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令和8年度の最新情報に合わせて、記事全体を書き直しました。
- 指定申請で設備はどう確認されるかを追加しました。
- 人員基準・運営基準のポイントを追加しました。
- 図解を増やし、料金などの情報を最新にしました。

こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

居宅介護支援事業所の開業準備中です。事務所にはどんな設備や備品が必要ですか?
居宅介護支援事業所を開設するには、運営基準で定められた設備と備品を整えておく必要があります。
しかし、基準の条文には「必要な広さの区画」「必要な設備及び備品等」と書かれているだけです。
何をどこまで準備すればよいのか、迷う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、一人ケアマネとして独立開業した私の経験も交えながら、開設に必要な準備を解説します。
これから独立開業を目指す方は、ぜひ準備のチェックに役立ててみてください。
開業準備の全体の流れは、こちらの記事で解説しています。
1.居宅介護支援事業所の設備基準とは
設備基準とは、居宅介護支援事業所にどんな場所と設備・備品が必要かを定めたルールです。
居宅介護支援事業所の開設には、設備基準を含めて次の3つの基準を満たす必要があります。
まずは設備基準の中身から確認していきましょう。
1-1.設備基準は「事業の本拠」を整えるルール
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(運営基準)では、設備について次のように定めています。
(設備及び備品等)
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準
第二十条 指定居宅介護支援事業者は、事業を行うために必要な広さの区画を有するとともに、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない。
また、解釈通知の老企第22号では、事業所を「居宅介護支援を行う本拠」としています。
具体的には、利用申込の調整を行い、利用者ごとの帳簿類を保管し、面接相談に必要な設備と備品を備える場所です。
1-2.押さえておきたい3つのポイント
老企第22号の内容を整理すると、ポイントは次の3つです。
① 指定居宅介護支援事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業との同一の事務室であっても差し支えないこと。(以下略)
② 専用の事務室又は区画については、相談、サービス担当者会議等に対応するのに適切なスペースを確保することとし、相談のためのスペース等は利用者が直接出入りできるなど利用しやすい構造とすること。
③ 指定居宅介護支援に必要な設備及び備品等を確保すること。(以下略)
老企第22号 第二・3・(13)設備及び備品等
1-3.細かい運用は市町村ごとに違う

「必要な広さ」とありますが、何㎡以上という決まりはあるのですか?

運営基準には、面積の数字は書かれていません。細かい運用は、指定を行う市町村が決めています。
居宅介護支援事業所の指定は、市町村が行います。
そのため、相談室の作り方や備品の確認の仕方は、市町村ごとに少しずつ違います。
たとえば横浜市は、介護保険事業における設備等のガイドラインで、事業所の設備の考え方を具体的に示しています。
この記事でも、例として横浜市のガイドラインを紹介します。開設する地域の市町村の手引きも、あわせて確認しておきましょう。
2.事業所に必要な3つのスペース


事業所には、どんなスペースが必要ですか?

事務室、相談室、会議室の3つです。相談室と会議室は兼用できます。
2-1.事務室:専用の区画があればよい
事務室は、専用の部屋があるのが望ましいとされています。
ただし、ほかの事業と同じ部屋でも、区画がはっきり分かれていれば問題ありません。
横浜市のガイドラインでは、机は介護支援専門員の人数分以上を目安にしています。
机や書庫を図面に書き込み、動線も考えて広さを決めるよう求めています。
2-2.相談室・会議室:兼用できるがプライバシーを守る
相談室と会議室は、「相談室兼会議室」として1つにまとめられます。
横浜市のガイドラインでは、次の点を求めています。
- 相談室は原則として個室にする
- 声が漏れないなど環境が整えば、パーテーションで囲んでほかの部屋に置いてもよい
- 窓際に置くときは、外から見えないようにカーテンを付ける
- 会議室は、いす3脚と車いすが入る広さがあるのが望ましい
- 車いすの人も使える机と、ひじかけのある安定したいすが望ましい
また、老企第22号では、相談のスペースを利用者が直接出入りできる構造にするよう求めています。
ほかの事業のスペースを通らないと入れない配置は避けましょう。
2-3.広さの目安
運営基準に面積の決まりはないため、置く設備と備品が無理なく収まる広さがあれば大丈夫です。

一人ケアマネの事業所なら、どれくらいの広さがあればよいですか?

私は7畳の1Kのアパートを事務所にしています。一人ケアマネなら、6〜7畳でも足ります。
事務室と相談室兼会議室は、パーテーションで仕切っています。
ケアマネを増やす予定があれば、最初から広めの物件を選びましょう。
2-4.自宅を事業所にするときの注意
自宅の一部を事業所にすることもできます。
ただし、生活のスペースと事業所のスペースを分けておく必要があります。
- 営業時間中、事業所のスペースを家族が使わないようにする
- 自宅の所有者と法人の間で、賃貸借契約や使用貸借契約を結ぶ
- 相談に来た利用者が、生活のスペースを通らずに入れるようにする
※横浜市のガイドラインの内容です。扱いは市町村によって違うため、事前に確認しましょう。
自宅と貸事務所のどちらにするか迷っている方は、こちらの記事をご覧ください。
3.開設時にそろえる10の設備・備品

基準には、備品の品名までは書かれていません。
ここでは、私が開設時にそろえたものを10個に整理して紹介します。一人で開設するときは自分のお金で準備するため、費用を抑えるコツもあわせてお伝えします。
3-1.まずは一覧で確認しよう
10個の設備・備品は、次のとおりです。
| 品目 | 用途 | 費用を抑えるコツ |
|---|---|---|
| 鍵付き書庫▶ 3-2へ | 個人情報の保管 | リサイクルショップ |
| 相談室の机・いす▶ 3-2へ | 面談と担当者会議 | リサイクルショップ |
| パーテーション▶ 3-2へ | 相談室の仕切り | 折りたたみ式を使う |
| 事務机▶ 3-3へ | 事務作業 | 高さを変えられる机 |
| パソコン▶ 3-3へ | 書類作成と連絡 | 高性能でなくてよい |
| 複合機▶ 3-3へ | 印刷・コピー・スキャン | リースより購入 |
| 電話▶ 3-4へ | 代表番号 | IP電話アプリ |
| FAX▶ 3-4へ | 事業所との連絡 | インターネットFAX |
| インターネット▶ 3-4へ | 介護ソフトなど | ネット完備の物件 |
| 介護ソフト▶ 3-5へ | ケアプランと請求 | クラウド型 |
3-2.書類の保管と相談のための備品
鍵付き書庫は、利用者ファイルなどの個人情報を保管するために欠かせません。
運営基準の秘密保持の規定(第23条)を守るうえでも必要です。
横浜市のガイドラインでは、簡単なロックのものやキャスター付きで持ち出せるものはふさわしくないとしています。
全利用者のファイルが入る大きさのものを選びましょう。
相談室の机といすは、4人掛けのコンパクトなもので十分です。
相談室が個室でない場合は、パーテーションで仕切ってプライバシーを守ります。

私は鍵付き書庫と相談室の机・いすを、リサイクルショップで購入しました。配送料を抑えるため、軽トラックを借りて自分で運びました。
パーテーションは、楽天で4枚パネルのものを2つ購入し、つなげて相談室兼会議室を作りました。
普段は部屋の隅にたたんで置いています。
3-3.事務作業のための備品
事務机は、高さを変えられるスタンディングデスクがおすすめです。
立ったり座ったりしながら作業できるので、肩こりの解消や集中力アップにつながります。
パソコンは、ケアマネ業務に使うだけなら高性能である必要はありません。
画面は15.6インチくらいあると作業しやすいです。
複合機は、業務用をリースするより、家庭用を購入したほうが費用を抑えられます。
一人ケアマネの事業所なら、印刷する量も家庭用で足ります。

私はCanonの「MAXIFY MB2130」を使っています。コンパクトで、無線LAN・両面印刷・スキャナーの機能があるので長年愛用しています。
3-4.電話・FAX・インターネット
通信の設備は、毎月の費用がかかります。
横浜市のガイドラインでは、電話とFAXは営業時間中にいつでもつながるようにすることを求めています。
私は次のように準備しました。
- 電話:固定電話をやめ、IP電話アプリのSUBLINEを使っています。050番号なら月額550円です(固定電話番号は月額990円)
- FAX:インターネットFAXのMOVFAXを使っています。FAX機がいらず、スマホやパソコンで送受信できます
- インターネット:インターネット完備の物件を選びました。完備になるまでは、スマホのテザリングで接続していました
IP電話アプリなら、外出先でも事業所の番号で電話に出られます。
ただし、通信環境によって音声が途切れることがあります。また、050番号では110番や119番にかけられないことがあります。
MOVFAXの基本料金は月額1,078円(税込)で、受信は月1,000枚まで無料です。送信は1枚11円(税込)かかります。
私の場合、MOVFAXの料金は月1,300〜1,500円くらいです。受信が多い居宅介護支援事業所には、受信無料の枠が助かります。
テザリングを使う場合は、スマホの料金プランで使えるデータ量を確認しておきましょう。
電話とFAXについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
3-5.介護ソフト
介護ソフトには、インターネット上で使う「クラウド型」と、パソコンに入れて使う「インストール型」があります。
| 比べる点 | クラウド型 | インストール型 |
|---|---|---|
| 使える端末 | パソコン・スマホ・タブレット | インストールしたパソコンだけ |
| 初期費用 | かかりにくい | かかりやすい |
| 制度改正への対応 | 自動で更新される | 自分で更新する |
| ネット環境 | 必要 | なくても使える |
私は、外出先や自宅からも使えるクラウド型をおすすめします。
インストール型だと、事業所に戻らないと入力できないためです。

私はクラウド型のカイポケを使っています。居宅介護支援の月額料金は5,000円(税別)で、開業支援サービスもあります。
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カイポケの機能や使い方は、こちらの記事で解説しています。
10個のほかに、次のものもあると安心です。
4.指定申請で設備はどう確認される?

準備した設備が基準を満たしているかは、どうやって確認されるのですか?

指定申請のときに、事業所の平面図などを提出して確認を受けます。
4-1.平面図と設備等一覧表を提出する
厚生労働省は、指定申請の書類を標準様式として示しています。
設備に関わるのは、次の2つです。
相談室や会議室の場所、鍵付き書庫の置き場所は、平面図に書き込んでおくと確認がスムーズです。
4-2.申請前に確認したい5つのポイント
書類を出す前に、次の5つを見直しておきましょう。
4-3.写真や現地確認は市町村に確認する
事業所の写真の提出や、職員による現地確認があるかどうかは、市町村によって違います。
申請の前に、市町村の担当窓口や手引きで確認しておきましょう。
申請書類の全体や提出の時期は、こちらの記事で解説しています。
5.人員基準・運営基準のポイント
設備がそろっても、人員基準と運営基準を満たしていなければ指定は受けられません。
ここでは、開設前に押さえておきたい点に絞って紹介します。
5-1.人員基準:管理者とケアマネの配置
運営基準の第2条・第3条では、事業所に置く職員を次のように定めています。
- 管理者:常勤で、原則として主任介護支援専門員であること(確保が著しく難しいなどの場合は例外あり)
- 管理者の兼務:同じ事業所の介護支援専門員の業務は兼ねられる
- 員数の基準の緩和:ケアプランデータ連携システムを使い、事務職員を置く場合は、利用者49人ごとに1人(※ケアプランデータ連携システムは、2027年1月に介護WEBサービスへ統合される予定です)
一人ケアマネで開設する場合は、自分が管理者と介護支援専門員を兼ねることになります。
そのため、主任介護支援専門員の資格を取っておく必要があります。
5-2.運営基準:開設までに準備しておくこと
運営基準には、事業所の運営で守るルールが定められています。
開設までに、次の書類やしくみを準備しておきましょう。
| 項目 | 準備するもの |
|---|---|
| 運営規程(第18条) | 営業日、実施地域、利用料などを定めた規程 |
| 説明と同意(第4条) | 重要事項説明書と契約書 |
| 掲示(第22条) | 重要事項の掲示と、ウェブサイトへの掲載 |
| 秘密保持(第23条) | 職員の誓約書と、個人情報使用の同意書 |
| 業務継続計画(第19条の2) | 感染症と災害のBCP |
| 感染症対策・虐待防止 | 委員会、指針、研修の計画 |
| 苦情処理・事故対応 | 対応の手順と記録の様式 |
条文はe-Gov法令検索で確認できます。
運営基準のチェック方法や、BCPのひな形は、こちらの記事をご覧ください。
なお、令和8年6月からは、居宅介護支援にも処遇改善加算(加算率2.1%)が設けられました。報酬や加算の内容は、令和8年度介護報酬改定の記事で解説しています。
6.まとめ
今回は、居宅介護支援事業所の設備基準を中心に、開設に必要な準備を解説しました。
最後に、準備ができているかを確認しましょう。
設備や備品は、高価なものをそろえる必要はありません。
基準を満たすことを優先して、費用を抑えながら準備を進めましょう。

これからも、独立を目指すケアマネさんを応援しています!
一人ケアマネのメリット・デメリットや、開業後の経費を抑える方法は、こちらの記事をご覧ください。

















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