【令和6年度版】主任ケアマネジャーの役割、受講要件、研修内容について解説

ケアマネ独立

こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。

ケアマネさん
ケアマネさん

いつか居宅ケアマネとして独立したいです。

ヒトケア
ヒトケア

居宅介護支援事業所の管理者要件である主任ケアマネの資格取得を目指しましょう。

平成30年度介護報酬改定において「ケアマネ事業所における人材育成の取組を促進するため、主任ケアマネジャーであることを管理者の要件とする」とされました。

つまり居宅介護支援事業所を開設するためには、主任介護支援専門員の資格を持っていることが最低条件になるのです。

そこで今回は主任介護支援専門員の資格取得方法について解説します。


ケアマネの独立開業の流れを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)とは?

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)は、平成18年度(2006年度)の介護保険法改正で創設されたケアマネジャー(介護支援専門員)の上位資格です。

主任ケアマネジャーには以下のような役割が求められます。

主任介護支援専門員に求められる役割
  • 他のケアマネジャーへの助言や指導
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けた地域づくりの実践

地域包括支援センターでは必置の職種となっています。
令和3年4月1日からは居宅介護支援事業所も原則として主任ケアマネジャーが管理者の要件となりました。

ヒトケア
ヒトケア

私は2018年2月に主任ケアマネジャーの資格を取得しました。

主任ケアマネジャーは関係者の間では「主任ケアマネ」や「主マネ」と呼ばれています。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)になるには?

受講要件

ケアマネジャーから主任ケアマネジャーになるための資格試験はありませんが「主任介護支援専門員研修」を修了しなければなりません。

主任介護支援専門員研修の受講要件は、専門研修課程Ⅰ及び専門研修課程Ⅱ又は実務経験者に対する介護支援専門員更新研修を修了した者で以下の4つのいずれかに該当する必要があります。

① 専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上である者(ただし、管理者との兼務は期間として算定できるものとする。)

② 「ケアマネジメントリーダー活動等支援事業の実施及び推進について」(平成14年4月24日老発第0424003号厚生労働省老健局長通知)に基づくケアマネジメントリーダー養成研修を修了した者又は日本ケアマネジメント学会が認定する認定ケアマネジャーであって、専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して3年(36ヶ月)以上である者(ただし、管理者との兼務は期間として算定できるものとする。)

③ 施行規則第140条の66第1号イの(3)に規定する主任介護支援専門員に準ずる者として、現に地域包括支援センターに配置されている者

④ その他、介護支援専門員の業務に関し十分な知識と経験を有する者であり、都道府県が適当と認める者

また、受講対象者の選定に当たっては、特に質の高い研修を実施する観点から、上記の要件以外に、都道府県において実情に応じた受講要件を設定することは差し支えないものとする。

厚生労働省 主任介護支援専門員研修ガイドライン

以上の受講要件の中で該当者が最も多く一般的なルートとなるのが、①の「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年(60ヶ月)以上である者」になります。

ヒトケア
ヒトケア

私もケアマネジャーとして5年の実務経験を経て主任介護支援専門員研修の受講要件を満たしました。

受講申込の提出書類の中に「実務経験証明書」があります。

今の事業所でケアマネとしての実務経験が5年に満たない場合は、以前に勤めていた法人(事業所)にも実務経験証明書の記入を依頼します。

前の法人と揉めて退職した場合は、実務経験証明書の記入依頼をするのが大変気まずいです…。

そうならないためにも今いる事業所とは良好な関係を維持し、退職後いつでも敷居を跨げるようにしましょう。

研修科目・形式・時間・実施方法

研修科目・形式・時間は以下のとおりです。
※令和6年4月より研修カリキュラムが変更になりました。

研修科目形式時間
(1)主任介護支援専門員の役割と視点講義5
(2)ケアマネジメントの実践における倫理的な課題に対する支援講義2
(3)終末期ケア (EOL(エンドオブライフ)ケア)を含めた生活の継続を支える基本的なケアマネジメント及び疾患別ケアマネジメントの理解講義3
(4)人材育成及び業務管理講義3
(5)運営管理におけるリスクマネジメント講義3
(6)地域援助技術 (コミュニティソーシャルワーク)講演6
(7)地域における生活の継続を支えるための医療との連携及び多職種協働の実現講・演 6
(8)対人援助者監督指導(スーパービジョン)講・演18
(9)個別事例を通じた介護支援専門員に対する指導・支援の展開講・演24
合計70時間 

研修は、原則としてオンラインで実施されます。

ただし、「オンライン研修コース」の受講に必要な通信環境等の準備が困難である場合を考慮して、演習のみ会場に集合して行う「集合研修コース」も実施されます。

コース科目(1)・(6)~(9)科目(2)~(5)
オンライン研修コースZoomを使用 インターネット上で動画を視聴(オンデマンド形式)
集合研修コース会場へ集合インターネット上で動画を視聴(オンデマンド形式)

研修自体が大変なことはいうまでもないですが、受講開始前に作成する事例の提出が地味に大変なんです。
しかも主任介護支援専門員研修では「対⼈援助者監督指導」と「個別事例を通じた介護支援専門員に対する指導・支援の展開」の2事例を提出する必要があります。
この2事例の提出が夏休みの宿題のように重くのしかかってくるのです…。
提出期限ギリギリに徹夜で資料を作成することがないよう、早めに事例作成をしましょう。

受講料

主任介護支援専門員研修の受講料は都道府県によって異なります。

詳細は令和4年度の主任介護支援専門員研修の受講料をご覧ください。

出典:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和6年3月) 認知症施策・地域介護推進課

以下の表は、主任介護支援専門員研修における日本の都道府県別の最高料金と最低料金を示しています。

和歌山県が最も高く、料金は67,500円です。一方で島根県が最も低く、料金は24,070円です。

この二つの都道府県の料金差額は43,430円となっています。

都道府県料金
和歌山県67,500円
島根県24,070円
差額43,430円
ケアマネさん
ケアマネさん

同じ研修内容で、なぜこれほどの金額の差が出るのでしょうか…。

主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)の更新制度について

平成28年度から主任ケアマネジャーの資格にも更新制度が導入されました。

主任ケアマネジャー資格の有効期間は、主任介護支援専門員研修の修了年月日から起算して5年間です。

主任ケアマネジャーの有効期間のおおむね2年以内の方が更新研修の受講要件の一つです。

研修時間は46時間。

受講料は全国平均で37,421円になります(※令和4年度の場合)

主任介護支援専門員更新研修を受けなかった場合は?

主任介護支援専門員更新研修を受けなった場合は、主任介護支援専門員としての資格は失効して介護支援専門員に戻ってしまいます。

そうなると居宅介護支援事業所の管理者要件を満たせなくなるため、管理者を継続する場合は必ず更新しましょう。

【経験談】主任ケアマネジャー(主任介護支援専門員)になって変わったこと

ここまで主任介護支援専門員の資格取得や更新制度について解説しました。

ヒトケア
ヒトケア

ここからは私が主任ケアマネジャーになって変わったことをお伝えします。

私が主任ケアマネジャーになってから、以下のような取り組みを始めました。

主任ケアマネジャーになってからの新たな取り組み
  • 地域の医療福祉関係者とのネットワーク作り
  • 地域のケアマネジャーへの支援
  • 地域包括支援センターとの連携

共通するキーワードは「地域」です。

主任ケアマネジャーを取得した年から、地域の訪問看護師さん、保健師さんと一緒に地域の医療介護関係者との交流会を開始しました。

当時(2019年)は集合形式で開催していましたが、2020年初頭から始まった新型コロナウイルスの影響により、2021年からはオフライン(Zoom)にて開催を継続しています。

またICTを活用した新たなネットワーク作りとして、医療介護従事者専用のコミュニケーションツールであるMCS(メディカルケアステーション)でのコミュニティも作り、地域の情報共有を図っています。

新人の一人ケアマネとして不安を抱えながら仕事をしていた頃、「もっと地域で身近に相談できるケアマネさんがいれば…」と、痛感する毎日でした。

その経験から、地域のケアマネさん同士のオンラインによる座談会を開催しています。

ヒトケア
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地域のケアマネさんとのネットワークを作るのは、一人ケアマネである自分自身のためでもあります。

主任ケアマネジャーになってから、地域包括支援センターと連携する機会も増えました。

地域包括支援センターとの連携実績
  • 介護者向けの交流会の講師
  • 地域連携会議の出席
  • 地域のケアマネ、サービス事業所との情報交換会の参画やファシリテーターとしての参加
ヒトケア
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上記の連携を通じて、地域包括支援センターとのつながりもより深まりました。

「地位は人を作る」ということわざがあります。

それなりの地位に就くと、その地位にふさわしい人間に成長していくということ。

ことわざ辞典

という意味です。

私の場合は、主任ケアマネジャーになってから地域貢献への意識が高まり、前述の具体的な行動に繋がりました。

まさに「主任ケアマネジャー」という地位を得たことにより自分自身を成長させてくれたといえます。

【まとめ】居宅介護支援事業所の独立を目指すなら主任ケアマネを取得しよう

今回は主任介護支援専門員の資格取得方法から取得後の更新制度について解説しました。

この記事のまとめ
  • 居宅介護支援事業所の管理者は主任ケアマネジャーが管理者でなければならない
  • ケアマネジャーから主任ケアマネジャーになるためには「主任介護支援専門員研修」を受講する必要がある
  • 主任介護支援専門員研修の受講要件の一つにケアマネジャーとしての実務経験があり、最も一般的な一般的なルートは5年の実務経験を積むこと
  • 3~4ヶ月で70時間の研修を修了する必要がある
  • 主任介護支援専門員にも更新制度あり。資格の有効期間のおおむね2年前から受講可能
ケアマネさん
ケアマネさん

独立するためには主任介護支援専門員の資格が必要だと分かりました!

まずは5年の実務経験を積んで、主任ケアマネを目指します!

ヒトケア
ヒトケア

私もケアマネ1年目の頃から「いつか自分で居宅介護支援事業所を開設するんだ!」と希望を持って働いていました。

新人ケアマネさんは、今のうちに沢山を積んで、立派な主任ケアマネとして羽ばたいてください!

居宅介護支援事業所の独立開業で失敗しないためのポイントは、以下の記事で解説しています。