
こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケアです。
はじめての方は、「ヒトケアの仕事術」活用ガイドをご覧ください。

令和8年度に介護報酬改定があるのですか?次の改定は令和9年度のはずですが…。
厚生労働省は、介護分野の処遇改善を早急に進める必要があるとして、令和9年度の定期改定を待たずに、令和8年度に介護報酬改定を行うこととしました。

3年に1度行われる定期改定とは異なり、例外的に実施される改定です。
そのため、
- どのような内容の改定なのか?
- 算定要件はどう整理されているのか?
- いつから施行されるのか?
などの疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事では、厚生労働省の資料(令和8年度介護報酬改定について)をもとに、令和8年度介護報酬改定について整理して解説します。

令和8年度介護報酬に関する最新情報が入り次第、この記事も随時更新していきます。
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1.令和8年度介護報酬改定の概要


令和8年度に介護報酬が改定されることを知らなかったので、イチから教えてください。
1-1.なぜ令和8年度に介護報酬改定が行われるのか

介護報酬改定は、原則として3年に1度行われています。
直近では令和6年度に定期改定が行われており、通常であれば、次の改定は令和9年度になるはずでした。
それにもかかわらず、今回、令和8年度に介護報酬改定が行われることになったのは、介護分野の処遇改善を早急に進める必要があると国が判断したためです。
厚生労働省は、介護職員をはじめとする介護分野の人材確保が厳しい状況にあることや、他産業との賃金水準の差、物価や賃金の上昇などを踏まえ、令和9年度の定期改定を待たずに対応する必要があるとしました。
その結果、今回の介護報酬改定は、定期改定とは異なり、例外的に行われる「期中改定」という位置づけになります。
制度全体を大きく見直すための改定ではなく、特に処遇改善を中心に、必要な対応を前倒しで行うための改定である点が特徴です。
1-2.令和8年度介護報酬改定の改定率

令和8年度介護報酬改定の改定率は、処遇改善分と基準費用額(食費)の引上げ分の合計で+2.03%となります。
令和8年度介護報酬改定は、以下の2本柱で行われます。

処遇改善の対象には、これまでの介護職員のみから、介護従事者に拡大されます。
また、新たに訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援等も対象に加わります。
2.介護職員等処遇改善加算の拡充

今回の令和8年度介護報酬改定における最大のポイントが、介護職員等処遇改善加算の拡充です。
具体的には、以下の3点が変更されます。
引用元:令和8年度介護報酬改定について
- 処遇改善加算の対象について、介護職員のみから介護従事者に拡大する(加算率の引上げ)。
- 生産性向上や協働化に取り組む事業者に対する上乗せの加算区分を設ける(加算Ⅰ・Ⅱの加算率の上乗せ)。
- 処遇改善加算の対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に処遇改善加算を新設する。

これまで介護分野では、人材不足や他産業との賃金格差が大きな課題となってきました。
今回の改定では、こうした状況を踏まえ、介護分野で働く人の賃金水準を引き上げ、人材の確保・定着を図ることが明確な目的とされています。
2-1.現行の処遇改善加算の対象サービス
介護職員等処遇改善加算は、令和8年度介護報酬改定以前から、多くの介護サービスにおいて算定されてきた加算です。
今回の改定では、これら既存の対象サービスについても処遇改善が継続・強化される一方で、サービス区分ごとに異なる加算率が設定されています。
以下は、現行の処遇改善加算の対象となっている主なサービスと加算率の一覧です。
| サービス区分 | 介護職員等処遇改善加算 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| Ⅰ | Ⅱ | III | IV | |||
| Iイ | Iロ | IIイ | IIロ | |||
| 訪問介護 | 27.0% | 28.7% | 24.9% | 26.6% | 20.7% | 17.0% |
| 夜間対応型訪問介護・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 26.7% | 27.8% | 24.6% | 25.7% | 20.4% | 16.7% |
| 訪問入浴介護★ | 12.2% | 13.3% | 11.6% | 12.7% | 10.1% | 8.5% |
| 通所介護 | 11.1% | 12.0% | 10.9% | 11.8% | 9.9% | 8.3% |
| 地域密着型通所介護 | 11.7% | 12.7% | 11.5% | 12.5% | 10.5% | 8.9% |
| 通所リハビリテーション★ | 10.3% | 11.1% | 10.0% | 10.8% | 8.3% | 7.0% |
| 特定施設入居者生活介護★・地域密着型特定施設入居者生活介護 | 14.8% | 15.9% | 14.2% | 15.3% | 13.0% | 10.8% |
| 認知症対応型通所介護★ | 21.6% | 23.6% | 20.9% | 22.9% | 18.5% | 15.7% |
| 小規模多機能型居宅介護★ | 17.1% | 18.6% | 16.8% | 18.3% | 15.6% | 12.8% |
| 看護小規模多機能型居宅介護 | 16.8% | 17.7% | 16.5% | 17.4% | 15.3% | 12.5% |
| 認知症対応型共同生活介護★ | 21.0% | 22.8% | 20.2% | 22.0% | 17.9% | 14.9% |
| 介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設・短期入所生活介護★ | 16.3% | 17.6% | 15.9% | 17.2% | 13.6% | 11.3% |
| 介護老人保健施設・短期入所療養介護(介護老人保健施設)★ | 9.0% | 9.7% | 8.6% | 9.3% | 6.9% | 5.9% |
| 介護医療院・短期入所療養介護(介護医療院)★・短期入所療養介護(病院等)★ | 6.2% | 6.6% | 5.8% | 6.2% | 4.7% | 4.0% |
※介護予防についても同様の措置を講ずる場合には★を付記
参照:令和8年度介護報酬改定について
2-2.新たに処遇改善加算の対象となるサービス(訪問看護・リハビリ・居宅介護支援等)

今回の令和8年度介護報酬改定では、処遇改善加算の対象となるサービスが拡大され、これまで対象外であった一部のサービスについても、処遇改善の枠組みが適用されることになりました。
新たに処遇改善加算の対象として位置づけられたのは、次の3つのサービスです。
- 訪問看護(加算率:1.8%)
- 訪問リハビリテーション(加算率:1.5%)
- 居宅介護支援・介護予防支援(加算率:2.1%)
2-3.処遇改善加算の取得要件
「現行の処遇改善加算の対象サービス」と「新たに処遇改善加算の対象となるサービス」では、加算の「取得ルート」や「構造」が異なります。

現行の処遇改善加算の対象サービスの取得要件

現行の処遇改善加算の対象サービス加算の構造は、すべての介護従事者を対象とした 「ベースの質上げ(1階)」と、生産性向上に取り組む事業所への「さらなる上乗せ (2階)」の2段階に整理されています。
取得要件に関しては、従来の4段階(Ⅰ~Ⅳ)の構造をベースにしつつ、「令和8年度特例要件」を満たすことでの2階部分にあたる(ロの区分)の算定が可能になります。
| 加算区分 | キャリアパス要件 | 令和8年度特例要件 (生産性向上や協働化の取組) |
|---|---|---|
| Ⅰ ロ(新設) | Ⅰ ~ Ⅴ | 必要 |
| Ⅰ イ(旧Ⅰ相当) | Ⅰ ~ Ⅴ | 不要 |
| Ⅱ ロ(新設) | Ⅰ ~ Ⅳ | 必要 |
| Ⅱ イ(旧Ⅱ相当) | Ⅰ ~ Ⅳ | 不要 |
| Ⅲ | Ⅰ ~ Ⅲ | 不要 |
| Ⅳ | Ⅰ ・ Ⅱ | 不要 |

新たに処遇改善加算の対象となるサービスの取得要件

訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等に関しては、2つの取得ルートが用意されており、いずれかを選択して算定することが可能です。
- ルート1:従来の「加算Ⅳ」に準ずる要件
- ルート2:「令和8年度特例要件」を満たす
ルート1:従来の「加算Ⅳ」に準ずる要件

処遇改善加算の基本的な体制整備を行うルートです。
- キャリアパス要件Ⅰ(賃金体系等の整備)
- キャリアパス要件Ⅱ(研修の実施等)
- 職場環境等要件(職場環境の改善)
ルート2:「令和8年度特例要件」を満たす

2つ目のルートは、ケアプランデータ連携システムに加入(※)し、実績の報告を行うことです。
※事務負担への配慮措置として、加算の申請時点では、加入又は取得の誓約で算定可能とされています。
「令和8年度特例要件」とは?


加算の要件の一つになっている、「令和8年度特例要件」とは一体何でしょう?
「令和8年度特例要件」とは、今回の改定で新設された「生産性向上や協働化」を評価する上乗せ区分(Ⅰロ、Ⅱロ)を算定するために必要な要件です。
また、今回新たに加算対象となったサービス(訪問看護・リハビリ・居宅介護支援等)が算定する際のルートの一つでもあります。
令和8年度特例要件 まとめ表
| 対象サービス区分 | 具体的な要件内容 | 配慮措置(令和8年度) |
|---|---|---|
| 訪問・通所サービス・居宅介護支援等 | 「ケアプランデータ連携システム」に加入し、実績を報告すること | 申請時点では加入の「誓約」のみで算定可能 |
| 施設サービス等 | 「生産性向上推進体制加算(Ⅰ又はⅡ)」を取得し、実績を報告すること | 申請時点では取得の「誓約」のみで算定可能 |
2-4.処遇改善の施行時期
今回の処遇改善加算の拡充は、令和8年6月1日から施行されます。

なぜ令和8年6月からなのですか?(通常は4月なのに…)

6月施行が適当である理由として、令和7年度補正予算における「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」が挙げれられます。
この事業による賃上げ支援期間が「令和7年12月から令和8年5月まで」となっているため、支援終了直後の6月から報酬改定による加算へ切れ目なく移行する必要があります。
3.基準費用額(食費)の見直し

処遇改善とともに、今回の介護報酬改定で施行されるのが基準費用額(食費)の見直しです。
今回、基準費用額(食費)が見直されることになった主な理由は、昨今の物価高騰により施設側が負担する食材料費が上昇し、国の定めた基準額では賄いきれない実態が明らかになりました。
そのため、令和9年度改定を待たずに、令和8年8月より、基準費用額(食費)を100円/日引き上げることが決定しました。

3-1.基準費用額とは何か

基準費用額とは、国が定めた、施設における食事や居住にかかる「平均的な費用の額」(定価のようなもの)です。
利用者の所得段階(第1~第4段階)によって、実際に窓口で支払う額(自己負担)は以下のように異なります。
- 所得が一定以上ある方(第4段階)
- 「基準費用額 = 自己負担」 となります。
- 施設の定めた額(基準費用額相当)を全額自分で支払います。
※正確には施設との契約額となりますが、基準費用額がベースとなります。
- 所得が低い方(第1段階~第3段階)
- 「基準費用額 > 自己負担」 となります(自己負担の方が安くなります)。
- 所得に応じた上限額(負担限度額)までを自分で支払い、残りの差額は介護保険から「補足給付」として施設に支払われます。
3-2.基準費用額見直しの内容
今回の介護報酬改定では、施設等における食費について、基準費用額(食費の日額)および利用者負担段階ごとの負担限度額が見直されます。
主なポイントは、
- 基準費用額そのものの引き上げ
- 利用者負担段階ごとの負担額の調整
の2点です。
①基準費用額(食費の日額)の引き上げ

今回の改定では、基準費用額が1日あたり100円引き上げられます。

金額は現在の1,445円から、令和8年8月より1,545円に変更されます。
この引き上げにより、
- 補足給付の対象外である利用者(第4段階)の自己負担額
- 施設が受け取る食費の基準額
が増加することになります。
②利用者負担段階ごとの変更点(負担限度額の見直し)

低所得者の負担を軽減する「補足給付」の基準となる「負担限度額(利用者が支払う上限額)」について、所得段階に応じた見直しが行われます。
低所得者(第1・2段階)は据え置きとしつつ、一定の年金収入等がある層(第3段階)には在宅生活者との公平性の観点から負担増をお願いする形になっています。
| 利用者負担段階 | 対象者の目安(概要) | 現行(~R8.7) | 改定後(R8.8~) | 引き上げ額 |
|---|---|---|---|---|
| 基準費用額 | (費用の算定基準) | 1,445円 | 1,545円 | +100円 |
| 第1段階 | 生活保護、老齢福祉年金受給者など | 300円 | 300円 | ±0円 |
| 第2段階 | 非課税世帯(年金等80万円以下) | 390円 | 390円 | ±0円 |
| 第3段階① | 非課税世帯(年金等120万円以下) | 650円 | 680円 | +30円 |
| 第3段階② | 非課税世帯(年金等120万円超) | 1,360円 | 1,420円 | +60円 |
3-3.施行時期と実務上の注意点

基準費用額(食費)の見直しの施行時期は、令和8年(2026年)8月からです。
介護職員等処遇改善加算の拡充は6月施行ですが、食費の見直しは8月施行となっており、時期が異なりますので注意が必要です。
4.まとめ(スライド解説)

今回は、令和8年度介護報酬改定の内容について解説しました。
「介護職員等処遇改善加算の拡充」と「基準費用額(食費)の見直し」について、それぞれの要点を別々の表とスライドにまとめました。
- 介護職員等処遇改善加算の拡充
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行時期 | 令和8年(2026年)6月1日 |
| 主な目的 | 他産業と遜色のない処遇改善に向けた、月額1万円相当(3.3%)のベースアップおよび生産性向上の推進 |
| 加算対象の拡大 | 従来の「介護職員」のみならず、「介護従事者」(事業所内の幅広い職種)へ対象を拡大 |
| 新設されるサービス | これまで対象外だった訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援等にも加算を新設 |
| 加算の構造見直し | ① ベースアップ(イ区分):職員の範囲拡大に伴い加算率を引き上げ(旧加算Ⅰ→新加算Ⅰイ 等) ② 上乗せ評価(ロ区分):生産性向上や協働化に取り組む事業所に対し、さらに加算率を上乗せする区分(Ⅰロ・Ⅱロ)を新設 |
| 賃上げ効果(見込み) | ・基本の引上げ:月額 1.0万円(3.3%) ・上乗せ(生産性向上):月額 0.7万円(2.4%) ・合計:最大 月額 1.9万円(6.3%) |
| 取得要件(特例) | 「令和8年度特例要件」を設定 ・訪問/通所系:ケアプランデータ連携システムの活用 ・施設系:見守り機器等の導入(生産性向上推進体制加算の取得) ※ 申請時点では、今年度中の対応の「誓約」のみで算定可能とする配慮措置あり |

- 基準費用額(食費)の見直し
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行時期 | 令和8年(2026年)8月 |
| 見直しの背景 | 食材料費の高騰により、施設が実際に要する費用が国の基準額を上回っている実態への緊急対応および在宅生活者との公平性の確保 |
| 基準費用額(食費) | 1日あたり 100円 引き上げ(現行 1,445円 → 改定後 1,545円) |
| 利用者負担(第1段階)生活保護・老齢福祉年金受給者等 | 変更なし(据え置き)(負担限度額:300円のまま) |
| 利用者負担(第2段階)非課税・年金収入等80万円以下 | 変更なし(据え置き)(負担限度額:390円のまま) |
| 利用者負担(第3段階①)非課税・年金収入等120万円以下 | +30円 引き上げ(負担限度額:650円 → 680円) |
| 利用者負担(第3段階②)非課税・年金収入等120万円超 | +60円 引き上げ(負担限度額:1,360円 → 1,420円) |
| 利用者負担(第4段階)課税世帯など | 全額自己負担(基準費用額の上昇分などがそのまま負担増となる) |









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