
こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

ケアマネの更新研修がなくなるって本当ですか?
次の更新はどうなるのでしょう。

資格の更新制は、法改正で廃止されることが決まりました。
ただし、研修そのものはなくならず、受け方が変わります。
ケアマネジャーは今、5年ごとに更新研修を受けなければ、介護支援専門員証が失効し、業務ができなくなります。
しかし、研修は決められた日にまとめて受ける必要があります。
受講料も高く、現場からは「負担が大きい」という声が続いていました。
こうした声を受けて、令和8年6月に介護保険法が改正され、更新制の廃止が決まりました。
さらに令和8年10月26日の介護保険部会では、新しい研修の名前や時間、今のケアマネの経過措置などの具体案が示されています。
そこで今回の記事では、更新制が廃止されるまでの経緯と、新しい法定研修の中身を、厚生労働省の資料をもとに解説します。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
1.更新制が廃止されるまでの経緯
ケアマネの更新制は、約20年続いてきた仕組みです。
まずは、なぜ今回の見直しに至ったのかを、これまでの流れから確認していきましょう。
1-1.更新制の導入と、研修時間の拡大
更新制は、5年ごとの更新の際に研修を受けることで、専門知識を高めるための仕組みです。
平成17年の介護保険法改正で法定化され、平成18年度から始まりました。
その後、平成28年度には研修のカリキュラムが見直されました。
実務研修は、任意だった実務従事者基礎研修を統合して、44時間から87時間になりました。
専門研修課程Ⅰも、33時間から56時間に増えています。
また、主任ケアマネにも更新制が導入され、5年ごとに主任更新研修(46時間)を受けることになりました。
参照:
- 地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)(第127回社会保障審議会介護保険部会 資料2)
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)の研修制度について(厚生労働省)
- 介護保険最新情報 Vol.1129(令和5年2月22日)
1-2.研修をめぐる現場の負担と課題

更新研修は、正直とても負担でした。
1日でも休めないので、日程の調整が大変です…。
令和4年度の調査では、法定研修の時間数を「多い」「どちらかと言えば多い」と感じる人が、あわせて9割にのぼりました。
また、日本介護支援専門員協会の調査では、「研修を1日でも休んだらその年に更新できない」ことを負担に感じる人が79.8%いました。
一方で、研修そのものは「意義はあるが、資格更新の条件とすべきではない」と答えた人が59.5%でした。
さらに、研修の中身についても課題が指摘されていました。
令和4年度の同じ調査で、内容や質に課題を感じる点を聞いた結果です。
同じ協会の調査では、2回目以降の更新で「同じ内容を何回も受講しなくてはいけない」ことを負担に感じる人が54.4%いました。
つまり、現場は研修をなくしたいのではなく、「資格の更新と結びついた、受けにくい研修」と、「内容や質に課題のある研修」に困っていたといえます。
参照:地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)(第127回社会保障審議会介護保険部会 資料2)
1-3.検討会から法成立・具体案の提示までの流れ
12月中間整理
10月廃止を提案
12月部会の意見
6月法律が成立
10月具体案の提示
令和6年に開かれた「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会」では、法定研修の負担を大きく減らす方向が示されました。
ただし、令和6年12月の中間整理の時点では、更新制の廃止までは書かれていません。
大きく動いたのは、令和7年10月27日の介護保険部会です。
厚生労働省が、研修の受講を要件とした更新の仕組みを廃止してはどうかと提案しました。

同じ部会には、日本介護支援専門員協会も「更新制は廃止し、研修受講の義務とは切り離すべき」という意見を出していました。
その後、令和7年12月の部会の意見書に更新制の廃止が盛り込まれ、令和8年4月に法案が国会へ提出されました。
法律は令和8年6月19日に成立し、6月25日に公布されています(令和8年法律第51号)。
参照:
- ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会 中間整理(令和6年12月12日)
- 地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)(第127回社会保障審議会介護保険部会 資料2)
- 介護支援専門員の更新制・研修制度の見直しに関する意見(日本介護支援専門員協会)
- 介護保険制度の見直しに関する意見(令和7年12月25日 社会保障審議会介護保険部会)
- 社会福祉法等の一部を改正する法律案 審議経過(衆議院)
- 介護保険最新情報 Vol.1518(令和8年6月25日)
2.法定研修の見直しの内容

更新制がなくなると、研修は受けなくてよくなるのですか?

いいえ、研修は引き続き受ける必要があります。
変わるのは、資格の期限と研修の受け方です。
2-1.更新制の廃止と、定期的な研修
見直し後は、研修の受講を要件とした資格の更新の仕組みがなくなります。
一度交付を受けた資格は、期限によって失効することはなくなります。
ただし、専門職として知識を学び続けることは引き続き求められ、定期的な研修の受講は続きます。
研修を受ける義務があるのは、実務に従事しているケアマネです。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
2-2.新しい研修の名称と時間
研修の名前と時間は、次のように変わります。
改正前の時間と比べると、初任研修と復職支援研修が短くなります。
短縮
同じ
短縮
同じ
就業してから最初の5年間は、「初任研修」と「定期研修」の両方を受けます。
その後は、5年ごとに「定期研修」を受ける流れです。
- 時間はどれも「以上」で示されています
- 研修の名前や時間は、令和8年10月時点の案です
- 主任定期研修は、主任研修を修了してから最初の5年間は受ける必要がありません
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
2-3.受講方法の変更点:分割受講とオンライン化
受け方も、大きく変わります。
これまでの更新研修(2回目以降)は、都道府県があらかじめ決めた日に、32時間の研修をまとめて受ける形でした。
見直し後は、受講する人の都合に合わせたタイミングで受けられるようになります。
11コマの内訳を見る11コマの内訳を閉じる
講義を国の教材にそろえる方向は、令和6年12月の中間整理で、研修の質の確保と費用負担の軽減の観点から、検討が示されていたものです。
研修の内容も、直近の制度改正・報酬改定など、最新の知識が学べるように見直す方針です。
なお、演習は引き続き都道府県が行い、国は演習を行うためのマニュアルを作ります。
参照:
2-4.研修の費用と補助
研修の受講料は、都道府県によって差があります。
令和6年度の全国平均は、更新研修(実務経験者・初回)で59,734円、2回目以降で25,072円でした。
日本介護支援専門員協会の調査では、「受講料が高額であること」を負担に感じる人が68.4%いました。
受講料が高い5都道府県と、最も低い県は、次のとおりです。
最も高い京都府は、最も低い島根県の約2.7倍です。
受講料は、都道府県が地域医療介護総合確保基金を使うことで下げられます。
衆議院の附帯決議では、補助制度が離島・過疎地や小規模事業所でも使えるよう、見直しを求めています。
新しい研修の受講料は、まだ示されていません。
参照:
- 介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
- 地域包括ケアシステムの深化(相談支援の在り方)(第127回社会保障審議会介護保険部会 資料2)
3.立場別の経過措置と、受講できなかったときの流れ
3-1.施行後の受講期限(令和15年3月まで)
施行の時点でケアマネとして働いている人は、施行日(令和9年12月)を起点に、5年の間に定期研修を受けます。
ただし、最初の期間は年度の始めにそろえるため、令和15年3月までとされています。

施行日より前に、今の資格の有効期限が来る場合はどうなるのでしょう?

施行日までは、今の更新制が続きます。
施行日より前に有効期限が来る人は、これまでどおり更新研修を受けることになる見込みです。
ただし、施行日より前に有効期限が来る人の扱いは、厚生労働省の資料には詳しく書かれていません。
受講の予定は、お住まいの都道府県の案内もあわせて確認してください。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
3-2.令和9年度に研修を修了した人の免除
令和9年度に今の制度で研修を修了した人は、新しい研修をすぐに受ける必要はありません。
令和12年3月末までは、受講が免除される予定です。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
3-3.主任ケアマネの場合
主任ケアマネも、ケアマネと同じように更新制が廃止されます。
主任も更新制がなくなるため、研修を受けないことで直ちに資格を失う取扱いではなくなる見込みです。
受講しないときの措置の流れは、3-5にまとめています。
ただし、それが主任定期研修にも同じように当てはまるのか、主任の資格がどうなるのかは、厚生労働省の資料には示されていません。
参照:
3-4.離職中・証が失効している人の場合
仕事を離れている人は、離れている期間は研修を受ける必要がありません。
復職するときの扱いは、次のように分かれます。
今の「再研修」(54時間)は、復職支援研修(15.5時間以上)に変わり、時間が大きく短くなります。
施行時にすでに失効している証も、改めて申請すれば再交付を受けられます。
なお、離職から3年以上たっていても、継続して定期研修を受けている人は、復職支援研修の対象外です。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
3-5.受講できなかったときの流れ

期限までに受けられなかったら、資格がなくなるのですか?

すぐに業務停止になることはありません。
まずは、事業所が受講の機会を作っているかが確認されます。
1年以内の業務禁止
正当な理由がないまま受講しない場合は、段階を踏んで措置がとられます。
なお、衆議院の附帯決議では、業務禁止のときに利用者のケアプランが途切れないよう、代わりのケアマネを確保する手続きを整えることを求めています。
参照:
4.事業所の管理者がしておくこと
今回の見直しでは、ケアマネ本人だけでなく、ケアマネを雇う事業所にも新しい義務が課されます。
4-1.従事届・非従事届の提出(10日以内)
事業所は、ケアマネが働き始めた日や、退職した日から10日以内に、都道府県へ届け出ることになります。
新しくケアマネを雇ったときは「従事届」、退職したときは「非従事届」を出します。
育休・介護・病気休職などで、一定期間受講が難しい場合も、非従事届の対象です。
届出の名前はどちらも仮称で、様式はこれから示されます。
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
4-2.受講機会の確保と、研修時間の取扱い
事業所には、雇っているケアマネが研修を受けられるよう、必要な措置をとる義務が課されます。
厚生労働省の資料では、次のような措置が想定されています。
- 勤務時間中に研修を受ける場合は、その時間を労働時間とみなす
- 研修を受けやすいよう、業務の割り振りや人の配置を工夫する
- 職員の受講状況を確認する
参照:介護支援専門員法定研修の見直しの検討状況について(報告)(第137回社会保障審議会介護保険部会 資料3)
4-3.報酬改定で示された人員基準と減算の案
令和9年度の介護報酬改定に向けた議論(第271回介護給付費分科会)でも、この見直しに合わせた案が出ています。
人員基準と管理者の責務は、ケアマネを配置する他のサービスでも同じ扱いにする案です。
減算の単位数や、詳しい要件は、まだ示されていません。
参照:居宅介護支援・介護予防支援(第271回社会保障審議会介護給付費分科会 資料6)
5.まとめ
今回は、ケアマネの更新制の廃止と、法定研修の見直しについて解説しました。
一方で、まだ決まっていないこともあります。
- 施行日(令和9年12月1日)を定める政令
- 施行日より前に有効期限が来る人の具体的な扱い
- 新しい研修の受講料と補助の内容
- 従事届・非従事届の様式
- 減算の単位数と要件

新しい情報が出しだい、この記事も更新していきます。
今後も、研修の最新情報をお伝えします。







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