【ひな形あり】居宅介護支援事業所 運営規程のポイントと作成例【令和6年度】

テンプレート
ヒトケア
ヒトケア

こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。
はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

ケアマネさん
ケアマネさん

運営規程を作成しましたが、これで良いのか不安です…。

運営規程は、事業所の運営方針や体制を明確に定めるものであり、事業所にとっての「憲法」とも言える重要な文書です。

しかし、いざ作成しようと思っても、
「何を・どこまで書けばいいのか分からない」
と悩む方も多いのではないでしょうか?

そこで、今回記事では、運営規程に定めなければならない必須事項を分かりやすく解説するとともに、最新の法改正(BCP感染症対策ハラスメント対策等)にも対応した、すぐに使える運営規程のひな形(テンプレート)をご紹介します。

ひと目でわかる!

居宅介護支援事業所 運営規程の全体像

事業の目的・方針
事業所の理念や基本姿勢を定めます。公正中立な支援や他機関との連携を明記します。
職員体制
管理者やケアマネジャーの職種、員数、職務内容を具体的に記載します。
営業日時
営業日・時間、休日を定めます。
サービス内容・利用料
提供するサービス内容と、交通費など利用者から費用を徴収する場合のルールを定めます。
実施地域
通常のサービス提供エリアを市町村単位で具体的に記載します。
虐待防止措置
委員会の設置、指針の整備、研修の実施など、虐待を防止するための具体的な取り組みを定めます。
その他重要事項

運営上不可欠なルールを定めます。特に、近年の法改正で義務化された項目は重要です。

BCP業務継続計画の策定
感染症対策委員会の設置、指針、研修
ハラスメント防止措置の実施
秘密保持職員の守秘義務
苦情処理対応体制の整備

運営規程のテンプレートはこちらから無料でダウンロードできます。


当サイトで紹介している各種テンプレートは、以下の記事にてセット販売しています。

指定居宅介護支援等の事業における人員配置や運営に関する基準(運営基準)第18条において、運営規程に必ず定めなければならないとされているのは、以下の7つの項目です。

(運営規程)
第十八条 指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援事業所ごとに、次に掲げる事業の運営についての重要事項に関する規程(以下「運営規程」という。)として次に掲げる事項を定めるものとする。
一 事業の目的及び運営の方針
二 職員の職種、員数及び職務内容
三 営業日及び営業時間
四 指定居宅介護支援の提供方法、内容及び利用料その他の費用の額
五 通常の事業の実施地域
六 虐待の防止のための措置に関する事項
七 その他運営に関する重要事項

引用元:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(第18条)
ヒトケア
ヒトケア

それぞれの項目で、どのような内容を記載すべきか見ていきましょう。

事業所の最も基本的な部分です。「どのような目的で事業を行い、どのような方針で利用者を支援していくのか」という事業所の理念や根幹を記載します。
単なる定型文だけでなく、事業所の「らしさ」を表現することも大切です。

管理者や介護支援専門員といった職員の職種、それぞれの配置人数、そして職務内容を具体的に定めます。
人員配置基準を満たしていることが明確に分かるように記載する必要があります。

利用者がサービスに関する問い合わせや相談を行える、事業所の公式な営業日・営業時間を定めます。
休日や時間外の緊急時連絡体制についても併せて明記しておくのが一般的です。

利用者がサービスに関する問い合わせや相談を行える、事業所の公式な営業日・営業時間を定めます。
休日や時間外の緊急時連絡体制についても併せて明記しておくのが一般的です。

事業所が通常、サービスを提供する地理的な範囲を市町村単位などで具体的に定めます。
ここで定めた地域を越えてサービスを提供する場合、交通費の実費徴収が可能となります。

(利用料等の受領)
第十条 指定居宅介護支援事業者は、指定居宅介護支援(法第四十六条第四項の規定に基づき居宅介護サービス計画費(法第四十六条第二項に規定する居宅介護サービス計画費をいう。以下同じ。)が当該指定居宅介護支援事業者に支払われる場合に係るものを除く。)を提供した際にその利用者から支払を受ける利用料(居宅介護サービス計画費の支給の対象となる費用に係る対価をいう。以下同じ。)と、居宅介護サービス計画費の額との間に、不合理な差額が生じないようにしなければならない。
2 指定居宅介護支援事業者は、前項の利用料のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅を訪問して指定居宅介護支援を行う場合には、それに要した交通費の支払を利用者から受けることができる。
3 指定居宅介護支援事業者は、前項に規定する費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、利用者の同意を得なければならない。

引用元:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(第10条)

令和3年度の法改正で義務化された重要項目です。
虐待の発生・再発を防止するため、事業所としてどのような措置を講じるのか(委員会の設置、指針の整備、研修の実施、担当者の設置など)を具体的に記載します。

上記の6項目以外に、事業所の運営上、重要となる事項を定めます。具体的には、職員の秘密保持義務、研修の実施、記録の保存などが挙げられます。

さらに、BCP感染症対策ハラスメント対策といった、令和3年度の法改正で新たに義務化された重要項目も、運営指導で思わぬ指摘を受けないよう、運営規程に明記しておくと、より安心です。

令和6年度介護報酬改定に対応した運営規程のひな形(テンプレート)をご紹介します。

第1条

(事業の目的及び運営の方針)
第1条 ○○法人(以下「事業者」という。)が開設する○○居宅介護支援事業所(以下「事業所」という。)が行う指定居宅介護支援の事業(以下「事業」という。)の適正な運営を確保するために、人員及び管理運営に関する事項を定めるとともに、事業所の介護支援専門員が、要介護状態にある利用者に対し、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的とする。

 事業所は、利用者の意思及び人格を尊重し、常に利用者の立場に立って、利用者に提供される指定居宅サービス等が特定の種類又は特定の居宅サービス事業者に不当に偏ることのないよう、公正中立に行うものとする。

 事業所は、事業の運営に当たっては、関係市町村、地域包括支援センター、他の指定居宅介護支援事業者、介護保険施設等の保健・医療・福祉サービスとの綿密な連携を図り、総合的なサービスの提供に努めるものとする。

 事業者は、自らその提供する指定居宅介護支援の質の評価を行い、常にその改善を図るものとする。

第2条

(事業所の名称及び所在地)
第2条 事業を行う事業所の名称及び所在地は、次のとおりとする。

(1) 名称:△△居宅介護支援事業所

(2) 所在地:△△県△△市△△町○丁目○番○号

第3条

(職員の職種、員数及び職務内容)
第3条 事業所に勤務する職員の職種、員数及び職務内容は次のとおりとする。

(1) 管理者 1名(常勤、介護支援専門員と兼務)
管理者は、事業所の職員の管理、指定居宅介護支援の利用申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、法令等に基づき事業が適正に実施されるよう、職員に対し必要な指揮命令を行う。

(2) 介護支援専門員 ○名以上(常勤職員○名、非常勤職員○名)
介護支援専門員は、指定居宅介護支援の提供に当たる。具体的には、居宅サービス計画の作成、サービス事業者等との連絡調整、介護保険施設への紹介、その他利用者に対する相談援助業務等を行う。

(3) 事務職員 ○名以上
事務職員は、事業運営に必要な事務を行う。

第4条

(ハラスメント対策の強化)
第4条 事業者は、職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより職員の就業環境が害されることを防止するための方針の明確化等の必要な措置を講じるものとする。

第5条

(営業日及び営業時間)
第5条 事業所の営業日及び営業時間は、次のとおりとする。

(1) 営業日
月曜日から金曜日までとする。ただし、国民の祝日及び12月29日から1月3日までを除く。

(2) 営業時間
午前9時から午後5時までとする。

(3) 連絡体制
上記の営業日、営業時間のほか、電話等により24時間常時連絡が可能な体制を確保するものとする。(特定事業所加算取得事業所のみ)

第6条

(指定居宅介護支援の提供方法、内容)
第6条 指定居宅介護支援の提供方法及び内容は、次のとおりとする。

(1) 課題分析(アセスメント)の実施

(2) 居宅サービス計画の作成

(3) サービス担当者会議の開催

(4) 居宅サービス計画の実施状況の把握(モニタリング)

(5) 居宅サービス計画の変更、要介護認定の更新申請等に係る援助

(6) 給付管理業務

(7) その他利用者に対する便宜の提供

第7条

(利用料その他の費用の額)
第7条 指定居宅介護支援を提供した場合の利用料の額は、介護報酬の告示上の額とし、当該指定居宅介護支援が法定代理受領サービスであるときは、利用者から利用料は徴収しない。

 利用者が介護保険料を滞納していること等により、償還払いとなる場合は、居宅介護支援に要した費用の全額を一旦徴収する。この場合、事業者は利用者に対し、サービス提供証明書を発行する。

 次条に定める通常の事業の実施地域を越えて行う指定居宅介護支援に要した交通費は、その実費を徴収する。なお、自動車を使用した場合の交通費は、事業所の所在地を起点とし、通常の事業の実施地域を越えた地点から、片道1キロメートルあたり○○円を徴収する。

 前項の費用の支払いを受ける場合には、あらかじめ、利用者又はその家族に対し、文書で説明をした上で、支払に同意する旨の文書に署名(記名押印)を受けることとする。

 利用料等の支払いを受けたときは、利用者又はその家族に対し、利用料とその他の費用(個別の費用ごとに区分したもの)について記載した領収書を交付する。

第8条

(通常の事業の実施地域)
第8条 通常の事業の実施地域は、△△市、□□市及び◇◇町の区域とする。

第9条

(身体的拘束等の禁止)
第9条 事業者は、サービスの提供にあたっては、利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体的拘束等」という。)を行わない。

 やむを得ず身体的拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録するものとする。

第10条

(虐待の防止のための措置に関する事項)
第10条 事業者は、利用者の人権の擁護、虐待の発生又はその再発を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じるものとする。

(1) 虐待の防止のための対策を検討する委員会を定期的に開催するとともに、その結果について、職員に周知徹底を図る。

(2) 虐待の防止のための指針を整備する。

(3) 職員に対し、虐待の防止のための研修を定期的に実施する。

(4) 前3号に掲げる措置を適切に実施するための担当者を置く。

第11条

(業務継続計画(BCP)の策定等)
第11条 事業者は、感染症や非常災害の発生時において、利用者に対する指定居宅介護支援の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための業務継続計画(BCP)を策定し、当該業務継続計画に従い必要な措置を講じるものとする。

 事業者は、職員に対し、業務継続計画について周知するとともに、必要な研修及び訓練を定期的に実施するものとする。

 事業者は、定期的に業務継続計画の見直しを行い、必要に応じて業務継続計画の変更を行うものとする。

第12条

(感染症の予防及びまん延の防止のための措置)
第12条 事業者は、事業所内における感染症の発生及びまん延を防止するため、次の各号に掲げる措置を講じるものとする。

(1) 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会をおおむね6か月に1回以上開催するとともに、その結果について職員に周知徹底を図る。

(2) 感染症の予防及びまん延の防止のための指針を整備する。

(3) 職員に対し、感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練を定期的に実施する。

第13条

(衛生管理)
第13条 事業者は、職員の清潔の保持及び健康状態について、必要な管理を行う。

 事業所の設備及び備品等について、衛生的な管理に努めるものとする。

第14条

(秘密の保持)
第14条 職員は、正当な理由なく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。

 事業者は、職員であった者が、業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を保持させるため、職員でなくなった後においてもこれらの秘密を保持するべき旨を、職員との雇用契約の内容とする。

第15条

(記録の保存)
第15条 事業者は、指定居宅介護支援に関する次の各号に掲げる記録を整備し、その完結の日から5年間保存するものとする。

(1) 居宅サービス計画

(2) 指定居宅サービス事業者等との連絡調整に関する記録

(3) サービス担当者会議の記録

(4) モニタリングの結果の記録

(5) 利用者からの苦情の内容等の記録

(6) 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

(7) その他提供した具体的なサービス内容等の記録

第16条

(事故発生時の対応)
第16条 事業者は、利用者に対する指定居宅介護支援の提供により事故が発生した場合には、速やかに関係市町村、利用者の家族等に連絡を行うとともに、必要な措置を講じる。

 事業者は、前項の事故の状況及び事故に際して採った処置について記録する。

 事業者は、利用者に賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行う。

第17条

(苦情処理)
第17条 事業者は、提供した指定居宅介護支援に関する利用者又はその家族からの苦情に迅速かつ適切に対応するために、苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じる。

 事業者は、苦情の内容等について記録するとともに、サービスの質の向上を図る観点から、その原因を分析し、再発防止に努めるものとする。

第18条

(その他運営に関する重要事項)
第18条 事業者は、職員の資質の向上のために研修の機会を次のとおり設けるものとし、また、業務体制を整備する。

(1) 採用時研修:採用後3か月以内

(2) 継続研修:年2回以上

 事業者は、この規程に定める事項のほか、運営に関する重要事項は事業者と事業所の管理者との協議に基づいて定めるものとする。

 事業所の運営規程の概要、職員の勤務体制その他の重要事項は、事業所の見やすい場所に掲示するとともに、原則としてウェブサイトに掲載するものとする。

附則

附則
この規程は、令和○年○月○日から施行する。

今回解説した、令和6年度介護報酬改定に準拠した運営規程のひな形を、編集可能なWord形式で作成しました。

運営規程ひな形1
運営規程ひな形2

こちらのテンプレートが、法令を遵守した適切な事業所運営の一助となれば幸いです。

ダウンロードはこちら⏬️
運営規程テンプレート

【重要】ご利用にあたっての注意点

本テンプレートは、運営規程を作成する際の参考資料として提供する「ひな形」です。
法令の解釈や事業所の実情は多様であり、本テンプレートがすべての事業所における法的適合性や運営実態との整合性を保証するものではありません。
ダウンロード後は、本文中の「○○」や「△△」の箇所をご自身の事業所の情報に修正するとともに、最終的には必ずご自身の責任において、行政の担当窓口などで内容の確認を行ってください。


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