こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。
令和6年度の介護報酬改定で居宅介護支援は何が変わったのでしょうか?
令和6年4月1日に、令和6年度(2024年度)の介護報酬改定が施行されました。
※医療系サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導、居宅療養管理指導)の施行時期は令和6年6月1日。
令和6年1月22日には厚生労働省から、
が示されましたが、
日々の業務に追われて調べる時間がありません…。
と、お困りのケアマネさんも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、全ての居宅ケアマネさんに向けて、居宅介護支援における改訂内容を詳しく解説します。
サービス種類別の令和6年度介護報酬改定の内容に関しては、以下の記事をご覧ください。
- 【全サービス共通の改定事項】
- 【居宅介護支援・介護予防支援の基本報酬】
- 【居宅介護支援の改定事項】
- 居宅介護支援の改定事項の要点
- 1.居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
- 2.居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い
- 3.他のサービス事業所との連携によるモニタリング
- 4.入院時情報連携加算の見直し
- 5.通院時情報連携加算の見直し
- 6.ターミナルケアマネジメント加算等の見直し
- 7.業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入
- 8.高齢者虐待防止の推進
- 9.身体的拘束等の適正化の推進
- 10.ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
- 11.テレワークの取扱い
- 12.公正中立性の確保のための取組の見直し
- 13.介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)
- 14.介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準)
- 15.同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
- 16.特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
- 17.特別地域加算の対象地域の見直し
- 【まとめ】居宅介護支援の改定内容を理解して令和6年度を迎えよう!
【全サービス共通の改定事項】
改定事項 | 内容 | 参照(※) |
---|---|---|
人員配置基準における両立支援への配慮 | ・「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。 ・「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が「治療と仕事の両立ガイドライン」に沿って事業者が設ける短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。 | P118 |
管理者の責務及び兼務範囲の明確化等 | 管理者の責務について、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を行うことである旨を明確化した上で、管理者が兼務できる事業所の範囲について、管理者がその責務を果たせる場合には、同一敷地内における他の事業所、施設等ではなくても差し支えない旨を明確化する。 | P120 |
いわゆるローカルルールについて | 都道府県及び市町村に対して、いわゆるローカルルールについて、あくまでも厚生労働省令に従う範囲内で地域の実情に応じた内容とする必要があること、事業者から説明を求められた場合には当該地域における当該ルールの必要性を説明できるようにすること等を求める。 | P121 |
「書面掲示」規制の見直し | 事業所の運営規程の概要等の重要事項等について、事業所内での「書面掲示」に加え、法人のホームページ等又は情報公表システム上に掲載・公表することを義務付ける。(※令和7年度から義務付け) | P150 |
介護現場を混乱させるローカルルールが是正されることを切に願います。
【居宅介護支援・介護予防支援の基本報酬】
旧単位数は()、変更箇所は赤文字で示しています。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P177)
居宅介護支援の基本報酬
【居宅介護支援費Ⅰ】
居宅介護支援費(Ⅱ)を算定していない事業所
居宅介護支援費Ⅰ | 要介護1・2 | 要介護3・4・5 |
---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) 取り扱い件数45件未満 | 1,086単位(1,076) | 1,411単位(1,398) |
居宅介護支援(ⅱ) 取り扱い件数45件以上60件件未満 | 544単位(539) | 704単位(698) |
居宅介護支援(ⅲ) 取り扱い件数60件以上 | 326単位(323) | 422単位(418) |
【居宅介護支援費Ⅱ】
算定要件:ケアプランデータ連携システムの活用及び事務職員の配置
居宅介護支援費Ⅱ | 要介護1・2 | 要介護3・4・5 |
---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) 取り扱い件数50件未満 | 1,086単位(1,076) | 1,411単位(1,398) |
居宅介護支援(ⅱ) 取り扱い件数50件以上60件未満 | 544単位(539) | 704単位(698) |
居宅介護支援(ⅲ) 取り扱い件数60件以上 | 326単位(323) | 422単位(418) |
介護予防支援の基本報酬
介護予防支援費 | 要支援1・2 |
---|---|
介護予防支援費(Ⅰ) ※地域包括支援センターのみ | 442単位(438) |
介護予防支援費(Ⅱ) ※指定居宅介護支援事業者のみ | 472単位(新設) |
【居宅介護支援の改定事項】
改定事項の情報量が多くて把握できません。
はじめに居宅介護支援の改定のポイントをまとめました。
各改定事項に記載された青色の文字をクリックすると、詳細な解説ページへ移動します。
居宅介護支援の改定事項の要点
改定事項 | ポイント | |
---|---|---|
1 | 居宅介護支援における特定事業所加算の見直し | ◯単位数変更 ・特定事業所加算(Ⅰ)505→519単位 ・特定事業所加算(Ⅱ)407→421単位 ・特定事業所加算(Ⅲ)309→323単位 ・特定事業所加算(A)100→114単位 ◯算定要件変更 ・他の職務との兼務可能 ・ヤングケアラー、障害者等に関する事例検討会、研修等に参加していること ・運営基準減算に係る要件を削除 |
2 | 居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い | ◯介護予防支援費の単位数変更 ・介護予防支援費(Ⅰ)438→442単位 ・介護予防支援費(Ⅱ)472単位(新設) ※(Ⅱ)は居宅介護支援事業者のみ |
3 | 他のサービス事業所との連携によるモニタリング | ◯オンラインモニタリングの解禁 【要件】 ・利用者の同意 ・サービス担当者会議等での主治医、担当者等の合意 ・2月に1回は利用者宅を訪問する※予防は6月に1回 |
4 | 入院時情報連携加算の見直し | ◯単位数・算定要件変更 ・入院時情報連携加算(Ⅰ)200→250単位 ※入院当日に情報提供。入院日以前も含む。 ・入院時情報連携加算(Ⅱ)100→200単位 ※入院後3日以内に情報提供 |
5 | 通院時情報連携加算の見直し | 歯科医師の診察時の同席も対象とする。 |
6 | ターミナルケアマネジメント加算等の見直し | ◯ターミナルケアマネジメント加算 ・末期の悪性腫瘍に限定しない。 ◯特定事業所医療介護連携加算 ・前々年度の3月から前年度の2月までの間に、ターミナルケケアマネジメント加算を15回以上算定していること。 |
7 | 業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入 | ◯業務継続計画未実施減算の新設 ・所定単位数の1/100に相当する単位数を減算 ※居宅介護支援は、令和7年3月31日までの間、減算を適用しない。 |
8 | 高齢者虐待防止の推進 | ◯高齢者虐待防止措置未実施減算の新設 ・所定単位数の1/100に相当する単位数を減算 |
9 | 身体的拘束等の適正化の推進 | 身体的拘束等を行う場合には、態様、時間、利用者の状況、緊急やむを得ない理由を記録することを義務付ける。 |
10 | ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化 | 通所・訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求める「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことを明確化 |
11 | テレワークの取扱い | テレワークの取扱いの明確化 |
12 | 公正中立性の確保のための取組の見直し | 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護及び福祉用具貸与の割合等に関する利用者への説明を努力義務とする。 |
13 | 介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬) | ・居宅介護支援費(Ⅰ)(ⅰ)40→45件未満 ・居宅介護支援費(Ⅱ)(ⅱ)45→50件未満 ・要支援の利用者数の取扱件数:1/2→1/3換算 |
14 | 介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準) | 利用者の数が35又はその端数を増すごとに1とする →基本報酬における取扱件数と同じにする |
15 | 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント | 同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント(新設) ・所定単位数の95%を算定 |
16 | 特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化 | 「特別地域加算」「中山間地域等における小規模事業所加算」「中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算」に「過疎地域」を含める。 |
17 | 特別地域加算の対象地域の見直し | 前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で、見直しを行う。 |
1.居宅介護支援における特定事業所加算の見直し
(1)単位数
特定事業所加算の単位数は、全ての区分で14単位の引き上げとなりました。
名称 | 単位数 |
---|---|
特定事業所加算(Ⅰ) | 519単位/月(505) |
特定事業所加算(Ⅱ) | 421単位/月(407) |
特定事業所加算(Ⅲ) | 323単位/月(309) |
特定事業所加算(A) | 114単位/月(100) |
(2)算定要件
同一敷地内の他の事業所との兼務
利用者への居宅介護支援に支障がない場合、以下の兼務が可能となりました。
- 事業所の他の職務
- 同一敷地内にある他の事業所の職務
- 同一敷地内にある指定介護予防支援事業所の職務
多様な課題に関する事例検討会、研修等への参加
高齢者以外の対象者への支援等に関する事例検討や研修等への参加が追加されました。
- ヤングケアラー
- 障害者
- 生活困窮者
- 難病患者等
運営基準減算に係る要件の削除
「特定事業所減算の適用を受けていないこと」の要件が削除されました。
介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数の見直し
基本報酬および人員基準の介護支援専門員1人当たりの取扱い件数と同様の見直しがされました。
- 居宅介護支援費(Ⅰ)の場合:45名未満
- 居宅介護支援費(Ⅱ)の場合:50名未満
(3)単位数・算定要件の一覧表
算定要件 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | A | |
---|---|---|---|---|---|
519単位 | 421単位 | 323単位 | 114単位 | ||
1 | 専ら指定居宅介護支援の提供に当たる常勤の主任介護支援専門員を配置していること。 ※利用者に対する指定居宅介護支援の提供に支障がない場合は、当該指定居宅介護支援事業所の他の職務と兼務をし、又は同一敷地内にある他の事業所の職務と兼務をしても差し支えない。 | 2名以上 | 1名以上 | 1名以上 | 1名以上 |
2 | 専ら指定居宅介護支援の提供に当たる常勤の介護支援専門員を配置していること。 ※利用者に対する指定居宅介護支援の提供に支障がない場合は、当該指定居宅介護支援事業所の他の職務と兼務をし、又は同一敷地内にある指定介護予防支援事業所の職務と兼務をしても差し支えない。 | 3名以上 | 3名以上 | 2名以上 | 常勤・非常勤 各1名以上 |
3 | 利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること | ○ | |||
4 | 24時間連絡体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制を確保していること | ○ | ○連携でも可 | ||
5 | 算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護3、要介護4又は要介護5である者の占める割合が100分の40以上であること | ○ | × | ||
6 | 当該指定居宅介護支援事業所における介護支援専門員に対し、計画的に研修を実施していること。 | ○ | ○連携でも可 | ||
7 | 地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合においても、当該支援が困難な事例に係る者に指定居宅介護支援を提供していること | ○ | |||
8 | 家族に対する介護等を日常的に行っている児童や、障害者、生活困窮者、難病患者等、高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること | ○ | |||
9 | 居宅介護支援費に係る | ○ | |||
10 | 指定居宅介護支援事業所において指定居宅介護支援の提供を受ける利用者数が当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員1人当たり45名未満(居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は50名未満)であること | ○ | |||
11 | (介護支援専門員実務研修における科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」等に協力又は協力体制を確保していること(平成28年度の介護支援専門員実務研修受講試験の合格発表の日から適用) | ○ | ○連携でも可 | ||
12 | 他の法人が運営する指定居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を実施していること | ○ | ○連携でも可 | ||
13 | 必要に応じて、多様な主体等が提供する生活支援のサービス(インフォーマルサービスを含む)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること | ○ |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P4-5)
2.居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けて介護予防支援を行う場合の取扱い
(1)介護予防支援(Ⅱ)の新設
市町村から指定を受けて介護予防支援を行う居宅介護支援事業者を対象に、介護予防支援(Ⅱ)が新設されました。
介護予防支援費 | 要支援1・2 |
---|---|
介護予防支援費(Ⅰ) ※地域包括支援センターのみ | 442単位(438) |
介護予防支援費(Ⅱ) ※指定居宅介護支援事業者のみ | 472単位(新設) |
なぜ、介護予防支援(Ⅰ)よりも(Ⅱ)の方が報酬が高いのですか?
介護予防支援の指定を受けることにより、市町村に対して介護予防サービス計画の実施状況等に関して情報提供することが運営基準上義務づけられます。
介護予防支援(Ⅰ)と(Ⅱ)の単位数の違いは、その手間やコストに対する評価になります。
たしかにそれは手間ですね…。
一方で、指定を受けることで地域包括支援センターとの契約書やケアプラン等をやりとりする手間はなくなるかもしれませんね。
(2)運営基準の見直し
居宅介護支援事業者も市町村からの指定を受けて介護予防支援を実施できるようになることから、運営基準の見直しが行われました。
ⅰ 居宅介護支援事業所が現在の体制を維持したまま円滑に指定を受けられるよう、居宅介護支援事業者が指定を受ける場合の人員の配置については、介護支援専門員のみの配置で事業を実施することを可能とする。
引用元:令和6年度介護報酬改定における改定事項について
ⅱ また、管理者を主任介護支援専門員とするとともに、管理者が他の事業所の職務に従事する場合(指定居宅介護支援事業者である指定介護予防支援事業者の場合であって、その管理する指定介護予防支援事業所の管理に支障がないときに限る。)には兼務を可能とする。
(3)特別地域加算等の対象
居宅介護支援と同様に、以下の加算も対象となります。
- 特別地域介護予防支援加算:所定単位数の15%を加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算:所定単位数の10%を加算
- 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算:所定単位数の5%を加算
(4)図解
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P6-7)
(5)介護予防支援(Ⅰ)と(Ⅱ)の報酬面での比較
介護予防支援(Ⅰ)と(Ⅱ)では、報酬面でどの程度差がつきますか?
以下の前提条件で試算をしてみました。
- 単価:11.4円※1級地
- 介護予防支援(Ⅰ)の報酬(委託料):報酬の90%
- 担当件数:10件
名称 | ①単位数 | ②単価 | ③1件の報酬 (①×②) | ④件数 | ⑤合計 (③×④) | (Ⅱ)と(Ⅰ)の差額合計 (⑦-⑥) |
---|---|---|---|---|---|---|
介護予防支援(Ⅰ) | 442単位 | 11.4円 | 4,535円 ※90%で計算 | 10件 | ⑥45,350円 | +8,460円 ※1件の差額:846円 |
介護予防支援(Ⅱ) | 472単位 | 11.4円 | 5,381円 | 10件 | ⑦53,810円 |
1件の差額は846円なので、10件担当すると8,460円の差額が生じるのですね。
この差は大きいですね。
ただし、市町村から指定を受けられるのは介護予防支援のみになります。
介護予防ケアマネジメントに関しては、従来どおり地域包括支援センターの担当となります。
え!?
ということは、要支援のケースが全て直接契約できるわけではないということですね…。
居宅介護支援事業所が介護予防支援事業所の指定を受けるメリット・デメリットの詳細は、以下の記事をご覧ください。
3.他のサービス事業所との連携によるモニタリング
以下の要件を満たした上で、テレビ電話装置その他の情報通信機器を活用したモニタリング(オンラインモニタリング)が可能となりました。
- 利用者の同意を得ること。
- サービス担当者会議等において、次に掲げる事項について主治医、担当者その他の関係者の合意を得ていること。
- 利用者の状態が安定していること。
- 利用者がテレビ電話装置等を介して意思疎通ができること(家族のサポートがある場合も含む)
- テレビ電話装置等を活用したモニタリングでは収集できない情報について、他のサービス事業者との連携により情報を収集すること。
- 少なくとも2月に1回(介護予防支援の場合は6月に1回)は利用者の居宅を訪問すること。
いよいよ、オンラインモニタリングが解禁されるのですね!
利用者の家族等にメールやチャットでZoom等の招待URLを送信すれば、オンラインモニタリング自体は可能です。それよりも、主治医の合意を得ることの方がハードルが高いですね。
たしかに、そこで頓挫する可能性がありますね。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P8)
4.入院時情報連携加算の見直し
入院時の迅速な情報連携をさらに促進する観点から、入院時情報連携加算の単位数、算定要件について以下の見直しが行われました。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
入院時情報連携加算(Ⅰ) | 250単位/月 (200単位/月) | 利用者が病院又は診療所に入院した日のうちに、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。 ※入院日以前の情報提供を含む。 ※営業時間終了後又は営業日以外の日に入院した場合は、入院日の翌日を含む。 |
入院時情報連携加算(Ⅱ) | 200単位/月 (100単位/月) | 利用者が病院又は診療所に入院した日の翌日又は翌々日に、当該病院又は診療所の職員に対して当該利用者に係る必要な情報を提供していること。 ※営業時間終了後に入院した場合であって、入院日から起算して3日目が営業日でない場合は、その翌日を含む。 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P25)
5.通院時情報連携加算の見直し
利用者の口腔衛生の状況等を適切に把握し、医療と介護の連携を強化することでケアマネジメントの質を向上させる観点から、利用者が歯科医師の診察を受ける際に介護支援専門員が同席した場合も通院時情報連携加算加算の対象となりました。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
通院時情報連携加算 | 50単位 (変更なし) | 利用者が病院又は診療所において医師又は歯科医師の診察を受けるときに介護支援専門員が同席し、医師又は歯科医師等に対して当該利用者の心身の状況や生活環境等の当該利用者に係る必要な情報の提供を行うとともに、医師又は歯科医師等から当該利用者に関する必要な情報の提供を受けた上で、居宅サービス計画に記録した場合は、利用者1人につき1月に1回を限度として所定単位数を加算する。 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P26)
6.ターミナルケアマネジメント加算等の見直し
(1)ターミナルケアマネジメント加算
ターミナルケアマネジメント加算について、人生の最終段階における利用者の意向を適切に把握することを要件とした上で、対象疾患を末期の悪性腫瘍に限らず、医師が回復の見込みがないと診断した利用者が対象となりました。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
ターミナルケアマネジメント加算 | 400単位/月 | 在宅で死亡した利用者( |
(2)特定事業所医療介護連携加算
特定事業所医療介護連携加算におけるターミナルケアマネジメント加算の算定回数が5→15回に変更されました。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
特定事業所医療介護連携加算 | 125単位/月 | 前々年度の3月から前年度の2月までの間においてターミナルケアマネジメント加算を15回以上算定していること。 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P43)
7.業務継続計画未策定事業所に対する減算の導入
BCP(業務継続計画)策定の徹底を求める観点から、感染症若しくは災害のいずれか又は両方の業務継続計画が未策定の場合、基本報酬が減算されます。
名称 | 対象サービス | 単位数 |
---|---|---|
業務継続計画未実施減算 | 施設・居住系サービス | 所定単位数の100分の3に相当する単位数を減算 |
その他のサービス ※居宅介護支援はこちら | 所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算 | |
【算定要件】 ◯以下の基準に適合していない場合 ・感染症や非常災害の発生時におけるBCP(業務継続計画)を策定すること ・当該業務継続計画に従い必要な措置を講ずること ※ 令和7年3月31日までの間、感染症の予防及びまん延の防止のための指針の整備及び非常災害に関する具体的計画の策定を行っている場合には、減算を適用しない。 ※訪問系サービス、福祉用具貸与、居宅介護支援については、令和7年3月31日までの間、減算を適用しない。 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P49)
居宅介護支援のBCPをどのように作成したら良いか分かりません…。
以下の記事で、居宅介護支援のBCP作成例について詳しく解説しています。
8.高齢者虐待防止の推進
虐待の発生又はその再発を防止するための措置が講じられていない場合に、基本報酬が減算されます。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
高齢者虐待防止措置未実施減算 | 所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算 | ◯虐待の発生又はその再発を防止するための以下の措置が講じられていない場合 ・虐待防止検討委員会の開催※テレビ電話も可 ・指針の整備 ・研修の実施 ・担当者の設置 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P50-51)
すみません、高齢者虐待防止のための指針も整備できていません…。
高齢者虐待防止の指針の作成例に関しては、以下の記事で解説しています。
9.身体的拘束等の適正化の推進
身体的拘束等の更なる適正化を図る観点から、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(解釈通知)に、以下の内容が追記されました。
③ 身体的拘束等の原則禁止や身体的拘束等を行う場合の記録(第2の2号及び第2の3号)基準第 13 条第2の2号及び第2の3号は、当該利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体的拘束等
引用元:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について
を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
また、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性及び一時性の3つの要件を満たすことについて、組織等としてこれらの要件の確認等の手続きを極めて慎重に行うこととし、その具体的な内容について記録しておくことが必要である。
なお、基準省令第 29 条第2項の規定に基づき、当該記録は、2年間保存しなければならない。
身体的拘束等の適正化に関しては、減算はないのですか?
身体拘束廃止未実施減算が適用されるのは、
・短期入所系サービス
・多機能系サービス
の2サービスになります。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P52-53)
10.ケアプラン作成に係る「主治の医師等」の明確化
退院後早期にリハビリテーションを開始する観点から、居宅サービス計画に通所及び訪問リハビリテーションを位置付ける際に意見を求める「主治の医師等」に、入院中の医療機関の医師を含むことが明確化されました。
○ 居宅介護支援等の具体的取扱方針に以下の規定を追加する(居宅介護支援の例)※赤字が追記部分
引用元:令和6年度介護報酬改定における改定事項について
<指定居宅介護支援の具体的取扱方針>
訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション等については、主治の医師等がその必要性を認めたものに限られるものであることから、介護支援専門員は、これらの医療サービスを居宅サービス計画に位置付ける場合にあっては主治の医師等の指示があることを確認しなければならない。
このため,利用者がこれらの医療サービスを希望している場合その他必要な場合には、介護支援専門員は、あらかじめ、利用者の同意を得て主治の医師等の意見を求めるとともに、主治の医師等とのより円滑な連携に資するよう、当該意見を踏まえて作成した居宅サービス計画については,意見を求めた主治の医師等に交付しなければならない。なお、交付の方法については、対面のほか、郵送やメール等によることも差し支えない。
また、ここで意見を求める「主治の医師等」については、要介護認定の申請のために主治医意見書を記載した医師に限定されないことに留意すること。特に、訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションについては、医療機関からの退院患者において、退院後のリハビリテーションの早期開始を推進する観点から、入院中の医療機関の医師による意見を踏まえて、速やかに医療サービスを含む居宅サービス計画を作成することが望ましい。(後略)
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P79)
11.テレワークの取扱い
人員配置基準等で具体的な必要数を定めて配置を求めている職種のテレワークに関して、以下を前提として取扱いの明確化を行い、職種や業務ごとに具体的な考え方が示されることとなりました。
- 個人情報を適切に管理している
- 利用者の処遇に支障が生じない
居宅介護支援事業所でもテレワークはできるのでしょうか?
介護サービス事業所の中で、テレワークに最も適しているのが居宅介護支援事業所です。
居宅介護支援事業所のテレワーク導入方法は、以下の記事をご覧ください。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P110)
12.公正中立性の確保のための取組の見直し
事業者の負担軽減を図るため、次に掲げる事項に関して利用者に説明し、理解を得ることが居宅介護支援事業者の努力義務となりました。
- 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスの割合
- 前6か月間に作成したケアプランにおける、訪問介護、通所介護、地域密着型通所介護及び福祉用具貸与の各サービスにおける、同一事業者によって提供されたものの割合
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P131)
利用者への支援に影響のない業務が見直されるのは大歓迎ですね!
半年ごとの特定事業所集中減算の計算は継続されますので、お気をつけください。
13.介護支援専門員1人当たりの取扱件数(報酬)
基本報酬(居宅介護支援費)の介護支援専門員1人当たりの取扱件数について、以下の見直しがされました。
居宅介護支援費Ⅰ | 要介護1・2 | 要介護3・4・5 |
---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) 取り扱い件数45件未満 | 1,086単位(1,076) | 1,411単位(1,398) |
居宅介護支援(ⅱ) 取り扱い件数45件以上60件件未満 | 544単位(539) | 704単位(698) |
居宅介護支援(ⅲ) 取り扱い件数60件以上 | 326単位(323) | 422単位(418) |
居宅介護支援費Ⅱ ※ケアプランデータ連携システムの活用及び事務職員の配置 | 要介護1・2 | 要介護3・4・5 |
---|---|---|
居宅介護支援(ⅰ) 取り扱い件数50件未満 | 1,086単位(1,076) | 1,411単位(1,398) |
居宅介護支援(ⅱ) 取り扱い件数50件以上60件未満 | 544単位(539) | 704単位(698) |
居宅介護支援(ⅲ) 取り扱い件数60件以上 | 326単位(323) | 422単位(418) |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P132)
ケアプランデータ連携システムの活用や事務員を配置したとしても、ケアマネ1人が50件を担当するのは現実的ではありません…。
14.介護支援専門員1人当たりの取扱件数(基準)
基本報酬における取扱件数との整合性を図る観点から、指定居宅介護支援事業所ごとに1以上の員数の常勤の介護支援専門員を置くことが必要となる人員基準について、以下の見直しが行われました。
基本報酬と人員基準における取扱件数が一致したことで、整合性がとれましたね。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P133)
15.同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント
介護報酬が業務に要する手間・コストを評価するものであることを踏まえ、同一建物に居住する利用者へのケアマネジメントに対して減算が適用されます。
名称 | 単位数 |
---|---|
同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント | 所定単位数の95%を算定 |
「同一建物に居住する利用者へのケアマネジメント」の対象となる利用者となる利用者について教えてください。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P141)
16.特別地域加算、中山間地域等の小規模事業所加算及び中山間地域に居住する者へのサービス提供加算の対象地域の明確化
「特別地域加算」、「中山間地域等の小規模事業所加算」、「中山間地域に居住する者へのサービス提供加算」の算定対象地域に、過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法の規定を適用することとされている過疎地域が含まれました。
名称 | 単位数 | 算定要件 |
---|---|---|
特別地域加算 | 所定単位数に15/100を乗じた単位数 | 別に厚生労働大臣が定める地域(※1)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合 ※1:①離島振興対策実施地域、②奄美群島、 ③振興山村、④小笠原諸島、⑤沖縄の離島、 ⑥豪雪地帯、特別豪雪地帯、辺地、過疎地域等であって、人口密度が希薄、交通が不 便等の理由によりサービスの確保が著しく 困難な地域 |
中山間地域等における小規模事業所加算 | 定単位数に10/100を乗じた単位数 | 別に厚生労働大臣が定める地域(※2)に所在する事業所が、サービス提供を行った場合 ※2:①豪雪地帯及び特別豪雪地帯、②辺地、 ③半島振興対策実施地域、④特定農山村、 ⑤過疎地域 |
中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数に5/100を乗じた単位数 | 別に厚生労働大臣が定める地域(※3)に居住する利用者に対し、通常の事業の実施地域を越えて、サービス提供を行った場合 ※3:①離島振興対策実施地域、②奄美群島、 ③豪雪地域及び特別豪雪地域、④辺地、⑤ 振興山村、⑥小笠原諸島、⑦半島振興対策 実施地域、 ⑧特定農山村地域、⑨過疎地域、⑩沖縄の離島 |
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P151)
17.特別地域加算の対象地域の見直し
過疎地域その他の地域で、人口密度が希薄、交通が不便等の理由によりサービスの確保が著しく困難であると認められる地域であって、特別地域加算の対象として告示で定めるものについて、前回の改正以降、新たに加除する必要が生じた地域において、都道府県及び市町村から加除の必要性等を聴取した上で見直しが行われます。
参照:令和6年度介護報酬改定における改定事項について(P152)
【まとめ】居宅介護支援の改定内容を理解して令和6年度を迎えよう!
今回は、令和6年度(2004年度)の居宅介護支援における介護報酬改定の内容について解説しました。
介護保険制度は3年ごとの改定を繰り返しながら、介護サービス事業者に求める内容が増加しています。
居宅介護支援においても様々な見直しが行われており、それらを理解したうえで業務を遂行する必要があります。
今回の記事では、居宅介護支援における改定内容を網羅しています。
繰り返し確認することで理解を深めていただければ幸いです。
私も今回の記事を読んで、万全の状態で令和6年度を迎えたいと思います!
厚生労働省から令和6年度介護報酬改定のQ&A等が発出され次第、こちらの記事にも追記します。
当サイトで販売しているテンプレートの購入方法は、以下の記事で解説しています。
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