こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。
この先、ケアマネジャーの未来はどうなるのでしょうか…?
利用者や家族のニーズが多様化・複雑化する中で、ケアマネジャーの役割はますます重要になっています。
しかし、現場のケアマネジャーたちは、拡大し続ける業務範囲、役割に見合わない報酬、質を求められる法定研修などの課題により、深刻な人手不足に直面しています。
こうした状況を受け、厚生労働省は2024年4月から「ケアマネジメントに関する諸課題検討会」を開催しており、ケアマネジャーの業務負担の軽減や質の向上、法定研修の見直し、人材確保の具体策などが議論されています。
そこで、今回の記事では、第1回から現在(第5回)までに行われた検討会の重要ポイントをまとめました。
回数 | 開催日 | 議題等 |
---|---|---|
第5回 | 2024年11月7日 | 1.中間整理に向けた議論について 2.その他 |
第4回 | 2024年9月20日 | 1.これまでの議論を踏まえて更に議論すべき論点について 2.その他 |
第3回 | 2024年6月24日 | 1.検討の方向性について 2.その他 |
第2回 | 2024年5月9日 | 1.ケアマネジメント関係者に対するヒアリング 2.ケアマネジメントに係る現状・課題について 3.その他 |
第1回 | 2024年4月15日 | 1.ケアマネジメントに係る現状・課題について 2.その他 |
ケアマネジャーの未来に大きな影響を及ぼす可能性のある検討会の行方を、一緒に注視していきましょう。
ケアマネジャーの人材不足の原因と解決策に関しては、以下の記事にて解説しています。
第5回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会
1.ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会での意見
この資料は、ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会でこれまでに挙げられた多岐にわたる意見を、4つの論点ごとに整理して提示しています。
論点1:ケアマネジャーの業務のあり方
- ケアマネジャーの業務範囲は、利用者や家族からの多様な相談や依頼に広がっていますが、明確な線引きが難しく、ケアマネジャーと利用者・家族間で認識のずれが生じていることが課題として浮き彫りになっています。
- 業務範囲外の対応については、ケアマネジャーが本来の業務を超えた依頼を受けるケースが少なくなく、適切な対価や責任の所在、代替策の確保などが重要な検討事項として挙げられています。
- 主任ケアマネジャーの役割は、地域包括支援センターと居宅介護支援事業所によって異なる側面があり、事務的な業務に追われて現場ケアマネジャーへの指導が十分に行えないといった課題が指摘されています。
- 地域連携の必要性については、ケアマネジャー単独ではなく、他職種や他機関との連携が不可欠であるという意見が多く、特に反復的な対応が必要なケースは地域全体の課題として、行政や地域包括支援センターが積極的に関与すべきとの指摘が目立ちます。
論点2:人材確保・定着に向けた方策
- 実務研修受講試験については、受験資格の範囲拡大や実務経験年数の緩和など、受験者増加に向けた対策が求められています。
- 処遇改善に関しては、賃金や労働時間の見直し、カスタマーハラスメントへの対策などが課題として挙げられています。
- シニア世代の働き方については、延長雇用や兼業・副業など、柔軟な働き方を許容する環境整備が重要視されています。
- 潜在ケアマネジャーへの支援として、就労意欲を高める働きかけや円滑な復職を支援する体制、研修内容の見直しなどが求められています。
- 人材確保全般については、需給バランスの適切な把握、他業種からの参入促進、働き方改革の推進など、多角的な視点からの意見が提示されています。
論点3:法定研修のあり方
- 国と都道府県の役割分担については、全国共通の基盤と地域特性に応じた内容のバランスをどのように取るかが課題となっています。
- 研修の分割受講は、負担軽減の観点から多くの支持を得ていますが、受講状況の適切な管理が課題として残ります。
- 研修に伴う負担軽減については、経済的・時間的負担を軽減するための具体的な対策が求められています。
- 研修内容に関しては、事例検討だけでなく、相談援助といった実践的なスキル習得に重点を置くべきとの意見が寄せられています。
- その他、研修のオンライン化、更新研修の見直し、研修向上委員会のあり方など、多岐にわたる意見が提示されています。
論点4:ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進
- 質の評価については、業務範囲の明確化やICTの普及が一定水準に達した段階で改めて検討すべきとの意見があります。
- ケアプラン点検は、質の向上に繋がるよう効果的に活用していくための工夫が求められています。
- 適切なケアマネジメント手法の普及促進は、ケアマネジャーだけでなく、医療関係者や行政担当者など、関係者全体への周知徹底が重要視されています。
- ICT等のテクノロジーは、業務効率化による質向上に期待が寄せられる一方、人間的な関わりとのバランスを保つことが重要との指摘があります。
- 関係機関との連携は、質の向上と多機能性を発揮するために不可欠な要素として認識されています。
- 困難事例への対応については、行政による包括的な支援体制の構築が求められています。
- その他、ニーズを的確に把握するための様式、施設におけるケアマネジメントのあり方、自社サービスへの誘導防止など、多様な意見が提示されています。
2.ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会中間整理素案
この資料は、これまでの検討会での議論を踏まえ、今後のケアマネジメントのあり方について中間整理としてまとめたものです。
ケアマネジャーの現状と課題
- 高齢化の進展に伴い、ケアマネジャーの需要は増加している一方、従事者数は横ばいまたは減少傾向にあります。
- 高齢者のニーズは複雑化しており、ケアマネジャーにはより高度な専門性と幅広い対応が求められています。
- 業務負担の軽減、人材確保、ICT活用による業務効率化、質の向上などが課題として挙げられています。
ケアマネジャーの業務の在り方
- 利用者に対する支援を総合的に提供するため、医療・介護等を含めた地域の関係者と連携することが重要です。
- 居宅介護支援事業所は個別ケアに、地域包括支援センターは地域支援に重点を置くべきです。
- 業務を「法定業務」「保険外業務」「他機関につなぐ業務」「対応困難な業務」に分類し、事務負担軽減を図るべきです。
主任ケアマネジャーの役割
- 主任ケアマネジャーは、他ケアマネジャーへの指導・助言、関係者との連携、地域ケアシステムの構築などの役割を担います。
- 事務負担を軽減し、本来の役割を発揮できる制度設計や業務効率化が求められています。
人材確保・定着に向けた方策
- 世代を超えた人材確保と定着のため、処遇改善や働きやすい環境整備が重要です。
- 受験資格や研修内容の見直し、潜在ケアマネジャーへの復職支援も求められています。
法定研修の在り方
- 質を担保しつつ、負担を軽減するため、研修の一元化、オンライン受講の推進、分割受講の導入が検討されています。
ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組み
- 質の向上には、法定研修、OJT、適切な手法の普及、ケアプラン点検など多角的な取り組みが必要です。
- 質の評価方法については、引き続き検討が必要とされています。
別添「居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務について」
別添では、居宅介護支援事業所におけるケアマネジャーの業務を以下の4つの類型に分類し、具体例を挙げています。
1. 法定業務
- 利用者からの相談対応、関係機関との連絡調整、ケアプラン作成など、介護保険法で定められた業務。
- 例: アセスメント、モニタリング、給付管理
2. 保険外サービスとして対応しうる業務
- 郵便・宅配便の受取や発送、代筆・代読、救急搬送時の同乗など、法定外の対応が可能な業務。
- 自費サービス提供やNPO団体、ボランティアとの連携が考えられます。
- 例: 部屋の片付け、ゴミ出し、買い物などの家事支援
3. 他機関につなぐべき業務
- 福祉サービス利用の支援、財産管理など、他機関との連携を要する業務。
- 例: 日常生活自立支援事業、成年後見制度の利用
4. 対応困難な業務
- 徘徊時の捜索、入院中の着替え調達、死後事務など、ケアマネジャーのみでの対応が難しい業務。
- 家族や行政、地域包括支援センターなどと連携する必要があります。
- 例: 徘徊時の捜索、死後事務
3.青森県内の介護支援専門員の業務負担に関する調査結果
この資料は、青森県内の介護支援専門員を対象に、業務負担の実態を把握するために実施された調査の結果をまとめたものです。
結果分析
- 法定研修の負担感
- 研修時間や期間の長さ、高額な受講料、研修課題と日常業務の両立が負担として挙げられています。
- 研修期間の分散化や研修時間の短縮、費用負担の軽減が求められています。
- 復職環境
- 給与の低さ、研修受講支援や費用の不足、過剰な業務量、曖昧な業務範囲が復職を阻む要因として挙げられています。
- 特に、介護福祉士と比較した給与水準の低さ、業務に見合った報酬が得られていないことが問題視されています。
- 担当件数と負担感
- 担当件数の多さ、ケアプラン連携システムの未整備、サービス担当者会議の調整の難しさが挙げられています。
- ケアプランデータ連携システムの全国普及促進、サービス担当者会議の効率化が必要です。
- ケアマネジメント業務の負担事項
- 認知症高齢者の増加、意思決定支援の難しさ、地域資源の不足、サービス調整の複雑さなどが負担となっています。
- 地域ネットワークの強化や専門スキル向上のための研修充実が求められています。
- 業務範囲外への対応
- 緊急時の対応、遠方に住む家族への対応、受診同行など、本来の業務範囲を超えた依頼が多い現状が明らかになっています。
- 明確な業務範囲の線引きと、対応する場合の報酬や責任の所在を明確にする必要があります。
青森県の現状と提言
- 研修の負担軽減
eラーニング視聴期間の延長、研修日程の分散化、研修課題の負担軽減。 - 復職支援
再研修の開催数増加、修了証発行の迅速化、復職プログラムの開発。 - 業務負担軽減
介護職・管理者兼務の解消、ケアプラン連携システムの導入促進、担当件数の適正化。 - 地域包括ケアシステムの強化
地域包括支援センターとの連携強化、地域ケア会議の活用、社会資源開発。 - 多職種協働の推進
合同研修会の実施、多職種が視聴可能な動画教材の作成。
4.工藤構成員 別添
この資料は、資料3の調査結果の詳細なデータと分析結果を補足するものです。複合語スコア、共起ネットワーク、クラスター分析などを用いて、自由記述回答から抽出されたキーワード間の関連性や頻出パターンを視覚的に示しています。
詳細データによる裏付け
資料4では、資料3で示された問題点を具体的なデータで裏付け、より深い分析結果を提供しています。
- 法定研修の負担感
「受講料」「更新研修」「課題提出」といったキーワードが頻出しており、多くの回答者が研修の費用や時間、課題量に対する負担感を抱えていることが示されています。 - 復職環境
「給与額」「研修受講支援」「業務量」「業務範囲」などが上位キーワードとして挙げられ、復職を阻む要因が明確化されています。
改善に向けた具体的な方向性
- ケアプランデータ連携システムの導入促進
事務作業の軽減に繋がる可能性が高く、多くのケアマネジャーが負担軽減を期待しています。 - 地域包括支援センターとの連携強化
認知症高齢者への対応や地域資源の活用など、複雑化する課題への対応策として重要であることが示されています。
第4回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会
1.ケアマネジャーの業務範囲と質の向上に関する意見整理
この資料は、ケアマネジメントに関する検討会で出された意見をまとめたものです。
介護報酬改定に向けて、ケアマネジャーの業務範囲や役割、人材確保、質の向上などについて、様々な観点から意見が述べられています。
論点1:ケアマネジャーの業務の在り方について
- ケアマネジャーの業務範囲の明確化
利用者や家族のニーズが多様化・複雑化する中で、ケアマネジャーの業務範囲が曖昧になっているという指摘が多く見られます。
緊急時対応など、切り離せない業務がある一方、家族の代行や要介護度と関係ない支援は業務範囲外とする意見もあります。
業務範囲を明確化することで、利用者・家族との認識のずれを防ぎ、ケアマネジャーが本来業務に集中できる環境を作る必要性が強調されています。 - 業務範囲外への対応
現実には、ケアマネジャーは業務範囲外の業務も担わざるを得ない状況があり、その対応と費用負担について議論されています。
低所得者への配慮や、保険者の役割、自費サービスの利用など、様々な視点からの検討が必要とされています。
また、市町村がリーダーシップを発揮し、関係機関と連携して対応していく重要性が指摘されています。 - 主任ケアマネジャーの役割
居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの主任ケアマネジャーの役割分担、専門性、管理業務とのバランス、地域での活動の仕組みづくりなどが課題として挙げられています。
主任ケアマネジャーの制度的位置付けを明確化し、現場のケアマネジャーを指導・育成し、地域包括ケアシステムの構築に貢献できる体制が必要とされています。 - 地域連携の必要性
ケアマネジャーが単独で抱え込まず、他職種、他機関との連携、役割分担を明確にする必要性が強調されています。
特に、複数回対応が必要なケースは地域課題として捉え、行政や地域包括支援センターが積極的に関与し、環境整備を行うべきとの意見が出ています。
論点2:人材確保・定着に向けた方策について
- 人材確保
ケアマネジャー不足は深刻化しており、様々な角度からの対策が求められています。- 受験資格の拡大
人口減少を踏まえ、より多くの層が受験できるよう、受験資格の拡大や試験方法の見直し、研修内容の充実が提案されています。
国家資格の範囲拡大や、相談援助職の経験年数緩和なども検討されています。 - 質の確保
受験資格拡大に伴う質の低下を懸念する声もあり、実務研修の充実や、基礎資格に応じた研修内容の差別化などが検討されています。
- 受験資格の拡大
- 処遇改善
賃金の低さや、業務の多忙さ、カスタマーハラスメントなどが離職理由として挙げられており、処遇改善やハラスメント対策の必要性が訴えられています。
ケアマネジャーの業務に見合った報酬設定や、ストレスマネジメントの導入などが求められています。 - 潜在ケアマネジャーの活用
資格を持ちながら離職している潜在ケアマネジャーの復職支援も重要視されています。
復職前の研修緩和や、オンライン研修の導入、働き方の柔軟化などが提案されています。 - 働き方の多様化
シニア世代が働きやすい就労環境の整備や、介護施設のケアマネジャーを在宅に重点配置する案なども出ています。
論点3:法定研修の在り方について
- 国と都道府県の役割分担
法定研修は、質の均一化と地域特性への対応のバランスを保つため、国と都道府県の役割分担を明確化する必要性が議論されています。
国が全国一律の基盤部分を、都道府県が地域の実情に合わせた内容を担うなど、具体的な分担方法が検討されています。
また、ICTを活用したオンデマンド配信で、受講しやすい環境整備も求められています。 - 研修の分割受講
働きながら研修を受講する負担を軽減するため、研修科目の分割受講や、更新期間中の柔軟な受講などが提案されています。
受講状況の管理や、科目ごとの簡易テスト導入なども検討されています。 - 研修の負担軽減
研修費用や時間に対する負担軽減を求める声が多数上がっています。
自治体や保険者による補助、法人による支援、法定外研修の読み替えなど、具体的な対策が求められています。 - 研修内容
事例検討だけでなく、相談援助などの実践的なスキルを習得できる内容にする必要性が指摘されています。
また、ICTスキル向上、認知症ケア、主任ケアマネジャー研修など、時代に合わせた内容の充実も求められています。
論点4:ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進
- 質の評価
ケアマネジメントの質を評価する手法については、多様な要因が絡み合うため、慎重な議論が必要とされています。
業務範囲の明確化やICT化が進んだ段階で、在宅生活への寄与度や自立支援、科学的介護に基づく定量的評価などを指標とする案が提案されています。 - ケアプラン点検の活用
ケアプラン点検を形式的なものにするのではなく、個別介護支援計画との整合性や地域の実情を踏まえた質の向上に繋げる必要性が強調されています。 - 適切なケアマネジメント手法の普及
ケアマネジャーの質の向上には、適切なケアマネジメント手法の普及が不可欠とされています。
研修やケアプラン点検を通して、その重要性を周知徹底し、実践に活かせるよう支援していく必要性が指摘されています。
また、課題分析標準項目の改正についても、背景や目的を丁寧に説明していく必要性が述べられています。 - ICT等のテクノロジーの効果的な利活用の推進
ICT活用による業務効率化は、ケアマネジャーの負担軽減に有効ですが、利用者との向き合い時間を減らさないよう留意する必要性が強調されています。
ケアプランデータ連携システムの普及促進や、音声入力など、具体的な技術活用が提案されています。
一方で、ICTだけでは対応できない部分もあるため、人によるケアの重要性も忘れてはならないと指摘されています。 - 関係機関との連携
質の高いケアマネジメントを提供するためには、関係機関との連携強化が不可欠です。
事業所間の連携、保険者・都道府県との連携、多職種連携など、様々なレベルでの連携促進が求められています。
日頃から情報共有や顔の見える関係づくりを進めることで、緊急時にもスムーズな対応が可能となります。 - 困難事例への対応
認知症や身寄りのない高齢者の意思決定支援など、困難事例への対応には、専門的な知識やスキルが求められます。
行政によるサポート体制の強化や、ケアマネジャーの権利擁護に関する意識向上、多職種チームによる支援などが重要とされています。 - その他
ケアマネジャーの専門性向上には、画一的な対応ではなく、柔軟な実践スキルを磨くことが重要であり、多職種チームと共通認識を持って対話できる能力も必要とされています。
また、特定事業所への偏った依頼や、自社プランへの誘導を防ぐ仕組みづくりなども求められています。
2.ケアマネジャーの業務範囲に関する課題と対応策
この資料では、ケアマネジャーの業務範囲が曖昧になっている現状と、本来業務に注力できる体制づくりの必要性について論じています。
業務範囲の課題
- 利用者の状況の複雑化
認知症、医療的ケアが必要なケース、同居家族に要介護者がいるケースが増加し、ケアマネジャーへの相談内容が多岐にわたっています。 - 業務範囲の曖昧さ
「介護保険制度以外の行政手続きの代行」「時間外相談」「入院・通院時の付き添い」など、本来業務外と考えられる業務にも対応している現状があります。 - タイムスタディ調査の結果
本来業務外の対応は頻度は低いものの、一度対応すると多くの時間を要している傾向が明らかになっています。 - 対応せざるを得ない理由
緊急性の高さや他に対応できる人がいない、地域資源があっても利用料の負担が難しいなどが挙げられています。
対応策と具体的な提案
- 業務範囲の明確化
ケアマネジャーの役割を明確にし、関係者間で共通認識を持つことが必要です。 - 市町村や地域包括支援センターとの協議
介護保険外の支援が必要な場合には、事前に対応方法を検討し、役割を整理する必要があります。 - 緊急時対応のプロセス整備
業務範囲外の対応を求められる場合のプロセスや対応方法を明確にします。 - 地域包括支援センターの支援強化
ケアマネジャーの業務範囲を超えた対応を支援し、地域ケア会議で課題を共有・解決する体制を強化します。 - 既存資源の活用
医療行為の同意など、ケアマネジャーが対応できない業務を明確化し、利用者や家族に周知徹底する必要があります。 - 新たな地域資源の創出
高齢者等終身サポート事業などの導入により、業務負担を軽減する体制を整えます。
3.ケアマネジャーの人材確保・定着に向けた取り組み
この資料では、ケアマネジャー不足の課題に対し、幅広い世代に対する人材確保・定着に向けた取り組みについて議論されています。
潜在ケアマネジャーの復職支援
- 資格を持ちながらもケアマネジャーとして就業していない「潜在ケアマネジャー」に対する復職支援が必要です。
- 具体的な支援策
- 自治体による潜在ケアマネジャーの確認と復職提案
- 職能団体による定期的な働きかけ
- オンライン参加が可能な再研修の案内
- 柔軟な就労環境の整備
- 復職前の研修緩和や、復職後に受講できる仕組みの導入
- 離職理由や復職要件の調査・分析も重要な課題とされています。
若年層やミドル層の確保
- 多くのケアマネジャーが定年を迎えることを踏まえ、若年層やミドル層の担い手確保が重要です。
- 保健・医療・福祉分野の養成機関で教育を受けた学士卒業者が就労できる新たなルートの検討なども考えられます。
シニア層の働きやすい環境整備
- シニア層のケアマネジャーが長く活躍できる環境を整えることが必要です。
- 具体的な施策
- 延長雇用など、シニア層に配慮した就労環境の整備
- 多世代にとって魅力的な職場環境を提供
介護支援専門員の現状
- 資料には、以下のデータが示されています
- 従事者数の推移
- 年齢構成の推移
- 実務研修修了者の年齢構成
- 傾向
- 60歳以上のケアマネジャーが増加
- 45歳未満のケアマネジャーは減少
- 離職理由として「年齢・体力面」が最多
4.柴口構成員提出資料
この資料は、日本介護支援専門員協会会長の柴口里則氏による意見書で、ケアマネジャーの業務における課題と、その解決に向けた提言をまとめたものです。
ケアマネジャーの業務負担が増大している現状
- 高齢者世帯の家族機能の低下により、ケアマネジャーが家族機能を補完する業務が増加している。
- 多様化するニーズに対応するための社会資源が不足しており、ケアマネジャーが本来の業務範囲を超えた業務を担わざるを得ない状況になっている。
トータルケアマネジメントの推進
- 高齢者の自立支援と重度化防止
- 介護保険制度の枠にとらわれず、日常生活全般にわたる多様な相談支援を行う「トータルケアマネジメント」の必要性がある。
- 介護保険外の社会資源の創設や再構築が必要。
- 財源の検討
- トータルケアマネジメントを推進するため、介護給付費の枠を超えた財源の検討が求められている。
主任介護支援専門員の役割
- 地域包括支援センターと居宅介護支援事業所の主任介護支援専門員では役割が異なり、それぞれが役割を発揮できる環境や研修体制が必要。
- ケアプラン点検を市区町村と連携して実施することで主任介護支援専門員の機能を発揮する機会を増やす。
- 三重県では、県の事業としてケアプラン点検を実施し、主任介護支援専門員をアドバイザーとして派遣している。
人材確保・定着に向けた対策
- 多面的視点からの対応
- 賃金、労働環境、やりがいという観点で他産業との比較を踏まえた対応が必要。
- カスタマーハラスメント対策として、国や保険者が中心となり支援体制を構築する必要がある。
- 専門性の向上
- 介護支援専門員の専門性を尊重し、後進を育成できる環境を整える。
法定研修のあり方
- 法定研修の目的を明確化し、受講者と関係者が共有することで、効果的な研修運営を目指す。
- 更新研修の負担軽減
- 複数年で受講可能な単位制を導入するべき。
ケアマネジメントの質の向上
- 質の評価基準
- 個別性を踏まえ、プロセス、ストラクチャー、アウトカム等の多面的視点から評価基準を作成する必要がある。
- ICT活用
- 個人情報の保護を適切に行いつつ、アセスメントのICT活用をさらに進めるべき。
5.落久保構成員提出資料
この資料は、広島県における介護支援専門員の現状と課題を調査した結果をまとめたものです。調査の結果、介護支援専門員は、賃金の低さ、長時間労働、複雑な事務作業、責任の重さ、ハラスメントなど、多くの課題に直面していることが明らかになりました。
主な調査結果
- 回答者の約87%が介護支援専門員として従事しており、そのうち約80%が今後も従事する予定と回答しています。
- 「従事しない」「わからない」と回答した人の理由として、「賃金が低い」「時間外勤務が多い」「事務が複雑で負担が大きい」などが挙げられています。
- 行政や関係団体等へ求める支援として、「賃金の改善」「ICTの活用等による業務負担の軽減」「業務の明確化による負担軽減」「時間外勤務の削減等による適正な労働時間の確保」などが挙げられています。
- 教育訓練給付制度については、約87%が「知っている」と回答しているものの、実際に活用したことがある人は約11%にとどまっています。
- 活用しなかった理由としては、「申請方法がわからない」「申請する時間的余裕がない」「事業所から研修費用の補助があるため必要ない」などが挙げられています。
介護支援専門員としての従事状況
- 約87%が現在従事しており、約8%が過去に従事していたものの現在は従事していません。
- 年齢層は50代が最も多く、次いで60代、40代となっています。
- 性別は女性が約74%を占めています。
- 所属の事業所は、居宅介護支援事業所が最も多く、次いで地域包括支援センター、介護老人福祉施設となっています。
課題
業務負担と賃金の不均衡
- 介護支援専門員の業務は、制度改正のたびに複雑化する書類作成、家族や利用者、行政、医療関係者等々からの様々な要望への対応、24時間365日の対応など、負担が大きいものとなっています。
- これらの業務量に対して賃金が見合っておらず、生活を維持するのが困難なケースも出てきています。
更新研修の負担
- 更新研修は、時間的、経済的、精神的に大きな負担となっており、簡素化や廃止を求める声が上がっています。
- 特に、広島県は更新研修の受講料が高額であることが問題視されています。
人材確保の難しさ
- 介護支援専門員の社会的地位が低く、業務の重要性が認識されていないことが、人材確保を難しくしている要因となっています。
- 現在の待遇や業務負担では、若い人材がこの職業を選ぶことは難しく、業界全体の存続が危ぶまれています。
改善策の提案
- 賃金の見直し、業務の簡素化、更新研修の負担軽減、介護支援専門員の専門性の向上を図る必要があります。
- 特に、処遇改善加算の導入等による、業務量に見合った賃金の引上げが求められています。
- 介護支援専門員の質の向上や待遇改善につながる仕組みを見直す必要があります。
6.第4回議事録
この資料は、令和7年9月20日に開催された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第4回)」の議事録です。
主な議論の内容
- これまでの議論を踏まえ、ケアマネジャーの専門性向上、人材確保・定着という2つのテーマについてさらに議論を深めました。
テーマ1:ケアマネジャーの専門性を更に発揮するために必要な業務の在り方や取組について
- ケアマネジャーの業務範囲は利用者や家族からの多様な相談・依頼により曖昧になっており、明確化が求められています。
- タイムスタディー調査の結果、本来業務ではない業務に割かれている時間は少ないものの、対応する場合は相応の時間を要していることが明らかになりました。
- 地域包括支援センターは、介護予防支援業務に多くの時間を割いており、地域づくり活動に十分な時間を割けていない現状が示されました。
- ケアマネジャーが本来業務に注力できるよう、ICT化による業務効率化や事務職員との役割分担、地域資源の創出について議論されました。
- 特に、本来業務とそうでない業務の線引き、地域ごとの状況に応じた対応、新たな地域資源の創出に向けた方策などが論点として挙げられました。
テーマ2:幅広い世代に対するケアマネジャーの人材確保・定着に向けた取組について
- ケアマネジャーの高齢化が進み、若年層やミドル層の担い手確保が喫緊の課題となっています。
- 潜在ケアマネジャーの復職促進、シニア層が働きやすい就労環境の整備、実務研修受講試験の受験要件緩和などが論点として挙げられました。
構成員からの意見
- 地域包括支援センターの主任ケアマネジャーは、介護予防支援業務に多くの時間を割かれ、本来業務であるケアマネジャーへの支援に十分な時間を割けていないという意見が出されました。
- 本来業務とそうでない業務の線引きを明確化しても、引継ぎや情報共有に係る負担が新たに発生する可能性が指摘されました。
- 社会資源の充実度や住民特性によって、ケアマネジャーの業務範囲外の業務量は地域によって異なるという指摘がありました。
- 保険者機能強化推進交付金等の指標は、必ずしも地域の実情を反映していない可能性が指摘されました。
- ケアマネジャーが対応せざるを得ない業務について、代替策の検討や関連業務への位置付け、一定の評価を求める意見が出されました。
- ケアマネジャーの業務範囲外の業務を地域ケア会議等で地域資源の創出を議論する際に、ボランティア・住民団体への依頼は責任が重く、市町村ごとの温度差も懸念されるという意見が出されました。
- 主任ケアマネジャーの役割として、管理者スキル習得の機会や、多様な働き方を選択できる環境整備の必要性が指摘されました。
- 地域ケア会議において、具体的な支援を行う担い手や窓口が不足しているという指摘がありました。
- 潜在ケアマネジャーの復職促進には、再研修の負担軽減や、地域を超えた復職を阻害するローカルルールの見直しが必要という意見が出されました。
- 広島県介護支援専門員協会のアンケート調査結果からは、ケアマネジャーの業務負担と賃金の不均衡、精神的ストレス、更新研修の負担、社会的地位の低さなどが課題として挙げられました。
- 介護支援専門員として就業していない有資格者の多くは、介護現場で働いており、処遇面でのインセンティブなどが不足しているため、ケアマネジャーとしての就業に至っていないという指摘がありました。
- 介護職員の確保策とセットで考えないと、介護職員の職種転換が介護現場全体の体制に悪影響を及ぼす可能性が指摘されました。
- 青森県の実態調査では、再研修機会の少なさや、復職後の制度変更へのフォロー体制不足などが課題として挙げられています。
- ケアマネジャーの仕事の魅力を中高生に伝えることの重要性、大学教育におけるケアマネジメント教育の必要性が指摘されました。
- シニア層のケアマネジャーに対しては、経験に応じた研修内容の検討や、多様な働き方ができる環境整備の必要性が指摘されました。
第3回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会
1.ケアマネジメントの在り方について
令和6年6月24日に開催された「ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会(第3回)」の資料です。
内容は、ケアマネジャーの業務範囲、人材確保・定着、法定研修、ケアマネジメントの質の向上という4つのテーマに分けられています。
ケアマネジャーの業務範囲
資料では、高齢者の抱える課題の多様化・複雑化に伴い、ケアマネジャーには幅広い相談や依頼が寄せられており、ケアマネジャーの役割の明確化と、他の専門職との連携による業務分担の必要性が指摘されています。
具体的には、金融機関手続きやゴミ出しといったケアマネジャーの業務範囲外の対応について、検討していくべきとされています。
また、利用者に対しては、契約時にケアマネジャーの業務内容を理解してもらうことも重要であるとされています。
人材確保・定着
ケアマネジャーの人材不足は深刻化しており、資料では、その要因として、業務の多忙さ、賃金の低さ、カスタマーハラスメントなどが挙げられています。
解決策として、試験内容の見直し、処遇改善、潜在ケアマネジャーへの支援、働きやすい就労環境の整備などが提案されています。
法定研修
ケアマネジャーの法定研修については、費用や時間的負担の大きさ、地域によるばらつきなどが課題として挙げられています。
資料では、研修の効率化、柔軟な受講の仕組み、研修内容の見直しなどが提案されています。
ケアマネジメントの質の向上
ケアマネジメントの質の向上には、ケアプラン点検の効果的な活用、適切なケアマネジメント手法の普及促進、ICT等のテクノロジーの利活用などが重要であるとされています。
また、関係機関との連携、困難事例への対応、専門性の評価なども重要であると指摘されています。
2.ケアマネジメントに係る現状・課題について地域包括・在宅介護支援センターからの5つの提案
ケアマネジメントに係る現状・課題について地域包括・在宅介護支援センターからの5つの提案
全国地域包括・在宅介護支援センター協議会 副会長 川北雄一郎氏が、令和6年6月24日に行われた検討会で提出した資料です。
全国地域包括・在宅介護支援センター協議会は、ケアマネジメントに関する諸課題に対し、地域包括・在宅介護支援センターの視点から5つの提案を行っています。
提案1:地域包括ケアシステムの中核機関としての連携ノウハウ活用
地域包括支援センターは、これまで地域の中核機関として、様々な機関と連携してきたノウハウを持っています。
これを活かすことで、介護支援専門員の業務範囲や役割を超えた対応や、複合・複雑化した事例にも対応できると述べています。
具体的には、成年後見制度利用促進の中核機関や重層的支援体制整備事業の多機関連携事業者と連携し、地域包括支援センターが伴走的に介護支援専門員を支援していくことを提案しています。
提案2:介護支援専門員の理解・やりがい等の普及活動への積極的な関与
介護支援専門員の業務や役割を明確化するため、地域住民、関係機関、そして介護支援専門員自身への「介護支援専門員の理解(やりがい等も含めて)」を広めていく必要があると指摘しています。
そのために、地域包括支援センターが、各種の地域や関係機関との会議等(地域ケア会議や協議体、地域との会合等)を通じて周知・広報していくことを提案しています。
さらに、介護支援専門員のあるべき姿の明確化や共通認識の醸成、介護支援専門員の魅力向上への取り組みにも積極的に関わっていくことを表明しています。
提案3:地域包括支援センターとの連携による高齢者虐待等の権利侵害防止
介護者支援を介護支援専門員だけで抱え込まず、地域包括支援センターと連携した「連携型の介護者支援」を実践することで、高齢者虐待等の権利侵害の防止につながると述べています。
提案4:地域で必要とされる研修機会・視点の共有
都道府県・市町村単位で行われている事例検討会やスキルアップ研修などの情報提供の強化を提案しています。
地域包括支援センターが、地域の状況やニーズに応じて、多機関連携を通じて、地域を支える人材育成の取り組みを進めていくことを強調しています。
提案5:地域包括支援センターの主任介護支援専門員による地域づくり
地域包括支援センターの主任介護支援専門員は、介護支援専門員へのスーパービジョンだけでなく、地域全体の体制整備や連携促進など、地域支援事業に基づく役割や業務を果たしていると述べています。
従来の包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を強化し、上記の取り組みを地域包括支援センターにおいて中心的に担うことが、今後、地域包括支援センターの主任介護支援専門員に求められる役割になると考えています。
特に、ケースの重度化・複雑化・困難化防止や早期の権利侵害防止のための予防的対応(専門職の抱え込み防止、見守りという名の放置防止等)に、地域包括支援センターは従前の包括的・継続的ケアマネジメント支援業務を強化して取り組むことが使命だと述べています。
3.「ケアマネジャー限定 実態調査アンケート」集計結果
UAゼンセン日本介護クラフトユニオンが実施した「ケアマネジャー限定 実態調査アンケート」の結果をまとめたものです。
2024年4月26日から5月6日にかけて、組合員が働く事業所を対象に調査が行われ、641件の回答が得られました。
ケアマネジャーの属性と業務範囲に関する認識
回答者の属性としては、88.6%が介護支援専門員、1.4%が主任介護支援専門員となっています。勤務先は、居宅介護支援事業所が68.6%と最も多く、次いで有料老人ホームが21.5%となっています。
回答者の多くは、「ペット・植物の世話」「利用者の入退院時の生活用品等の調達」「介護保険制度上では対応できない生活支援」などを、本来のケアマネジャーの業務範囲ではないと考えています。
しかし、これらの業務に対応したことがあると回答した人はそれぞれ88.3%、76.3%、72.7%に達しており、業務範囲外の業務をせざるを得ない現状が浮き彫りになっています。
業務範囲外の業務対応の理由と改善策
ケアマネジャーが業務範囲外の業務に対応する理由としては、「支援できる家族や友人知人がいなかったため」「自費サービスを利用する金銭的な余裕がないため」「連絡などの手続きの手間を省くため」「人手不足のため」などが挙げられています。
業務範囲外の業務を減らすためには、
- ケアマネジャーができることとできないことを明確に示す
- 不明確な業務範囲を誰が行うべきか明確に決める
- 利用者や家族が介護保険制度を理解しやすいようにする
といった対策が必要とされています。
更新研修に関する意見
更新研修については、
- 回数が多い
- 時間が長い
- 内容が多い
- 費用が高い
といった意見が多く、負担の大きさが伺えます。
一方で、
- 自己研鑽のためには必要
- オンライン研修の整備を進めて欲しい
といった意見もあり、研修内容や方法については改善を求める声が上がっています。
オンラインモニタリングとAIケアプラン作成
オンラインモニタリングについては、
- 件数が増えると思うので効率化が図れる
- 移動時間が短縮できる・ガソリン代節約できる
といった理由から行いたいという意見がある一方、
- 直接会わなければわからないことが多い
- 2ヶ月に1回行かないといけないなら負担は変わらない
といった理由から行いたくないという意見も見られます。
AIケアプラン作成については、
- 考える時間が短くなり短縮につながる
- 文章を作るのが苦手なので・・・
といった理由で使いたいという意見がある一方、
- 個別性がなくなる
- 利用者が本音を話せなくなる
- ケアマネの経験が必要なくなる
といった理由で使いたくないという意見もあります。
逓減制の緩和とケアプランデータ連携システム
逓減制の緩和(ケアマネ1人当たりの取扱い件数の増加)については、
- 質の向上のために35件未満にしたのではなかったのか?
- 事務作業が減っても相談内容は少なくならない
- サービス残業が増える
- 賃金は上がらないのに業務量が増えるばかり
- 今でも大変なのにできると思えない
といった否定的な意見が多く、現場の負担増加への懸念が強いことが分かります。
ケアプランデータ連携システムについては、14.7%が導入済みと回答しています。
導入していない事業所の理由としては、
- 連携先事業所が連携可能なシステムを導入していないため
- 導入コストが高いため
などがあります。
4.第3回議事録
第3回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会では、以下の4つの論点について議論が行われました。
ケアマネジャーの業務の在り方
- 高齢者の多様なニーズに対応するために、ケアマネジャーが地域で担うべき役割と業務範囲を明確化すること。
- 業務範囲外の業務を特定し、誰がどのように対応するのか、費用負担をどうするのかを検討すること。
- 居宅介護支援事業所と地域包括支援センターの役割分担、主任ケアマネジャーの役割、管理者業務との関係性について検討すること。
人材確保・定着に向けた方策
- ケアマネジャーの人材確保に向けた考え方を検討すること。
- 受験資格の拡大や試験方法の見直しによる受験者数増加の可能性と、質の担保について検討すること。
- 離職防止、離職・退職したケアマネジャーの職場復帰に向けた対応策を検討すること。
法定研修の在り方
- 質の確保・向上と効率化を両立させるために、講義科目の統一化や国と都道府県の役割分担について検討すること。
- 働きながら自分のペースで研修を受けられるよう、分割受講などの柔軟な仕組みについて検討すること。
- 現行の研修内容や時間数、特に更新研修について見直す必要があるかどうか検討すること。
ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進
- 質の評価手法、専門性の評価、「適切なケアマネジメント手法」の普及、ICT等の活用による業務効率化・負担軽減について検討すること。
構成員からの意見
- 多くのケアマネジャーが、本来業務ではないと感じる業務をせざるを得ない状況に置かれている。
- 介護保険外サービスの利用者にも対応せざるを得ない現状は、運営基準の「総合的かつ効率的にサービスを位置づける」という規定と矛盾している。
- 業務範囲外の業務を明確化し、相談窓口や対応、費用負担などを具体的に示す必要がある。
- 相談支援はケアマネジャーの重要な役割だが、自ら全て解決するのではなく、適切な機関につなぐ役割を明確にする必要がある。
- ケアマネジャーの賃金が低く、介護職員のキャリアアップとして魅力的ではない。
- 経験豊富なケアマネジャーが処遇改善の対象外となっている現状を改善する必要がある。
- 研修費用が高く、時間も多くかかるため、負担感が大きい。
- 全国統一のオンデマンド研修や分割受講など、柔軟な受講体制を整備する必要がある。
- ICT等の活用による業務効率化は重要だが、本人や家族と向き合う時間が減らないよう配慮が必要。
- ケアプランデータ連携システムの導入を促進し、活用を進める必要がある。
第2回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会
1.ケアマネジメント関係者に対するヒアリング
2.第2回議事録
ケアマネジャーの業務の在り方
- 現状
ケアマネジャーは、介護サービスの利用調整だけでなく、利用者の生活全般を支える多岐にわたる役割を担っています。
しかし、制度上、単独でケースを担当しなければならない現状が大きな負担となっています。 - 課題
「何でも屋」のようにあらゆる相談に対応することで、業務過多に陥っている現状があります。
また、家族内の問題など、本来の業務範囲を超えた相談にも対応せざるを得ないケースも増えています。 - 論点
ケアマネジメント業務とその他の業務の切り分け、業務負担の軽減、専門性の明確化などが議論されています。 - 今後の検討
高齢者等終身サポート事業との連携、成年後見制度との関係性なども考慮しながら、ケアマネジャーの業務範囲を明確化し、適切な評価と処遇改善につなげていく必要があります。
人材確保・定着に向けた方策
- 現状
ケアマネジャーの人材不足が深刻化しており、資格を取得しても介護職を選ぶ人材が多い現状があります。特に、島嶼部などでは深刻な状況です。 - 課題
介護職と比べて処遇改善が進んでいないため、給与差がほとんどなくなってきています。また、受講資格要件の厳格化も受験者減少の一因となっています。 - 論点
処遇改善加算の導入、受講要件の見直し、ケアマネジャーのステータス向上などが議論されています。 - 今後の検討
誰もが憧れる職業へと転換していくためには、国による明確なビジョン提示、処遇改善、キャリアパス制度の充実など、総合的な対策が必要です。
法定研修の在り方
- 現状
法定研修は、ケアマネジャーの専門性を維持・向上するために重要ですが、時間数や費用負担が大きいという意見もあります。 - 課題
研修内容が事例検討に偏っている、講師の質にばらつきがあるなどの課題も指摘されています。 - 論点
研修の負担軽減、オンライン化、内容の充実、読替研修の導入などが議論されています。 - 今後の検討
ICTを活用した研修の充実、全国統一教材の開発、研修内容の見直し、生涯学習体系との連携など、質の向上と負担軽減を両立させる必要があります。
ケアマネジメントの質の向上に向けた取り組みの促進
- 現状
ケアマネジメントの質の向上には、様々な取り組みが必要とされていますが、十分に進んでいない現状があります。 - 課題
ケアプランデータ連携システムの普及が進んでいない、適切なケアマネジメント手法が浸透していないなどの課題があります。 - 論点
ICTの活用、適切なケアマネジメント手法の普及、ケアプラン点検の充実、専門性の評価などが議論されています。 - 今後の検討
保険者による支援、地域包括支援センターとの連携強化、多職種連携の推進、評価制度の充実など、多角的な取り組みが必要です。
特に、認知症高齢者や独居高齢者への対応、意思決定支援など、複雑化するニーズに対応できる専門性を高める必要があります。
第1回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会
1.ケアマネジャーを取り巻く現状
高齢化と認知症高齢者の増加
日本では65歳以上の高齢者人口が2025年には約3,653万人に達し、2043年には3,953万人でピークを迎えると予測されています。
また、認知症高齢者も2012年の462万人(65歳以上人口の15%)から2025年には約700万人(同20%)に増加する見通しです。
認知症の増加に伴い、ケアマネジャーにはさらに高度なサポートが求められています。
多様な家族構成とケアニーズの複雑化
高齢者の単独世帯や夫婦のみ世帯が増加する中で、独居高齢者や家族の介護支援が得られないケースが増えています。
また、育児と介護を両立するダブルケアや、未成年が介護を担うヤングケアラーなど、家族の介護負担が複雑化していることがケアマネジャーの支援に新たな課題を生み出しています。
介護支援専門員養成研修の概要
介護支援専門員養成研修は、都道府県または知事指定の機関が実施しており、地域医療介護総合確保基金の活用が可能です。主な研修には、資格取得のための「実務研修」(87時間以上)、更新のための「更新研修」(88時間以上)、主任ケアマネジャー取得の「主任研修」(70時間以上)などが含まれます。
研修にかかる一部の経費(教材費や旅費など)は受講者が負担する必要があり、地域によって受講機会や負担が異なる場合もあります。
介護支援専門員法定研修カリキュラムの見直し
現行の介護支援専門員法定研修のカリキュラムは平成28年度に施行されましたが、高齢化の進展や介護現場での役割が拡大する中、実務に即した内容への見直しが必要となっています。
令和6年4月1日から施行予定の新カリキュラムでは、生活全般を幅広く捉える視点や職業倫理の強化が追加されます。
また、認知症ケアや終末期の意思決定支援の強化が盛り込まれており、利用者が多様なニーズに対応できる実践力の向上が期待されています。
2.ケアマネジャーの業務の状況
業務負担の増加
- 担当利用者数の増加
令和4年度の調査によると、ケアマネジャー1人あたりの担当利用者数は平均31.8人であり、内訳は要介護者が26.9人、要支援者が4.9人です。
担当利用者数の多さは、ケアマネジャーの業務量を増加させる大きな要因となっています。 - 多様化する支援内容
ケアマネジャーはケアプラン作成のみならず、独居高齢者の通院同行、行政手続きの代行、緊急時の対応など、介護保険外のサポートも求められています。
緊急性の高いケースが増えているため、「何でも屋」としての役割を果たす現状が指摘されています。
業務範囲外の依頼への対応
直近1年間で業務範囲外の依頼に対応したケアマネジャー事業所は67.5%にのぼります。
対応の理由としては、緊急対応が必要なケースが最も多く、地域支援が不足し、他に対応できる人がいない場合も多いことが背景にあります。
記録業務・モニタリングの負担
ケアマネジャーは、介護保険法に基づく詳細な記録作成や月1回の訪問モニタリングを行う必要があり、これが大きな負担となっています。特に認知症や独居の高齢者への対応では負担軽減策が求められます。
主任ケアマネジャーの役割と課題
主任ケアマネジャーには地域ケアマネジャーの育成や困難事例への対応が期待されています。
しかし、多忙な業務により十分な役割を果たせていない現状です。他のケアマネジャーへの指導スキルや、地域資源の開発スキルの向上が求められています。
3.人材確保・定着の状況
採用困難と応募者不足の現状
- ケアマネジャーの新規採用は難しく、令和5年度の調査では居宅介護支援事業所で「募集に対して応募がない」割合が78.7%と非常に高いことが示されています。
- 応募があっても、「希望する賃金・処遇面と条件が合わない」という理由で採用に至らないケースが多く、賃金や処遇面での不満が課題となっています。
離職率の現状とその要因
- ケアマネジャーの離職率は約10.2%で、他産業平均の15%と比較すると低いものの、「年齢・体力の問題」「賃金・処遇面」「事務作業の多さ」が主な離職理由に挙げられています。
- 特に、長時間労働や業務の広範囲さが年齢や体力面での限界を感じる理由となり、離職に繋がっている現状です。
人材確保が難しい要因
- 人材確保が困難な要因として「賃金・処遇の低さ」「業務範囲の広さ」「事務負担の大きさ」が挙げられ、賃金面の改善だけでなく、事務業務の負担軽減も現場から強く求められています。
- さらに、ICT対応にかかる負担も増加傾向にあり、ケアマネジャーにはデジタルスキルやICTリテラシーの研修も必要とされています。
受験者数の減少と定着率
- 介護支援専門員試験の受験者数と合格者数が減少しており、人材確保の課題が顕著です。
- 試験合格者の実務研修受講率が低下しているほか、実務研修を修了した人材の入職率も低下しており、早期離職が増加しています。
- これにより、介護支援専門員の育成や定着を促す総合的な対策が求められています。
4.法定研修の状況
法定研修の現状と課題
- 研修の目的と意義
調査によると、法定研修を「最低限の知識・技術を修得する場」として認識しているケアマネジャーが44.0%いる一方で、「決まりだから仕方なく受講している」と感じるケアマネジャーも27.5%存在します。 - 研修費用の負担
受講料について「高額だと感じる」という意見が9割以上を占めており、全額自己負担しているケアマネジャーが34.0%にのぼります。
このように、受講費用が負担となっている現状が明らかです。
研修内容と時間の課題
- 受講時間の負担
法定研修の時間数について、「多すぎる」と感じるケアマネジャーが9割以上にのぼり、22.5%が業務時間外での受講を余儀なくされています。
受講時間の長さが業務と両立しにくい要因となっています。 - 研修の内容と質
「演習時間が長すぎる」「講師の質に問題がある」といった不満の声も多く、研修内容の見直しが必要です。
研修内容が日常業務に活用できているかについて、受講者と実施機関の認識にはギャップが存在します。
研修のオンライン化と地域差
令和4年度の調査では、全課程・全科目をオンラインで実施している都道府県は22、対面で実施しているのは1つのみです。
オンライン研修の拡充により受講しやすさが向上していますが、地域による取り組み状況に差が見られます。
講師の確保と研修体制の整備
法定研修において、主任研修や専門課程の研修で特に講師不足が深刻です。
質の高い講師を確保し、体制を整えることが課題とされています。
5.ケアマネジメントの質の向上に向けた取組
適切なケアマネジメント手法の策定と普及
- 背景と目的
介護保険制度創設以来、ケアマネジャーによるケアプランやケアマネジメントの質にばらつきがあると指摘されてきました。これを是正し、質の高いケアを提供するため、「適切なケアマネジメント手法」の策定と普及が進められています。 - 実践と認知の課題
研修で「適切なケアマネジメント手法」を学んだケアマネジャーのうち、実際に現場で活用しているのは全体の4%に留まっており、普及促進が課題です。
権利擁護と意思決定支援の強化
認知症高齢者や身寄りのない高齢者が増える中、利用者の意思決定を尊重し、支援する体制の強化が求められています。ケアマネジャーは権利擁護の観点から、新たな意思決定支援アプローチを学び、現場での活用が期待されています。
特定事業所加算による質向上の推進
支援困難ケースや中重度者に対し、専門的なケアマネジメントを行う事業所を対象に「特定事業所加算」が設けられています。
この加算は平成18年度に導入され、研修実施や地域包括支援センターとの連携などの評価要件が設定されています。
テクノロジー活用による業務効率化
テレビ電話などを利用したオンラインモニタリングが推奨され、訪問回数の効率化が進んでいます。
また、ケアプランデータ連携システムにより転記作業が削減され、ケアマネジャーの業務負担が軽減されることが期待されています。
6.第1回議事録
第1回ケアマネジメントに係る諸課題に関する検討会では、ケアマネジメントを取り巻く様々な課題について活発な議論が行われました。
特に、ケアマネジャーの業務範囲と負担の大きさ、人材不足、質の向上、そしてこれからの時代に求められるケアマネジメントのあり方などが主要な論点として挙げられました。
ケアマネジャーの業務範囲の拡大と負担増加
多くの構成員から、ケアマネジャーの業務範囲が拡大し、負担が増加している現状が指摘されました 。
具体的には、利用者や家族からの相談内容が多岐にわたり、本来のケアプラン作成やサービス調整といった業務を超えた「何でも屋」的な役割を期待されている現状が挙げられました。
また、介護保険以外の制度との連携の難しさも指摘され、ケアマネジャーの業務範囲を明確化し、適切な役割分担を進める必要性が強調されました。
深刻化する人材不足
ケアマネジャーのなり手不足も深刻な問題として認識されました 。
賃金の低さや業務負担の大きさが、人材不足の要因として挙げられました。特に、介護職員と比較して賃金が低い現状や、資格取得までの期間の長さ、更新研修の費用負担などが問題視されました。
質の向上とこれからのケアマネジメント
ケアマネジメントの質の向上も重要なテーマとして議論されました 。
適切なケアマネジメント手法の普及や、個別ニーズに対応したケアマネジメントの必要性が強調されました。また、テクノロジーの活用についても、利用者のニーズに対応できる範囲で進めるべきとの意見が出されました。
制度設計と社会資源の活用
これらの課題を解決するためには、制度設計の見直しや社会資源の活用が不可欠であるとの認識が共有されました 。
具体的には、ケアマネジャーの処遇改善、業務負担の軽減、他職種との連携強化、地域包括支援センターの機能強化などが提案されました。
検討会における今後の展望
今後の検討会では、これらの課題を具体的に検討し、ケアマネジメントの質の向上と人材確保に向けた具体的な方策を検討していくことが期待されます 。
また、多様なサービスの担い手となる団体などからのヒアリングも予定されており、幅広い視点からの議論が期待されます。
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