こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。
オンラインモニタリングをどのように実施したら良いか分かりません。
令和6年度介護報酬改定により、以下の要件を満たすことでオンラインモニタリングの実施が可能となります。
- 利用者の同意を得ること。
- サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
- 利用者の状態が安定していること。
- 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)。
- テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
- 少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。
そして、令和6年3月15日に公表された解釈通知及びQ&Aにて、オンラインモニタリングに関する詳細も明らかになりました。
そこで今回は、オンラインモニタリングを実施するための5つの留意点について解説します。
令和6年度介護報酬改定の内容については、以下の記事で詳しく解説しています。
【モニタリングに関する解釈通知の内容】
居宅介護支援の解釈通知では、モニタリングに関してどのような記載がされていますか?
解釈通知の「モニタリングの実施(第14号)」の内容は、以下のとおりです。
※下線部が追加部分となります。
⑮ モニタリングの実施(第14号)
介護支援専門員は、モニタリングに当たっては、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、主治の医師、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、当該指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者と面接を行い、かつ、少なくとも1月に1回はモニタリングの結果を記録することが必要である。また、面接は、原則、利用者の居宅を訪問することにより行うこととする。
ただし、基準第13条第14号ロ⑴及び⑵の要件を満たしている場合であって、少なくとも2月に1回利用者の居宅を訪問し、面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月においては、テレビ電話装置等を活用して面接を行うことができる。なお、テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合においても、利用者の状況に変化が認められた場合等においては、居宅を訪問することによる面接に切り替えることが適当である。また、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、以下のイからホに掲げる事項について留意する必要がある。
イ 文書により利用者の同意を得る必要があり、その際には、利用者に対し、テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)を懇切丁寧に説明することが重要である。なお、利用者の認知機能が低下している場合など、同意を得ることが困難と考えられる利用者については、後述のロの要件の観点からも、テレビ電話装置等を活用した面接の対象者として想定されない。
ロ 利用者の心身の状況が安定していることを確認するに当たっては、主治の医師等による医学的な観点からの意見や、以下に例示する事項等も踏まえて、サービス担当者会議等において総合的に判断することが必要である。
・介護者の状況の変化が無いこと。
・住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
・サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと
ハ テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、利用者がテレビ電話装置等を介して、利用者の居宅において対面で面接を行う場合と同程度の応対ができる必要がある。なお、テレビ電話装置等の操作については、必ずしも利用者自身で行う必要はなく、家族等の介助者が操作を行うことは差し支えない。
ニ テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境等の情報については、サービス事業所の担当者からの情報提供により補完する必要がある。この点について、サービス事業所の担当者の同意を得るとともに、サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量については留意が必要である。なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するに当たっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にされたい。
ホ 主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治の医師への意見照会や、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定されるが、いずれの場合においても、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要である。また、「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。
引用元:介護保険最新情報vol.1213
さらに、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。
なお、基準第29条第2項の規定に基づき、モニタリングの結果の記録は、2年間保存しなければならない。
【オンラインモニタリングを実施するための5つの留意点】
ここからは、解釈通知の内容をもとにオンラインモニタリングを実施するための5つの留意点について解説します。
1.文章により利用者の同意を得る必要がある
オンラインモニタリングを実施するには、利用者に文章にて以下の点を説明したうえで同意を得る必要があります。
- テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリット
- 具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)
同意を得る方法は?
文章による同意はどのような方法がありますか?
厚生労働省が公表したQ&Aでは、重要事項説明書等にチェック欄を設けるなどの対応でも差し支えないとされています。
同意を得ることが難しい利用者は?
認知機能の低下により、同意を得ることが難しい利用者の場合はどうすればよいですか?
同意を得ることが困難と考えられる利用者については、オンラインモニタリングの対象外とされています。
2.サービス担当者会議等において利用者の状況が安定していることを判断する
オンラインモニタリングは利用者の状態が安定してることが条件の一つですよね?
でも、どのようにしてその判断をすれば良いですか?
まずは主治医等による医学的な観点からの意見が必要です。
さらに以下の事項等も踏まえたうえで、サービス担当者会議等において総合的に判断する必要があります。
- 介護者の状況の変化が無いこと。
- 住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
- サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いこと
オンラインモニタリングを実施するのも、主治医に照会する必要があるのですね💦
3.利用者が対面で面接を行う場合と同程度の応対ができること
それらに加えて、解釈通知には
「利用者がテレビ電話装置等を介して、利用者の居宅において対面で面接を行う場合と同程度の応対ができる必要がある」
と記載されています。
なお、テレビ電話装置等の操作については利用者自身で行う必要はなく、家族等の介助者が操作を行うことは差し支えありません。
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、訪問介護員がテレビ電話装置等の準備をすることも可能です。詳細はQ&A(訪問介護員によるテレビ電話装置等の準備について)をご覧ください。
4.サービス事業所からの情報提供による補完が必要
オンラインモニタリングでは、利用者の健康状態や住環境の詳細を確認するのが難しいことがあります。
そのため、サービス事業所からの情報提供を通じて、画面越しでは把握できない情報を補う必要があります。
どのようにしてサービス事業所からの情報提供を受ければ良いのですか?
(サービス事業所の負担にならないか心配…)
前提として、サービス事業所の担当者の同意を得る必要があります。
そのうえで、情報収集を依頼する際には「情報連携シート」の活用が想定されています。
情報連携シート…。
(また新しい書類を増えるの…💦)
厚生労働省から発出された「情報連携シート」は、以下からダウンロード可能です。
情報連携シート ダウンロード
情報連携シートに関するQ&Aは、以下をご覧ください。
5.関係者の合意に至るまでの過程を記録すること
前述したとおり、オンラインモニタリングを実施するには、主治医やサービス事業所等の関係者の合意を得る必要があります。
その方法としては、
- サービス担当者会議
- 通院、訪問診療の立合時における主治医への意見照会
- サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会
などが想定されますが、いずれの場合においても合意に至るまでの過程を記録しておく必要があります。
記録を残す必要性は理解していますが、それにより業務負担が増えるのは目に見えていますね。
【オンラインモニタリングに関するQ&A】
令和6年3月15日、厚生労働省より公表された令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1及びVol.3)から、オンラインモニタリングに関する内容をお伝えします。
1.訪問介護員によるテレビ電話装置等の準備について
- Qテレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、訪問介護員が訪問している間に、テレビ電話装置等の準備をすることは可能か。
- A
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えば ICT 機器の On/Off 等の協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法等は、あらかじめ指定居宅介護支援事業所と訪問介護事業所とで調整すること。また、協力・連携の範囲について、利用者の要望や目的によっては、適切ではない場合等もあると考えられるため、その必要性等については、状況に応じて判断する必要がある。
2.初回モニタリング時のテレビ電話装置等の活用について
- Q居宅サービス計画又は介護予防サービス計画(以下「居宅サービス計画等」という。)を作成後、初回のモニタリングについてもテレビ電話装置等を活用して行うことは可能か。
- A
要件を満たしていれば可能であるが、居宅サービス計画等の実施状況を適切に把握する観点から、初回のモニタリングは利用者の居宅を訪問して行い、その結果を踏まえた上で、テレビ電話装置等を活用したモニタリングが可能かどうかを検討することが望ましい。
3.情報連携シートの項目について
- Q情報連携シートの項目はすべて記載する必要があるか。
- A
テレビ電話装置等を活用したモニタリングのみでは収集できない情報について、居宅サービス事業者等に情報収集を依頼する項目のみを記載すればよい。
4.情報連携シート以外の記録機能の活用について
- Qサービス事業所に情報収集を依頼するにあたり、情報連携シートではなく、民間の介護ソフト・アプリの記録機能を活用する方法は認められるか。
- A
情報連携シートは様式例であるため、必ずしもこの様式に限定されないが、介護ソフト・アプリの記録機能を活用する場合においても、情報連携シートの項目と照らし、指定居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者等の連携に必要な情報が得られるかを確認すること。
5.テレビ電話装置等のトラブルによりモニタリングが実施できなかった場合について
- Q利用者に特段の事情がある場合には1月に1回(介護予防支援の場合は3月に1回)のモニタリングを行わなくてもよいが、利用者が使用するテレビ電話装置等のトラブルによりモニタリングが実施できなかった場合は特段の事情に該当するか。
- A
該当しない。この場合は、利用者の居宅への訪問によるモニタリングに切り替えること。
6.文書による利用者の同意について
- Q文書により利用者の同意を得る必要があるが、重要事項説明書等にチェック欄を設けるなどの対応でも差し支えないか。
- A
利用者やその家族に対し、テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、そのメリット・デメリットを含め十分に説明した上で、チェック欄にチェックを入れることにより同意を得ることは差し支えない。
7.サービス利用票に利用者の確認を受ける方法について
- Qテレビ電話装置等を活用してモニタリングを行う月において、サービス利用票(控)に利用者の確認を受ける方法としてどのようなものが考えられるか。
- A
訪問によるモニタリングを行う月において、直後のテレビ電話装置等を活用してモニタリングを行う月の分もサービス利用票(控)を持参し確認を受ける方法や、電子メール等により確認を受ける方法等が考えられる。
【アンケート】オンラインモニタリングは実施している?
令和6年4月からオンラインモニタリングが解禁されましたが、実際のところ、居宅ケアマネの皆さんは実施しているのでしょうか?
令和6年6月に私のX(旧Twitter)アカウントから、オンラインモニタリングの実施状況についてアンケートを実施しました。
94.2%のケアマネさんが「実施予定はない」との回答ですか。
オンラインモニタリングが普及しない要因は、「ICT環境の整備不足」よりも、主治医の合意や関係者からの情報提供が必要といった「新たな業務負担の発生」にあると見ています。
要件の緩和なしに、オンラインモニタリングが普及することはまずないでしょう。
たしかに業務負担を増やしてまでオンラインモニタリングを実施する必要性はないですよね…。
【まとめ】オンラインモニタリングの導入は慎重に判断しよう
今回は令和6年度から実施が可能となる、オンラインモニタリングの留意点について解説しました。
オンラインモニタリングは、ケアマネジメントの業務効率化を目指して導入されました。
しかし、オンラインモニタリングを実施するには、
- 利用者への説明と同意
- 主治医を含む関係者の合意とその記録
- サービス事業所への情報提供の依頼
等の手続き、記録、書類作成等が必要になります。
これらの新たな業務が発生することで、かえって業務負担が増大する可能性があります。
そのため、オンラインモニタリングを実施するにあたっては、訪問のための移動時間の削減等のメリットとともに今回解説した留意点や手間も考慮したうえで総合的に判断していきましょう。
私も熟考したうえで、オンラインモニタリングを実施するか判断します。
当サイトで販売しているテンプレートの購入方法は、以下の記事で解説しています。
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