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こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。
電話やチャットなどのコミュニケーションツールをどう使い分ければ良いですか…。
ケアマネジャーの皆さん、利用者や関係者と関わる場面で、最適なコミュニケーション手段を選ぶのに頭を悩ませることはありませんか?
従来の対面や電話に加え、ビデオ通話、メール、チャットといった新しい手段も増えたことで、コミュニケーションが効率的に行えるようになりました。
一方で、それぞれの特徴に応じた使い分けができないと、誤解やトラブルが生じたり、信頼関係を損ねてしまうこともあります。
また、時間や労力が余計にかかってしまうケースも少なくありません。
そこで今回は、ケアマネジャーの皆さんがコミュニケーション手段を「賢く使い分ける」ためのヒントをお届けします。
それぞれの手段のメリットとデメリット、どの場面でどのツールが適しているのかを具体的に解説していきます。
コミュニケーションツールを上手に使い分け、効率的な情報共有と信頼関係の構築を目指しましょう。
ケアマネジメントプロセスにおける業務効率化と支援の質を高める方法は、以下の記事にて解説しています。
1.コミュニケーションの定義
はじめに、コミュニケーションの定義について理解していきましょう。
齋藤孝氏の著書『コミュニケーション力』によれば、コミュニケーションとは、
「意味」や「感情」をやり取りする行為
だと定義されています。
【参考文献はこちら】
「意味」や「感情」をやり取りする行為…。もう少し詳しく教えてください!
「意味」のやり取りとは
まず「意味」のやり取りについて説明します。
ここでいう「意味」とは、正確で誤解のない情報共有のことです。
ケアマネジャーの業務では、利用者に関する情報やケアプランの内容、サービス担当者会議の日程など、正確に伝えなければならない情報が多くあります。
もしこれらの情報が曖昧だったり、誤解を招く形で伝えられたりすると、支援の質に影響が出るだけでなく、利用者や家族に不安を与えてしまう恐れがあります。
そのため、情報共有の際には相手にしっかりと「意味」が伝わるように、正確で分かりやすい表現を心がけることが重要です。
「感情」のやり取りとは
次に、「感情」のやり取りについて考えてみましょう。
「感情」のやり取りは、利用者や家族、関係者との信頼関係を築く上で大切な要素です。
信頼関係の構築には、単に情報(意味)を伝えるだけでなく、相手の気持ちに共感し、丁寧な言葉遣いや配慮が求められます。
また、表情や姿勢などの非言語的なコミュニケーションも、時に言葉以上の力を持ちます。
こうした「感情」をうまく伝え合うことで、利用者や家族、関係者との信頼関係が深まり、質の高い支援を提供する基盤が整うのです。
コミュニケーションの座標軸
ここでは、「意味」と「感情」による座標軸を用いて、コミュニケーションのタイプを4つのゾーンに分けて見ていきます。
Dゾーン(意味も感情も低いゾーン)
Dゾーンは、意味の伝達も感情の共有もできていない状態を指します。
このゾーンでは正確な情報が伝わらず、相手の気持ちに寄り添う姿勢も欠けているため、誤解や不信感が生じやすくなります。
利用者や関係者に不安を与えてしまう可能性が高く、最も避けるべきコミュニケーションの状態です。
Cゾーン(感情は高いが、意味は低いゾーン)
Cゾーンは、意味のやり取りが少なく、感情的なつながりを重視したコミュニケーションが行われるゾーンです。
たとえば、家族や友人との会話でお互いの気持ちを分かち合う場面がこれに当たります。
利用者や家族とも雑談や日常的な会話を大切にすることで、心を開きやすい関係が築かれ、信頼感を深めることができます。
Bゾーン(意味は高いが、感情は低いゾーン)
Bゾーンでは、感情のやり取りは少ないものの、必要な情報が正確に共有されている状態です。
業務連絡や利用者の状態報告、日程調整など、効率的な情報共有が求められる場面に適しています。
Aゾーン(意味も感情も高いゾーン)
最後はAゾーンです。
ここは「意味」と「感情」の両方が豊かに伝わる理想的なゾーンで、情報の正確性と共に、相手の気持ちに対する共感や配慮も行き届いています。
このゾーンでのコミュニケーションは、信頼関係を築きつつ、確実な情報収集が求められる重要な場面で特に効果的です。
このように、意味や感情の「やり取りの量」により各ゾーンが分かれており、それに適したコミュニケーション手段が存在します。
2.各コミュニケーション手段のメリット・デメリット
コミュニケーションの手段にはどのようなものがありますか?
ケアマネ業務で用いられるコミュニケーションの手段としては、以下の4つが挙げられます。
それぞれに異なる特徴があり、使い分けることで業務の効率化や信頼関係の構築に繋がります。
ここでは、4つの手段についてのメリット・デメリットを見ていきましょう。
「対面」のメリット・デメリット
メリット
- 利用者の状態を正確に把握できる
対面では、表情や身振り、体調の変化など、非言語的な情報も確認できるため、利用者の状態をしっかりと理解できます。 - 信頼関係の構築がしやすい
直接顔を合わせることで、相手に親しみや安心感を与えやすく、信頼関係を築くうえで有効です。 - その場での質問や確認がスムーズ
対面では、疑問や不安に思うことをすぐに質問できるため、リアルタイムで解決できる利点があります。
デメリット
- 移動時間がかかる
対面でのコミュニケーションには移動が伴うため、時間の負担が増えることがあります。 - スケジュール調整が必要
双方の予定を合わせる必要があり、調整に手間がかかることがあります。 - 災害や感染症の状況で制限が生じる
対面が難しくなる状況では、他の手段を活用せざるを得ない場合があります。
「ビデオ通話」のメリット・デメリット
メリット
- 対面に近い感覚で会話ができる
ビデオ通話では、表情や声のトーンも伝わるため、対面に近い臨場感でコミュニケーションが可能です。 - 移動が不要
物理的な移動が必要ないため、時間の効率化が図れます。 - 感染症や災害時でも対応可能
直接の接触がないため、安全なコミュニケーション手段として利用できます。
デメリット
- 通信環境に依存する
インターネット接続が不安定だと、画質や音声に影響が出るため、スムーズなコミュニケーションが難しくなることがあります。 - 相手の全体状況が見えにくい
映像に映る範囲が限られるため、全身の様子や周囲の環境が確認しづらいことがあります。 - 準備や操作が必要
パソコンやスマートフォンの操作、アプリの設定など、事前準備や操作が必要です。
「電話」のメリット・デメリット
メリット
- 迅速に連絡が取れる
相手がすぐに出られる場合、即座に会話を始められるため、緊急の連絡にも適しています。 - 感情のニュアンスが伝わる
声のトーンや話し方から、相手の感情や意図をある程度汲み取ることができます。 - 機器の制約が少ない
特別なアプリやインターネット接続がなくても利用できるため、手軽に使えます。
デメリット
- 時間が拘束される
電話はリアルタイムのコミュニケーション手段であるため、双方がその時間を共有し、他の業務に集中できない点で拘束されます。 - 一対一のやり取りに限られる
電話では複数の人に一斉に伝えることが難しく、同じ情報を複数人に伝える際に効率が低下します。 - 記録が残らない
内容がその場でしか確認できないため、メモを取るなどの工夫が必要です。
「テキスト」のメリット・デメリット
メリット
- 時間に制約されずに送受信できる
テキストはお互いの都合に合わせて送受信できるため、時間の自由度が高い手段です。 - 記録が残り、後から確認できる
メッセージが記録されるため、必要に応じて過去のやり取りを見返すことができます。 - グループでの情報共有が容易
一斉送信やグループチャットで、複数の人と同時に情報を共有することが可能です。
デメリット
- 即時の応答が得られないことがある
相手が都合の良いときに確認するため、緊急の連絡には不向きです。 - 感情が伝わりにくい
表情や声のトーンが伝わらないため、ニュアンスが伝わりにくく、誤解が生じる場合があります。 - 内容を整理して書く手間がかかる
わかりやすく伝えるために、情報を簡潔に整理して書く必要があります。
3.コミュニケーション手段をどう使い分けるか
4つのコミュニケーション手段をどう使い分ければ良いですか?
コミュニケーション手段を効果的に使い分けるために、私は左図ような階層構造をイメージしています。
階層は、下位から順に「テキスト」「電話」「ビデオ通話」「対面」となり、上に行くほど「意味」と「感情」を豊かに伝えることができます。
では、それぞれのツールの具体的な活用場面を見ていきましょう。
「テキスト」の活用場面
「テキスト」は、迅速かつ正確な情報共有や確認に最適な手段です。
コミュニケーションの座標軸において一般的に 「Bゾーン」 にあたります。Bゾーンは「意味」を重視し、効率的かつ正確な情報共有を目的とする領域で、「感情」のやり取りが少ないのが特徴です。
「電話」の活用場面
「電話」は、迅速な対応が必要な場面や、テキストでは伝えにくい感情表現が求められる場合に適しています。
コミュニケーションの座標軸では、通話の目的や内容によって「Bゾーン」や「Cゾーン」に位置します。
「ビデオ通話」の活用場面
「ビデオ通話」は、対面に近い形で「意味」と「感情」をバランスよく伝えることができる手段です。
コミュニケーションの座標軸では、「Aゾーン」 や 「Bゾーン」 に位置することが多いです。
どちらのゾーンになるかは、やり取りの目的や重要度によって変わります。
「対面」の活用場面
「対面」は、コミュニケーションの座標軸において「Aゾーン」に位置することが多く、「意味」と「感情」を最も豊かに伝えることができます。
4.【まとめ】コミュニケーション手段を適切に使い分けて支援の質を高めよう
今回は、ケアマネジメントにおける「対面」「ビデオ通話」「電話」「テキスト」といったコミュニケーション手段の使い分けについて解説しました。
4つの手段の中でも、「対面」は「意味」と「感情」を深いレベルで伝えることができる方法です。
一方で、「対面」には日程調整や移動時間が必要となるため、すべての場面で実施するのは現実的ではありません。
そのため、業務における「意味」のやり取りは、効率的かつ正確な「テキスト」を中心に行うことが重要です。
そうすることで、Aゾーンにあたる「対面」のコミュニケーションが求められる大切な場面に、十分な時間と労力をかけて対応できるようになります。
コミュニケーションツールの活用は目的ではなく、より良いコミュニケーションを実現するための手段です。
状況に応じて適切に使い分けることで、利用者や家族に安心感を与え、信頼関係を築きながら、質の高い支援を目指していきましょう。
コミュニケーション手段を上手に使い分けて、より良い支援を目指していきます!
ケアマネ業務に役立つ各種テンプレートは、以下の記事にて紹介しています。
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