント対策マニュアル等の内容に加え、カスタマーハラスメント対応も盛り込んだハラスメント防止のための指針・マニュアルの作成例について解説します。
【サンプル】ハラスメント防止のための指針・マニュアル
\ハラスメント防止のための指針/
BCP、虐待防止、感染症防止のひな形は、以下の記事からダウンロードできます。
1.職場・介護現場におけるハラスメント

ハラスメントについて詳しく知りたいです。
職場におけるハラスメント
厚生労働省による「明るい職場応援団」では、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントについて、以下のように定義されています。
パワーハラスメントの定義
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
引用:明るい職場応援団
セクシュアルハラスメントの定義
「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。
引用:明るい職場応援団
介護現場におけるハラスメント
「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」では、以下の3つを、介護現場におけるハラスメントとしています。
- 身体的暴力:身体的な力を使って危害を及ぼす行為
例:コップを投げつける/蹴られる/唾を吐く - 精神的暴力:個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為
例:大声を発する/怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービスを要求する - セクシュアルハラスメント:意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為
例:必要もなく手や腕を触る/抱きしめる/入浴介助中、あからさまに性的な話をする
【重要】カスタマーハラスメント対策が令和8年10月1日から義務化されます
令和8年10月1日からは、改正労働施策総合推進法に基づく新たな指針(令和8年厚生労働省告示第51号)により、カスタマーハラスメント対策が事業主の義務に変わります。
防止措置が義務化
法的義務に
対象は労働者を1人でも雇用する全ての事業主(中小企業・個人事業主を含む)です。事業主が必ず講じなければならない措置は、以下の10項目です。
①毅然とした対応と労働者保護の方針を明確化し、周知・啓発する
②カスハラの内容とあらかじめ定めた対処の内容を、労働者に周知する
③相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する
④相談窓口担当者が、適切に対応できるようにする
⑤事実関係を迅速かつ正確に確認する
⑥被害者に対する配慮のための措置を行う
⑦再発防止に向けた措置を講ずる
⑧特に悪質と考えられるケースへの対処方針をあらかじめ定め、対処できる体制を整備する
⑨相談者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する
⑩相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する
また、同日から求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策も、改正男女雇用機会均等法に基づき事業主の義務となります。
参照:事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針 (令和8年厚生労働省告示第52号)
2.ハラスメント防止のための指針・マニュアルの作成例
1.ハラスメント防止に関する基本的考え方
目的
[事業所名]は、職場および介護現場において、全職員にとって安全で尊厳ある労働環境を提供し、ハラスメントを防止することを目的とする。
ハラスメントの原因を分析し、効果的な予防策を講じることで、迅速かつ公平な対応を行い、被害者支援と加害者への適切な対処を確実にする。
これにより、職員が安心して働ける環境を確立し、質の高い介護サービスの提供に寄与することを目指す。
ハラスメントの種類
| 分類 | ハラスメントの種類 | 定義 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| ①職場におけるハラスメント | パワーハラスメント | 優越的な関係を背景に、業務上の範囲を超え、職員の就業環境を害する行為。 | 物を投げつける/人格を否定する発言/嫌がらせのために仕事を与えない |
| セクシュアルハラスメント(職員間) | 職員の意に反する性的な言動により、労働条件に不利益を与え、就業環境を害する行為。 | 性的な冗談やからかい/食事への執拗な誘い/必要なく身体へ接触する | |
| ②介護現場におけるハラスメント | 身体的暴力 | 身体的な力を使って危害を及ぼす行為。 | 物を投げつける/蹴る/唾を吐く |
| 精神的暴力 | 言葉や態度によって、個人の尊厳や人格を傷つける行為。 | 怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/理不尽な要求を繰り返す | |
| セクシュアルハラスメント(利用者・家族等から) | 性的な言動や身体的接触によって、職員に不快感を与える行為。 | 不要な身体接触/性的な話題を持ち出す | |
| カスタマーハラスメント | 利用者や家族からの理不尽なクレームや要求に基づく威圧的な言動。 | 威圧的な言動/介護サービスの範囲を超える過剰な要求 | |
| ③採用選考時におけるハラスメント | セクシュアルハラスメント(求職者等) | 面接、採用試験、実習、職場見学等の採用選考の過程における、求職者の意に反する性的な言動により、就職の機会を不当に狭め、又は不利益を与える行為。 | 採用の条件として性的な関係を示唆する発言をする/面接時に身体的特徴について不必要な言及をする/わいせつな言動を行う |
相談者等への不利益な取扱いの禁止
職員がハラスメントに関する相談を行ったこと、事実確認への協力を行ったこと等を理由として、解雇、降格、減給その他の不利益な取扱いを行わない。相談内容に関する秘密は厳重に保持し、相談者の意に反してその内容を関係者以外に開示しない。
求職者等に対する採用選考時のハラスメント防止
面接、採用試験、実習、職場見学等の採用選考の過程においても、求職者の意に反する性的な言動その他の不適切な言動を行わない。面接担当者等の関係者に本方針を周知し、適切な対応を徹底する。求職者からハラスメントに関する相談があった場合は、4.ハラスメントが発生した場合の相談体制についてに準じて対応する。
2.カスタマーハラスメントへの対応
カスタマーハラスメントへの基本方針
利用者及び家族等に対しても、ハラスメントと同様に、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動は許容しないことを、契約時等の機会を通じて周知する。職員がカスタマーハラスメントを受けた場合は、一人で抱え込まず、速やかに上司又は相談窓口に報告できる体制を整える。
現場での対応ルール
複数職員での対応を基本とし、状況に応じて職員を一人で対応させない。危険を感じた場合は、その場からの離脱や訪問の中断を認める。やり取りの経過(日時、内容、相手の言動等)を記録に残す。身体的な危害の恐れがある場合は、速やかに警察等の外部機関へ相談する。
組織としての対応
カスタマーハラスメントの申し出があった場合、管理者が事実確認を行い、必要に応じてサービス提供の見直し(担当者変更、契約解除の検討等)を行う。事実確認や措置の検討の具体的な手順は、次の「ハラスメントが発生した場合の相談体制について」以降の内容に沿って進める。被害を受けた職員に対し、メンタルヘルス不調への相談対応等、必要な配慮を行う。再発防止のため、事例を組織内で共有し、対応方法の見直しに活用する。
サービス提供の中止・契約解除の判断基準
以下のような行為が認められ、改善が見込めないと判断した場合は、サービス提供の一時中止や契約解除を検討する。
- 身体的暴力や、身体的暴力を示唆する言動が繰り返された場合
- 再三の注意にもかかわらず、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動が改善されない場合
- 職員の安全確保のため、通常のサービス提供体制の維持が困難と判断される場合
契約解除の判断は管理者が行い、利用者・家族への説明及び他のサービス事業者への引継ぎ等、利用者が必要なサービスを継続して受けられるよう配慮する。
利用者・家族向け掲示用リーフレット

カスタマーハラスメント対策は、事業所内のルール整備だけでなく、利用者・家族への周知も欠かせません。
そこで、契約時などに利用者・家族に配布できるリーフレットを作成しました。
ダウンロードはこちら。
3.ハラスメント防止に関する職員研修について
研修プログラムの作成
本指針に基づいたハラスメント防止のための研修プログラムを組織的に作成し、職員教育の徹底を図る。この研修は、ハラスメントの各種形態、その兆候の認識、適切な対応方法に関する内容を含む。
定期的な研修の実施
年に 1 回、全職員を対象にハラスメント防止研修を実施する。定期的な研修は、職員の知識やスキルの更新を図るだけでなく、ハラスメントリスクの低減と職場環境の改善に不可欠である。
新規採用者への研修
新規採用される職員には、入職時にハラスメント防止研修を実施する。これにより、新たな職員も事業所のハラスメント防止方針を理解し、実践する能力を身に付ける。
4.ハラスメントが発生した場合の相談体制について
相談窓口の設置
ハラスメントを受けた職員や問題に気付いた職員が、一人で抱え込まないようハラスメントに関する相談窓口を設置する。相談窓口の存在は全ての職員に周知していく。
相談シートの活用
相談者が内容を正確に伝えるため、相談シートを用意する。
このシートは、職員が事前に記入できるようにし、いつでも手に取りやすい場所に置くことで、相談しやすい環境を整える。
相談シートは相談を受け付ける際の補助的なツールであり、記入や提出がなくても相談は受け付けられる。
相談シート ダウンロード
相談窓口担当者の配置
相談窓口では、管理者が担当者として配置される。
管理者は、ハラスメントに関する継続的な研修を受け、相談者に対して適切な支援とアドバイスを提供できるよう努める。
5.ハラスメント対応手順のフローチャート
6.ハラスメント対応手順の詳細
(1)相談
- 目的
安心してハラスメントの相談ができる環境を提供し、迅速な対応と職場環境の改善を図ることを目的とする。 - 相談の流れ
職員は専用の相談窓口や信頼できる上司、ハラスメント担当者に相談することができる。相談は対面、電話、メール、相談シートなど複数の方法で受け付けている。
(2)相談窓口
- 目的
ハラスメントの相談が迅速かつ適切に受け付けられるよう、信頼できる窓口を設置し、職員が安心して相談できる体制を整えることを目的とする。 - 窓口の設置
- 窓口の種類:職員が相談しやすいように、専用の相談窓口を設置する。これには対面窓口、電話、メール、相談シートを活用した相談受付が含まれる。
- 窓口担当者の役割:窓口担当者は適切な研修を受け、相談者のプライバシーを守りつつ、迅速に対応する役割を担う。
(3)事実関係の確認
- 目的
ハラスメントの事実関係を正確に把握し、公平かつ適切な対応を行うための基盤を構築することを目的とする。 - 事実確認の方法
- 情報収集:相談者からの情報だけでなく、目撃者や関係者からも必要な情報を収集し、客観的に状況を把握する。
- 証拠の確認:メールやメモなどの物的証拠を確認し、具体的な事実を裏付けるために可能な限りの資料を集める。
(4)ハラスメントの判断
- 目的
収集した事実関係に基づき、ハラスメントに該当するかどうかを公平に判断し、適切な対策を講じるための基盤を整えることを目的とする。 - 判断の基準
- ハラスメントの定義との照合:収集した情報を元に、ハラスメントの定義に照らし合わせ、行為が該当するかどうかを確認する。
- 意図や影響の考慮:行為の意図やそれが相手に与えた影響を総合的に判断する。特に、相談者の感じた不快感が重要な要素として考慮される。
- 専門家の意見の活用:公平な判断を下すために、必要に応じて外部の専門家の意見を参考にする。
(5)-1 措置の検討
- 目的
ハラスメントと判断された場合に、相談者の保護と職場の安全を確保するために適切な措置を講じることを目的とする。 - 措置の種類
- 行為者への措置:必要に応じて、警告、業務の一部変更、降格、懲戒処分などの対応を検討する。行為の程度や影響を考慮し、適切な措置を取る。
- 相談者の保護:相談者が安心して働ける環境を提供するために、業務の調整、カウンセリングの提供、物理的な距離を取る措置などを講じる。
- 措置の決定プロセス
- 合意形成:相談者および行為者の双方に対し、対応内容を丁寧に説明し、合意を得るよう努める。
- 文書化と記録:措置に関する決定とその根拠を適切に文書化し、将来の参考のために記録を保持する。
(5)-2 結果の説明と誤解の解消
- 目的
ハラスメントの結果が「該当しない」と判断された場合、相談者および関係者に対してその理由を適切に伝え、誤解や不満が生じないよう説明を行うことを目的とする。 - 結果の説明
ハラスメントに該当しないと判断された理由や、その過程について相談者と行為者に対し、丁寧に説明する。具体的な説明を心掛け、関係者全員が理解しやすい形で伝える。 - 誤解の解消
相談者や行為者が結果について疑問や不安を持った場合、丁寧に質問に答え、誤解を解消するためのコミュニケーションを行う。
(6)-1 通知と措置の実施
- 目的
決定された措置を速やかに実施し、関係者に対して正式に通知することで、ハラスメント問題に対する組織の対応を確実に行うことを目的とする。 - 通知の手順
- 正式な通知:措置の内容を相談者および行為者に対し、書面または面談を通じて正式に通知する。通知の際は内容を正確に伝え、理解を確認する。
- 関係者への情報提供:必要に応じて、関係者にも措置が行われたことを適切に知らせ、職場環境の安全が確保されるよう努める。
- 措置の実施
決定された措置を確実に実行し、必要な場合は行為者の業務変更や相談者の保護措置を直ちに行う。
(6)-2 環境の調整
- 目的
ハラスメントに該当しないと判断された場合でも、相談者および関係者が安心して働けるよう、職場環境の調整を行うことを目的とする。相談者の不安や不満を軽減し、職場全体の調和を保つための措置を講じる。 - 環境調整の手順
- 物理的環境の変更:必要に応じて、相談者や関係者の作業環境や配置を変更し、職場内での安全性と安心感を確保する。
- 業務内容の調整:相談者や関係者のストレス軽減を図るため、業務内容や役割の見直しを行い、負担を減らす措置を講じる。
(7)再発防止策
- 目的
ハラスメント事案への対応が完了した後も、再発を防止し、職場環境を健全に維持することを目的とする。これにより、全職員が安心して働き続けることができる職場を構築する。 - 再発防止策の実施
- 職場環境のモニタリング:ハラスメントの再発を防止するため、定期的に職場環境をモニタリングし、リスク要因を早期に発見・対処する。継続的な職場観察を通じて、改善点があれば迅速に対応する。
- 啓発活動と教育:ハラスメント防止に関する研修や啓発活動を定期的に実施し、職員全体の意識向上を図る。具体的には、ロールプレイなどを通じて、職員が適切な行動を学び、ハラスメントの予防に取り組む。
- フィードバックの収集と対応:職員からフィードバックを定期的に収集し、ハラスメントに関する懸念や提案を把握する。必要に応じて再発防止策を見直し、職場環境の改善を図る。
- リーダーシップの強化:管理職やリーダーに対して、ハラスメント防止に関する役割を強化し、職場内で模範的な行動を示すことを求める。リーダーシップを通じて、ハラスメントが発生しにくい職場文化を醸成する。
7.職員・利用者等に対する当該指針の閲覧について
本指針を事業所内に掲示することで、職員及び利用者等がいつでも閲覧できるようにする。
3.【ダウンロード】ハラスメント防止のための指針・マニュアル ひな形
全ての介護サービス事業所で使用できる「ハラスメント防止のための指針・マニュアル」のひな形(Word)を490円で販売しています。
【サンプル】ハラスメント防止のための指針・マニュアル
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