ケアマネジメントプロセスにおける業務効率化と支援の質を高める方法

ケアマネ仕事術

こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。

ケアマネさん
ケアマネさん

毎日の業務が多すぎて、利用者さん一人ひとりに十分な時間を割けていない気がします…。

ケアマネジメントは、インテークから始まり、アセスメント、ケアプラン原案の作成、サービス担当者会議、ケアプランの実施、モニタリングと、複数のプロセスで構成されています。

これらのプロセスは利用者に最適な支援を行うために欠かせないものですが、その業務量の多さに負担を感じているケアマネさんも多いのではないでしょうか。

そこで、今回の記事ではケアマネジメントの各プロセスを円滑に進めるための具体的なノウハウやツールを紹介します。

ケアマネジメントプロセスにおける業務効率化と支援の質を高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。


居宅介護支援業務マニュアルのひな形は、以下の記事からダウンロード可能です。

ケアマネジメントは、利用者のニーズに基づき、適切なケアを提供するために一連のプロセスを経て進行します。

  1. インテーク
    ケアマネジメントプロセスの最初の段階であり、利用者や家族との面接・相談を通じて、基本的な情報を収集し、ケアマネジメントの対象となるかを把握します。
  2. アセスメント
    インテークで得られた情報をもとに、利用者の健康状態や生活環境をより詳細に把握します。その情報を整理・分析したうえで解決すべき課題(ニーズ)を明らかにします。
  3. 居宅サービス計画原案の作成
    アセスメントで得られた情報を基に、解決すべき課題に対する援助方針、援助目標、解決のための具体策を検討し、居宅サービス計画(ケアプラン)原案を作成します。
  4. サービス担当者会議
    作成された居宅サービス計画(ケアプラン)原案を基に、利用者、家族及び関係者との協議を行い、ケアプランが確定されます。
  5. 居宅サービス計画の実施
    居宅サービス計画(ケアプラン)に基づき、各サービスが実際に提供されます。
  6. モニタリング
    サービス開始後、利用者の状態や居宅サービス計画(ケアプラン)に位置づけたサービスの実施状況等を確認します。新たに課題が発生した場合には、再アセスメントを行い、ケアプランを再作成します。

実際の場面では、各プロセスは常に独立して行われるわけではなく、

  • インテークと契約
  • インテークとアセスメント
  • モニタリングと再アセスメント

などが同時に進行することもあります。

インテークは、ケアマネジメントプロセスにおける最初の段階であり、利用者やその家族との面接相談を通じて基本的な情報を収集します。
この段階では、利用者の生活状況や健康状態、家族の支援体制、相談内容がケアマネジメントの対象となるかを確認します。

また、インテークの段階でケアマネの役割を明確に伝えることは非常に重要です。
利用者やその家族がケアマネの役割や責任を理解することで、双方の信頼関係が深まり、スムーズなケアマネジメントが実現しやすくなります。

ヒトケア
ヒトケア

私は、居宅介護支援のパンフレットを活用して、利用者、家族にケアマネの役割や業務範囲について説明しています。
詳細記事:【ひな形あり】ケアマネの役割が伝わる!居宅介護支援事業所パンフレット

インテークの結果をもとに、次の段階である契約やアセスメントが行われます。


契約書及び重要事項説明書のひな形は、以下の記事からダウンロード可能です。

アセスメントに始まりアセスメントに終わる」という言葉が示すように、アセスメントはケアマネジメントにおいて最も重要なプロセスです。

アセスメントの機能は、ニーズの特定に向けた「情報収集」「課題分析」の2つに分けられます。

  • 情報収集
    利用者の身体的・精神的な状態、生活環境、家族の支援体制、さらには社会資源の利用状況まで、利用者の生活全体に関わるさまざまな要素を把握します。これらの情報は、利用者がどのようなニーズを持っているかを正確に特定し、適切なケアプランを作成するための基盤となります。
  • 課題分析
    収集した情報を整理・分析し、利用者が抱える問題やリスクを特定し、それらの課題を抽出します。ただし、課題の抽出にのみ焦点を当てるのではなく、利用者や家族のストレングス(強み)を見出すことも重要です。利用者やその家族が持つ強みを把握することで、課題に対するより効果的な解決策が導き出され、前向きなケアプランの作成につながります。

ケアマネさん
ケアマネさん

アセスメントシートの枚数が多すぎて、作成するのが大変です。

ヒトケア
ヒトケア

ヒトケア式アセスメントシート」は、シート3枚で必要な情報が網羅されています。

【サンプル】ヒトケア式アセスメントシート
シート1,2まで利用可能

課題分析標準項目の改正にも対応したヒトケア式アセスメントシートは、以下の記事からダウンロード可能です。

居宅サービス計画原案の作成にあたっては、アセスメントで得られた情報をもとに、利用者の課題に対する支援方針や目標を明確化するとともに、医療・介護サービス提供機関やサービス内容を位置づけます。

ケアプランには介護給付サービスに加え、必要に応じて自費サービスや地域のインフォーマルサポートも含め、包括的に位置づけることが重要です。

また、ケアプランは利用者にとって分かりやすいものでなければなりません。
そのため、専門用語は避け、利用者自身が内容を理解しやすい言葉で表現しましょう。
利用者がサービス内容を十分に理解することで、安心してサービスを利用できる環境が整います。

サービス担当者会議は、利用者、家族、サービス担当者が集まり、居宅サービス計画(ケアプラン)原案の内容について確認・共有し、実際のサービス提供に向けた具体的な方向性を決定します。

ケアプランの事前準備から会議後までにやるべきことは、以下のとおりです。

  • 関係者への周知
    会議の開催目的を明確にし、関係者に連絡をします。これにより、参加者が事前に会議の内容を把握できます。
  • 日程調整
    関係者が参加できる日時を調整します。参加方法として、「対面」だけでなく「オンライン」の選択肢を用意することで関係者が参加しやすくなります。
  • 意見照会
    サービス担当者会議を欠席するサービス事業所や関係者には、事前に意見照会を行います。
    私が行っている意見照会の方法は以下の2つです。
    1. Googleフォームによる照会
      Googleフォームを使用して照会フォームを作成し、サービス事業所等に対してチャットやメール等で照会フォームのURLを送信します。
      各事業所は、リンク先のフォームに必要な情報を入力して送信するだけで回答が完了します。
      集められた回答は自動的にGoogleスプレッドシートにまとめられ、後で確認できるようにPDF形式で保存します。
      詳細記事:紙の書類を使わずにサービス担当者会議の照会を依頼しよう
    2. チャットやメール等から直接照会
      サービスの追加のみを議題とするサービス担当者会議の場合、チャットやメール等を通じて直接照会します。この場合、サービス追加の必要性や留意点について具体的に質問し、事業所からの返信で直接回答を受け取ります。
  • ケアプラン原案の送信
    事前にケアプランの原案を関係者に送信し、内容を確認してもらうことで、会議当日に円滑な議論が可能になります。
  • オンライン参加者へのURL送信
    オンラインでの参加がある場合、会議のURLを事前に送信し、アクセス方法を案内します。
  • 開催の挨拶
    会議の開始時に、ケアマネが開催の挨拶を行い、会議の目的と流れを説明します。
  • 参加者の紹介
    参加者から簡単に自己紹介をしてもらいます。
  • ケアプラン原案に関しての協議
    利用者、家族の考えや多職種の視点を取り入れ、利用者にとって最適なケアプランとなるよう協議します。
  • ケアプランの確定
    協議の結果を踏まえ、ケアプランを確定し、実際のサービス提供に向けた準備を進めます。
オンラインの参加者がいる場合

オンラインの参加者がいる場合、開始時間に遅れないよう余裕をもって訪問し、タブレット等を使用した接続や設置箇所の確認を事前に行うことが重要です。

  • 居宅サービス計画(ケアプラン)の交付
    確定した居宅サービス計画(ケアプラン)を利用者や家族に交付します。関係者に対しては、FAXやメール、チャット等で送信(交付)しましょう。
  • 個別サービス計画書の交付依頼
    各サービス提供事業者に対して、個別サービス計画書の交付を依頼し、居宅サービス計画と個別サービス計画との整合性を確認します。
  • サービス担当者会議の要点の作成
    サービス担当者会議での議論や決定事項を要点としてまとめます。
    サービス担当者会議の要点は、今後のケアマネジメントにおける重要な記録となるため、正確かつ簡潔に作成することを心がけましょう。

ケアマネさん
ケアマネさん

サービス担当者会議に伴う、一連の業務で抜け漏れがないか心配です。

ヒトケア
ヒトケア

私は「サービス担当者会議事前準備シート」で、一元管理しています。

「サービス担当者会議事前準備シート」を使ってできること
  • 毎月のサービス担当者会議の開催件数
  • ケアプラン原案作成、サービス利用表の作成
  • 各サービス事業所の出欠
  • ケアプラン原案の送信
  • 意見照会の依頼、回答
  • 確定したケアプランの交付
  • サービス担当者会議の要点の作成

「サービス担当者会議事前準備シート」は、以下の記事からダウンロードできます。

居宅サービス計画の実施において、利用者に対して最適なケアを提供するためには、多職種による有機的な連携が不可欠です。
これまでケアマネを中心とした多職種連携が重要視されてきましたが、さらに効果的なケアを実現するためには、サービス事業所同士が直接連携し合うことが求められます。

このような連携を実現するために、グループチャットの活用が不可欠です。
グループチャットを活用することで、サービス事業所同士がリアルタイムで情報共有できます。
例えば、利用者の健康状態やサービスの提供状況について、訪問看護師やデイサービスのスタッフが直接連絡を取り合うことで、迅速な対応が可能となるでしょう。

このように、グループチャットを活用した有機的な多職種連携の体制を築いていくことが、これからのケアマネジャーに求められる「チームビルディング」といえます。


私が多職種連携の連絡ツールとして活用しているMCS(メディカルケアステーション)は、以下の記事で詳しく解説しています。

モニタリングは、居宅サービス計画の実施後、利用者が適切なケアを受けているかどうか、計画通りにサービスが提供されているかを確認するものです。
モニタリングの結果、必要に応じて再アセスメントを行い、居宅サービス計画の見直しを行います。

モニタリングの結果は、記録として残す必要があります。
この記録をしっかり管理することで、後の計画見直しに役立てることができるのです。
参考記事:シンプルなモニタリングシートを活用しよう

モニタリング記録をためてしまうと、業務全体が滞る原因になります。
そこで私は、訪問先でタブレットを使用して、モニタリングの内容をその場で入力するようにしています。
しかし、タブレットの画面にばかり目を向けていると、利用者とのコミュニケーションに支障が出てしまうこともあるため、訪問先では下書き程度に入力しましょう。
そして、訪問後に事務所に戻る前にタブレット、スマートフォン等で清書します。

ヒトケア
ヒトケア

記録を残さず事務所に戻ることをマイルールとしています。


ケアマネジャーのためのタブレット活用法は、以下の記事で解説しています。

ケアマネジメントでは、それぞれのプロセスにまたがって生じる業務が数多く存在しており、これらの業務を効率化することで、ケアマネジャーの業務負担軽減と支援の質向上を図ることができます。

以下に、特に重要な業務を紹介します。

利用者管理における業務では、利用者に関する基本情報の管理から、ケアプランの更新時期、毎月のモニタリングの実施状況まで、幅広く管理する必要があります。

ケアマネさん
ケアマネさん

ヒトケアさんはどのようにして、利用者管理をしていますか?

ヒトケア
ヒトケア

私は独自に作成した「利用者管理表」を活用しています。

【シンプル版】利用者管理の説明画像
【シンプル版】利用者管理表

【シンプル版】利用者管理表では、利用者情報を入力すると以下の件数が自動で反映されます。

1.要介護別担当件数

2.今月の更新申請

3.今月のケアプラン更新件数

4.モニタリング実施状況

5.年間の担当件数
※各月の要介護認定件数から自動転記

ヒトケア
ヒトケア

利用者管理における痒いところに手が届きます。


利用管理表の解説及びダウンロードは、以下の記事からどうぞ。

記録業務は、ケアマネジメントの各プロセスで欠かせない業務です。
インテークからアセスメント、サービス担当者会議、モニタリング等の各プロセスにおける情報を正確に記録することは、支援の質を維持するための基盤となります。
一方で、記録業務は多岐に渡ることから、その効率化が業務負担軽減に直結します。

記録業務を効率的に行うための方法として、以下の3つを紹介します。

  1. 単語登録(辞書登録)
    頻繁に使用する単語を登録しておくことで、入力作業を大幅に短縮することができます。
    例えば、自事業所の情報(事業所名、住所、電話番号、メールアドレス等)やサービス事業所の名称などをあらかじめ登録しておけば、数文字の入力で簡単に呼び出すことができ、記録業務の効率化につながります。
    参考記事:単語登録を活用してケアマネの記録業務を効率化しよう
  2. クリップボード履歴ソフト
    クリップボード履歴ソフトを活用することで、コピーしたテキストを複数保存し、必要に応じて再利用することができます。
    これにより、同じ内容を繰り返し入力する手間を省き、作業のスピードアップが図れます。特に、複数の記録をまとめて処理する際に非常に有効です。
    クリップボード履歴ソフトの「Clibor」を使用すれば、コピーしたテキストを連続で貼り付けることができます。
    また、Cliborでは定型文の登録も可能です。モニタリング後のサービス利用票交付などの定型文を登録しておけば、毎回手入力する手間がなくなります。
  3. 音声入力
    音声入力を活用することで、手入力に比べて迅速に記録を行うことができます。
    WindowsのPCの場合、キーボードの【Windows】キーを押しながら、【H】キーを押すことで音声入力が可能になります。
    ただし、音声入力の場合は、誤変換が生じやすいことから、音声入力後の確認や修正が必要となる場合もあります。

ケアマネ業務では、モニタリング、アセスメント、サービス担当者会議など、多岐にわたるスケジュールを管理する必要があります。
紙の手帳を使ってスケジュールを管理する方法もありますが、手帳をうっかり忘れてしまうとスケジュールを確認できない不便さがあります。

ケアマネさん
ケアマネさん

では、ヒトケアさんは紙の手帳は使っていないのですか?

ヒトケア
ヒトケア

わたしは、Googleカレンダーでスケジュール管理をしています。

Googleカレンダーは、Googleが提供する無料のスケジュール管理アプリです。

PCはもちろんスマートフォンやタブレットでも使用可能なため、どこからでもスケジュール管理ができます。

Googleカレンダーを活用したスケジュール管理方法は、以下の記事をご覧ください。

ケアマネ業務においては、ケアプランやアセスメントシート、モニタリングシートなど、ケアマネジャー自身が作成する書類に加え、サービス事業所からの報告書や計画書など、日々膨大な書類と向き合うことになります。
これらの書類を適切に管理し、ケースファイルに保管するには多くの時間がかかり、必要な書類を見つけることも一苦労です。

このような書類管理の煩雑さを解決し、効率化を図るためには、従来の紙による保管からクラウドストレージを活用した電子管理へと移行することが有効です。

紙の書類をスキャンして電子化し、クラウドストレージに保管すれば、インターネットに接続されたどのデバイス(端末)からでも必要な情報を瞬時に検索・取り出すことができます。
その結果、事務所に戻らずとも迅速に必要な書類を確認でき、時間の節約にもつながります。

ヒトケア
ヒトケア

私は全ての書類を電子化して、Dropbox(ドロップボックス)に保管しています。
詳細記事:【イチからわかる】Dropboxの使い方、料金、アカウント作成を徹底解説


ペーパーレス化を実現する方法は、以下の記事をご覧ください。

今回の記事では、ケアマネジメントの各プロセスを解説するとともに、業務効率化のためのノウハウを紹介しました。

ケアマネジメント業務の効率化は、ケアマネジャーの業務負担を軽減するだけでなく、支援の質向上にも直結します。

たとえば、連絡ツールを電話からチャットに変えることで、関係者間でのスムーズなコミュニケーションが可能になります。
また、シンプルなアセスメントシートを活用することで、書類作成の時間を削減しつつ、必要な情報も確実に網羅できます。
さらに、書類管理を紙ベースから電子化し、クラウドストレージに保存することで、書類管理の効率化とともに、どこでも必要な書類にアクセスできる環境が整います。

今回紹介したさまざまなツールや手法を積極的に取り入れ、業務の効率化を図ることで、業務負担の軽減とともに、ケアマネジメントの質をさらに高めていただければ幸いです。

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