こんにちは。居宅介護支援事業所で一人ケアマネをしているヒトケア(@hito_care)です。
「毎日の電話対応で記録業務が追いつかない」
「電話で連絡した内容が上手く伝わっていなかった」
「仕事をしているご家族との電話がつながりにくい」
電話による多職種やご家族との連携に効率の悪さを感じているケアマネジャーは多いのではないでしょうか?
私も以前は、多職種やご家族への連絡の殆どは電話を利用していました。
その中で電話に変わる連絡ツールを探し続けて出会ったのが、今回紹介するMCS(メディカルケアステーション)です。
MCSは無料で使える医療介護専用のコミュニケーションツールです。
MCSを多職種で利用すれば、LINEグループのように複数人(多職種やご家族)で連絡を取ることができます。
MCSを活用した多職種によるグループチャットの体制が構築されると、
- 一つのメッセージ(情報)の送信で関係者全員と共有できる
- サービス事業所同士による直接の連携(連絡)ができる
- メッセージの記録を支援経過記録に貼り付けることができる
などが実現します。
今回はMCSを初めて知る方も理解できるよう、以下の内容を解説します。
MCSの活用による業務効率化と多職種連携の質向上を実現したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
MCS(メディカルケアステーション)とは
MCS(メディカルケアステーション)は、全国の医療介護の現場で利用されている地域包括ケア・多職種連携のためのコミュニケーションツールです。
アカウントを作成することで、パソコン・タブレット・スマートフォンから利用できます。
MCSのメッセージは時系列で残るため、メッセージの履歴を確認することで支援経過が手に取るように分かります。
MCSには主な機能として、
の2つがあります。
MCSの主な機能その①:患者グループ内での多職種連携
MCSのメイン機能が“患者グループ内での多職種連携”です。
MCSでは利用者さん(患者さん)一人ひとりのグループを作成して、多職種やご家族とのグループチャットを行います。
チャットルームは、
- 医療・介護側(多職種のみが参加)
- 患者側(多職種+本人、家族も参加)
の2グループがあり、メッセージの内容によってチャットルームを使い分けることができます。
MCSの主な機能その②:「コミュニティ」での関係者との交流
MCSの機能は利用者さん個別の多職種連携だけではありません。
全国の医療介護従事者と繋がることができる「コミュニティ」機能もあります。
「コミュニティ」に参加することで、地域、専門性、疾患など様々なテーマや目的を持った全国の医療介護従事者や、医療介護関連企業の人達と意見交換ができます。
MCSでは“コミュニティだからできること”として、以下の説明がされています。
私の地域の医療介護関係者のコミュニティを作成し、200名近い関係者が参加しています。
MCSの活用により多職種連携はどう変わるのか
MCSが医療介護専用のコミュニケーションツールであることは理解できました。
でも実際にMCSで多職種連携をすると、どんなメリットがあるのですか?
MCSの活用により実現することは次の2つです。
MCSを使いこなせるようになれば、電話やFAXよりも遥かに効率的で質の高い連携が実現できます。
そのイメージが具体的にできるよう、褥瘡発生時の多職種連携を例に、
について解説します。
電話を中心とした多職種連携
はじめに、電話を中心としたこれまでの多職種連携について解説します。
例えば、訪問介護のヘルパーが介助時に褥瘡を発見したとします。
その時、ヘルパーはまずケアマネに電話で報告をします(①)。
次にヘルパーの連絡を受けたケアマネは訪問看護(看護師)にその報告をして(②)、軟膏Aを塗布するように指示を受けました(⑤)。
ケアマネはその報告を「訪問介護」「デイサービス」「訪問入浴」の各事業所に電話で同じ内容の連絡をします(④~⑥)。
この時、福祉用具事業所(福祉用具専門相談員)には情報共有されていません。
このような電話を中心とした多職種連携には次の3つの問題点があります。
問題点①:1つの対応に時間と手間が掛かる
最初の問題点は、“1つの対応に時間と手間がかかる”ということです。
先ほどの図解を見ていただくと分かる通り、ヘルパーの褥瘡発見の報告から、軟膏Aの塗布を訪問介護、デイサービス、訪問入浴介護に周知するまでに6つの手順が必要になります。
さらに電話の行き違いが生じると、より多くの時間と手間が発生します。
問題点②:伝言ゲームのリスク
電話による情報伝達は“伝言ゲームのように間違った情報が伝わってしまうリスク”があります。
先ほどの例では「褥瘡に対する軟膏塗布」という分かりやすい情報伝達でしたが、伝達する情報量が多くなるほど、伝達漏れであったり、伝達内容が変わってしまうリスクがあります。
問題点③:チーム全体での情報共有が図れない
最後の問題点は、“チーム全体での情報共有が図れない”ということです。
先ほどのケースでは、軟膏Aの塗布について、福祉用具事業所(福祉用具専門相談員)には情報共有がされていません。
本来であれば福祉用具専門相談員にも褥瘡発生の報告は必要です。
それにより適切なタイミングで利用者さんに合った床ずれ防止用具貸与の選定ができるからです。
しかし、電話による多職種連携の場合、直接ケアを行う事業所以外には共有されないこともあります。
その結果、チーム内でも利用者さんに関する情報量に差が出てしまうのです。
MCSを中心とした多職種連携
続いては、MCS を中心とした多職種連携ついて解説します。
先ほどと同様に褥瘡の発見から軟膏A塗布の情報伝達を例にします。
MCSによる連携の場合、ヘルパーが褥瘡の発見を訪問看護に直接報告します。
その報告を受けた訪問看護は関係者全員に軟膏A塗布の指示を出すことができます。
先ほどの電話による連携は6つの手順が必要でしたが 、MCS による連携であれば2つの手順で迅速に情報共有が図れます。
さらに、ヘルパーが訪問看護に直接報告し、訪問看護も関係者に直接指示を出すことで伝言ゲームのリスクも解消されます。
加えて、その情報はMCSに参加している福祉用具専門相談員にも確認できるため、チーム全員で情報共有できます。
当然、このグループにはケアマネも存在しますので、ケアマネは全体の連携を俯瞰しながら必要に応じてプランの修正を行えば良いのです。
このような多職種連携が自走できる体制を作ることが、これからのケアマネジャーの役割の一つだと考えます。
MCSのアカウント作成~ログイン方法
MCSを利用するためには、最初にアカウントを作成する必要があります。
以下の流れに沿って進めてください。
MCSのログイン画面から「新規登録」をクリックします。
あなたは医療介護従事者ですか?の質問に「はい」をクリックします。
事業所内で初めてMCSを登録する場合は「いない」をクリックします。※今回は「いない」を前提に解説します。
既に事業所内でMCSを利用している人がいる場合、その人に招待を依頼してください。※MCSはその事業所の管理者がMCSの施設情報を含む登録を行い、その後に事業所所属のスタッフを招待していきます。
メールアドレスとパスワードを入力し「次へ」をクリックします。
※パスワードは半角の英数字8文字以上で設定してください。
ユーザー情報を入力し「次へ」をクリックします。
勤務施設情報を入力し「確認画面へ」をクリックします。
入力内容を確認し利用規約に同意をしたら「送信する」をクリックします。
ユーザ情報、施設情報の送信後の流れは以下のとおりです。
⑦仮登録完了画面に進んだら「閉じる」をクリック
⑧登録したメールアドレスに「本登録手続きのご案内(有効期限は72時間です)【必須】が届くので、メール本文のリンクをクリック
⑨メールアドレスとパスワードを入力し「ログイン」をクリック
⑩「本登録完了のお知らせ」のメールが届いていることを確認
以上でMCSのアカウント登録は完了です。
アカウント作成後はMCSのログイン画面からメールアドレス、パスワードを入力することでログインできます。
MCSはアンドロイド、iOS(iPhone、iPad)の両方にアプリがあります。
仕事用のスマホやタブレッド端末にインストールすれば外出先でも操作が可能です。
MCSの基本操作
MCSのアカウントを作成しログインができるようになりましたら、実際の画面を操作してみましょう。
MCSの基本操作として以下の内容を解説します。
「通知設定(プッシュ通知のオン)」と「了解ボタンのクリック」に関しては、MCSを利用するうえで特に重要な機能です。
【重要】通知設定※メッセージの通知は必ずオンに
MCSにログインしてまず最初に通知設定の画面からメッセージの通知をオンにしましょう。
訪問等により外でMCSを操作することが多いケアマネジャー等に関しては、MCSアプリのプッシュ通知をオンにしてください。
デイサービスやショートステイ等のPCからMCSを操作する方はメール通知をオンにします。
これらのメッセージ通知をオンにしていないと、MCS からメッセージが届いたことに気付けません。
例えるなら、ベルの鳴らない電話器のようなものです。
多職種やご家族からのメッセージを放置しないよう、メッセージの通知は必ずオンにしましょう。
ホーム画面
下の画像がMCSのホーム画面です。
画面上部のアイコンをクリックするとそれぞへの画面に移動します。
- 患者リスト:登録している患者(利用者)の一覧が表示される。
- グループ:自分が参加しているグループの一覧が表示される。
- つながり:MCSでつながっている多職種や利用者家族等の一覧が表示される。
- 全国のMCSユーザー等が作成した様々なコミュニティの一覧が表示される。
患者グループ
患者グループの画面構成について説明します。
- ①:患者(利用者)の名前が表示されます。名前をクリックすると管理者が登録した患者(利用者)情報が表示されます。
- ②:投稿されたメッセージを検索することができます。詳細はこちら※有料プランのみ利用可能
- ③:患者グループ内の新規メッセージ通知をオフにできます。詳細はこちら。※有料プランのみ利用可能
- ④:医療・介護側の多職種のみが参加できるチャットルームです。
- ⑤:医療介護の多職種に加え、患者(利用者本人)や家族も参加可能なチャットルームです。
- ⑥:メンバーを絞り込んだチャットルームが作成できます。詳細はこちら
- ⑦:患者グループに参加しているメンバーのアイコンと人数が表示されます。人数をクリックすると参加者の名前が表示されます。
- ⑧:新しいメンバーを招待できます。
- ⑨:投稿するメッセージを入力します。
- ⑩:「送信」をクリックするとメッセージが投稿されます。
- ⑪:「ファイル(PDF、画像、動画等)の投稿」、「入退院・往診・連携リクエスト」、「薬剤情報の投稿」、「ビデオ通話※有料プランのみ」ができます。
- ⑫:投稿されたメッセージが表示されます。
【重要】了解ボタン※メッセージを読んだら必ずクリック
MCSによる多職種連携を円滑に進めるために重要な機能があります。
それがメッセージの左下に存在する「了解ボタン」です。
MCSにはLINEの既読機能はなく「了解ボタン」の機能が備わっています。
了解ボタンはメッセージの左下にあり、クリックすることで相手にメッセージを了解(確認)したことを伝えられます。
了解ボタンの隣にある人数をクリックすると了解ボタンを押したメンバーが表示されます。
LINE(※)の場合はメッセージに対して「了解しました」などの返信をしないと“既読スルー”となってしまいますが、MCSであれば「了解ボタン」を押すだけで良いのです。
※LINEにも「リアクション機能」がついていますが、あまり知られていません。
その一方で、了解ボタンを押していないと相手にメッセージを読んだことが伝わりません。
MCSで多職種連携をしていると、了解ボタンも返信もないメンバーがいます。
その場合、送信者としては相手がメッセージを読んでいるか電話で確認しなければなりません。
これではMCSを使うことで却ってお互いの業務負担を増やすことになります。
メッセージを読んだ後は必ず了解ボタンを押しましょう。
まとめ:MCSを活用して業務効率化と多職種連携の質向上を実現しよう!
今回はMCS(メディカルケアステーション)の特徴と使い方について解説しました。
MCSは医療介護従事者専用のコミュニケーションツールであり、主な機能は2つあります。
MCSを利用するためにはアカウントの作成が必要です。
事業所内で既にMCSを使っていれば、事業所の管理者から招待してもらいましょう。
MCSの基本操作に関しても解説しましたが、特に重要なのが
の2つです。
MCSによる多職種連携を円滑に進めるために上記の設定、クリックを忘れずにいましょう。
従来の電話を中心とした多職種連携からMCSを中心とした多職種連携へと変わることで、
- 業務効率化
- 多職種連携の質向上
の2つが実現します。
だたし、MCSは自分だけが導入しても業務効率化や多職種連携の質向上には繋がりません。
共に連携を図る多職種と一緒に使ってこそ、その効果を発揮するのです。
私も地域でMCSによる多職種連携を促進しています。
それが「利用者(家族)」「サービス事業者」「ケアマネ」の“三方良し”になると確信しているからです。
皆さんの地域でもMCSを活用して、地域全体で業務効率化と多職種連携の質向上を目指していきましょう。
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